野村 進 氏(書籍『調べる技術・書く技術』より)
このページは、書籍『調べる技術・書く技術(野村 進 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・通称「大宅文庫」は、マスメディアでの取材に携わる者なら必ず利用する雑誌専門の図書館である。
・テーマ決定のチェックポイント
①時代を貫く普遍性を持っているか。
②未来への方向性を指し示せるか。
③人間の欲望が色濃く現れているか。
④テレビなどの映像メディアでは表現できないか、もしくは表現不可能に近いか。
⑤そのテーマを聞いた第三者が身を乗り出してきたか。
・ノンフィクションを取材するために必要な資料を得るメディアは、その情報の鮮度から言うと、ネット、テレビおよびラジオ、新聞、週刊誌、月刊誌、単行本の順番である。一方、情報の確度から見ると、単行本と新聞が比較的高く、最下位にはネットが来る。
・「自分に関心のある分野でひとかどの人間になりたかったら、一月に二、三冊でいいからその関連の本を読むことだ。それを三年続けたら、その分野ではオーソリティーになれる」※元木昌彦氏
・単行本の検索に役立つサイトをひとつだけあげるとするなら、国立情報学研究所のWebcat Plusであろう。
※参考:http://webcat.nii.ac.jp/
・『図書館ナレッジガイドブック』という本には、もっと詳しい情報を得たい場合の情報機関が網羅されている。
・取材を断られたとき
しばらくほかの取材を進めてから、再び手紙を書く。
「その後、いろいろな方々にお会いしましたが、やはり肝心のことろがはっきりしません」
「このことに関しては○○さん(相手)が一番よくご存知と、いろいろな方々からも伺いましたので」
・毎日新聞のスター記者だった内藤国夫
・取材当日の服装はどうするべきか。(中略)ひとつは、自分のための服装ではなく、相手が話しやすい服装を心がけるという点である。
・読売新聞の名物記者だった黒田清は、「インタビューのコツ」として「相手と同じ大きさの声で話す」ことをあげている。
・ルポライターの竹中労など、
「取材の相手を“裸にする”最も有効な手段はメモ帳と手帳を捨てることだ」
・私の経験では、取材ノートを閉じてから会話がさらに一時間以上も続くようなら、その取材は間違えなく成功裏に終わる。
・雑誌の記事なり単行本なりが出たあとも付き合いが長く続くような関係を築くことだ。
・取材後、なるべく早く礼状を出す。メールでもかまわないが、手紙がベスト、次善が
葉書。例文をあげてみよう。
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拝啓
<時候の挨拶を入れる・・・・・・たとえば、「すっかり夏めいてまいりましたが、お元気でお過ごしのことと存じ上げます」とか>
先日はご多忙にもかかわらず、私(もしくは発表媒体)の取材に応じてくださり、どうもありがとうございます。大切なお時間を頂戴致しまして、貴重なお話をお聞かせくださいましたこと、心より感謝致しております。
<ここに取材で初めて知ったり教えられたりしたことを丁寧な表現で入れる>
その際うかがいましたお話は、
(A)発表媒体が決まっていない場合→これから執筆致します原稿に収録させていただきたく存じます。
(B)発表媒体が決まっている場合→○月○日発行の「媒体名」に掲載させていただく所存でございます。
<ここにもう一度お礼の言葉があってもよい>
また、ご連絡差し上げる所存でございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。折柄、くれぐれもご自愛くださいませ。取り急ぎ御礼まで。
敬具
書名(自筆で)
二〇〇八年☆月☆日
相手の名前(書名よりもやや大きく書く)
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・ペン・シャープナーとは、文章のカンを鈍らせないために読む本や、原稿を書く前に読むお気に入りの文章のことだ。
・自分が心底おもしろいと思ったことを軸に話を進める。
・取材で集積した事実のうち、実際に使うのはせいぜい十分の一程度、できれば二十分の一以下が望ましい。
・推敲する
○自分の書いた文章を読み返すときには、必ず声に出して読むこと。
・『私ならこう書く』
●書籍『調べる技術・書く技術』より
野村 進 著
講談社 (2008年4月初版)
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