小林 一博 氏より(書籍『本づくり必携』より)
このページは、書籍『本づくり必携(小林 一博 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・1952年刊の「文部省刊行物制作便覧」(著作権所有・文部省、発行所・教育出版株式会社)
・出版の特性、機能
出版をおこなう者は、まず出版物のもっている特性、機能を理解した上で、取組むことが大切である。箇条書きにすると次のようになる。
①出版は創造活動であり、出版物は独創性をもつものであること。
②出版の成否を決める第一の要素は企画の良否である。
③独創的新製品であり、個の主張であることから、出版物は多品種となり、初めはたいてい少量生産となる。
④出版物は、受け手によって価値評価が大きくわかれる。
⑤影響力、伝達度の測定がしにくい。
⑥出版においては、量より質が尊重されるが、質に対する判断基準は受け手によって異なる。
⑦同一出版物を一人の読者が反復購入することはほとんどない。
⑧一点毎に創作物であり、新製品であるため需要予測が難しい。
・ユネスコによる書籍の定義
ユネスコは、出版統計上、書籍(book)とは裏腹の表紙を除いて、49ページ以上の非定期出版物、と定めている。ページ数が48ページ以下はパンフレットとされている。
・編集用用具
①割付け用紙
②活字見本帳
③活字(倍数)尺
④写植見本帳
⑤写植級数表・歯送り表
⑥写植スケール
⑦色名帳
⑧カラーチャート
⑨インキ見本帳
⑩物差し、三角定規
⑪コンパス
⑫デバイダー
⑬算盤、計算尺、計算器
⑭トレシングペーパー
⑮ルーペ
⑯その他の用紙、鉛筆(硬・軟用)、色鉛筆、刷毛、ハサミ、千枚通し、カッター、消しゴム、ホワイト、セロテープ、付箋、紙撚り、トレース台。
・編集者に対しては次のような資質が要求される。
①企画力
②編集・制作作業の進行管理能力
③造本(製本)の構想力
④美しい本をつくる感覚
⑤著者と交渉、説得する力、性格
・まえがきに、原作者のものと、翻訳者のものをおく場合は、翻訳者のものを前に。なお、翻訳ものは、原著のあるとおりの順序にまえがきをおく。
・柱とは、各ページの本文組み面の天の部分あるいは小口の部分におく編、章、節などの標題を示したもの。ノンブルとは、ページの順序を示す番号。
・価格構成要素の分類
直接生産費 : 固定的製造費 変動的製造費 印税
間接生産費
一般管理費・営業費
広告宣伝費
販売手数料
利益
・出版物は 定価×制作部数×10%=宣伝費 となっている。
・最大の宣伝は、口コミである。読者による読者同志の口頭宣伝がベストセラーを生む。口コミ利用と口コミを創り出す方法を考えたい。
・日本文芸家協会の出版契約書
●書籍『本づくり必携』より
小林 一博 著
にっかん書房 (1983年1月初版)
※amazonで詳細を見る