書籍『「地方」出版論』(川上 賢一 編集)より
このページは、書籍『「地方」出版論(川上 賢一 編集)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・四国は本の消費の少ないところ
※川上 賢一氏
・地方出版社を分類すると、①出版専業社 ②新聞社の出版 ③書店・古書店の出版 ④印刷所の出版 ⑤図書館・研究団体の出版
・「地方」で本を作るのを、大雑把におって、二つの主なる傾向が、最もとっつき易いところにぶら下がっているようだ。ひとつは、地元の歴史を掘り起こし、地元が生んだ英雄、偉人に照射をあて、地元の人たちの愛郷心を煽り、過ぎ去った時代への理解を深めようとする意図のもとに本が作られるケースである。もうひとつは、地元の名所旧蹟の解説であり、文学散歩であり、釣り場案内や郷土料理の本を作る、いわゆる観光地ガイドを目的にした型である。
※高橋彰一氏 津軽書房
・東北出版企画(山形県鶴岡市)
地方出版社としてはずいぶん広く、複写機はもちろん写真植字機も何台かおいてあり、八人もいる従業員はみんないそがしく働いている。それもそのはず、ここは東北地方でも最も活発な出版社で、『とおほくぶっくす』シリーズをはじめとする多くの単行本や、『グラフ山形』『庄内散歩』などの月刊誌を次々と刊行しているのである。社長の田村茂広氏は、県庁職員から転身した異色の人。全身エネルギーという感じで、話しているうちにもひしひしとその気迫が伝わってくるようであった。※松村久氏 マツノ書店
・田村氏はしきりにタウン誌の発行をすすめてくれた。広告料は定期的に入るし、その地方の学者、文化人とも近づきになれるし、連載物はあとで一冊にまとめることもでき、良いことづくめというわけである。
※松村久氏 マツノ書店
・継続的に多く出版すれば“本に本を売らせる”効果が期待出来、販売上でも有利である。
※舟橋武志氏 編集考房
・処女出版こそ出版社のそのごの方向を端的にしやすいものであるといえるからだ。その意味から第一冊目の本は出版社のイメージをつくるうえで重要だ。
※清田義昭氏 出版ニュース社
・たずねてくる人にはいくつかのケースがある。
ひとつは編集経験者で、大手あるいは中堅どころに勤めていたが、自分のつくりたい本が社のイメージや方針とズレる。または企画のそのものが採算にあわないから実現しない。結局自分の企画が生かされないから独立したというケース。本づくりはよく知っているかが販売や業界動向には関心をもっていなかったのでどうすればよいのかとまどっているのである。
つぎに他業界から出版界に移ってきた人。広告関係の仕事をしていたという人たちが多い。出版界をみているとおもしろそうだから、はじめたという。本づくりはよくわからないが、みようみまねでつくりあげる。販売については自信なさそうだが、パブリシティや広告には相当の知識をもっており、どこかで小社のことを知って来社におよんだというケース。
※清田義昭氏 出版ニュース社
・福澤諭吉を例に取れば、そもそも書き手であり、つくり手でもあり、書店も営んでいた。明治の書き手のほとんどは自ら版をおこしていたのである。三者が一体であったわけだ。
※清田義昭氏 出版ニュース社
●書籍『 「地方」出版論』より
川上 賢一 編集
無明舎出版 (1981年3月初版)
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