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出版物の原価計算について
出版物の原価計算法は発行形態やジャンルによって異なっています。書籍なのか雑誌なのか、文庫か、新書か、単行本か、事典か、辞典か、叢書かによって変わってくるということです。
書籍であれば業種や職種などを絞った専門性が強い書籍と、多くの読者を持つ小説や文芸などを狙ったものでは異なってきます。
この辺りの、出版物の原価計算について、書籍『執筆・編集・校正・造本の仕方(美作 太郎 著)』から、その捉えかたを学んでみたいと思います。
----- 書籍『執筆・編集・校正・造本の仕方(美作 太郎 著)』より ---------------------
・出版物の原価計算は、商業出版と非商業出版とに分れ、前者はさらに書籍と雑誌に分れられるが、詳しく述べれば、書籍のうちでも、比較的少数の読者を対象とした、固い専門書と、多数の読者をもつ小説や娯楽書、さらに大衆層への普及を狙った文庫本などの場合とでは、採算のとり方が異なるし、同様に雑誌の場合でも、専門誌、大衆誌、婦人雑誌、子供雑誌などはそれぞれ独自の採算によって経営されている。
・原価構成要素には、固定的なものと可変的なものとの二つがある。前者は発行部数が増えようと減ろうと、一部当たりについて殆んど伸縮できない固定性をもって必要とされるもので、編集費中の印税、用紙、製本、印刷費のようなものである。後者は発行部数が多ければそれだけ一部当たりにかかって来る負担が小さくなるもので、編集費中の原稿料、印刷整版費の一部、宣伝費、業務費等がこれに属する。したがって、この可変的な基礎数字が原価の中で占める割合が大きければ、部数がふえるにつれて定価もまた低廉になり、出版業者の利潤も多くなる理屈である
●書籍『執筆・編集・校正・造本の仕方』より
美作 太郎 著
ダイヤモンド社 (1951年9月初版)
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