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本田 透 氏(書籍『なぜケータイ小説は売れるのか』より)

このページは、書籍『なぜケータイ小説は売れるのか(本田 透 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・ケータイ小説において特徴的なことは、これらの「大罪」が頻発すること、そして一部を除いて心理的葛藤の描写が極端に少ないことである。

第一の罪 売春
第二の罪 レイプ
第三の罪 妊娠
第四の罪 薬物
第五の罪 不治の病
第六の罪 自殺
第七の罪 真実の愛


・ケータイ小説は「本を読まない人が読む本」などと言われるが、映画『恋空』にも普段は映画館に来ない女子中高生は押しかけたのだ。


・ケータイ小説本は、ネット書店のAmazonでは売れない。『恋空』は、Amazonレビュー欄で「読むに耐えない」「小説と呼ぶに値しない」と袋だたきにあっている。同様に、ケータイ小説は都心ではあまり売れない。東京で働くサラリーマンの中には、ケータイ小説本が100万部を超えたというニュースを聞いて、「いったいどこで売っているんだ?」と首を傾げる人も多いだろう。(中略)答えは、「地方都市」なのだ。地方と都心の格差は、年々広がっている。


・『ダ・ヴィンチ』の特集では、この後、ライターがケータイ小説の特徴を分析してみせる。おおよそ次のようにまとめられている。

1 大多数が恋愛小説、書き手の大半が10代~20代の女性、自分や周囲の知人の経験談をもとに書いている。

2 文章が短く。漢字が少ない

3 心理的描写が少ない。台詞のみで物語が進む
(「書き手の読書経験の少なさに起因?」とされる)

4 横組み

そしてここから、ケータイ小説が10代の少女に支持される理由を幾つか挙げる。

1 10代少女の最大の関心事は、恋愛である。また「共感性」が求められるので、少女たちの身のまわりを描いた小説が受ける。

2 読書経験の少ない読者にとっては、軽く読めることが必須条件。

3 レトリックやスキルのない、小説読みのリテラシーがない読者は、描写があっさりしていても「物足りない」とは思わない。

そして、結論は「小説とケータイ小説は似ているがまったく違う。誤解を恐れずにいえば、双方の読者はほとんどといっていいほど接点を持たない」「彼女たちは『小説』を読んでいるつもりかもしれないが、作品との“関わり方”を見るとメールの延長に近いものなのかもしれない」となる。

『ダ・ヴィンチ』らしい(中略)根深いレベルでケータイ小説をバカにした結論に至っている。


・芥川賞が「純文学」のルーツで、直木賞が「大衆文学」のルーツ


●書籍『なぜケータイ小説は売れるのか』より
本田 透 著
ソフトバンククリエイティブ (2008年2月初版)
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