松岡 正剛 氏(書籍『知の編集術』より)
このページは、書籍『知の編集術(松岡 正剛 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・いくつかをまとめて取り出して、その取り出した方法をさまざまな場面や局面にいかすようにしてみようというのが、「編集術」になります。また、そのようなことをあれこれ研究して、そのプロセスを公開することを「編集工学」(エディトリアル・エンジニアリング)といいます。
・1.編集は遊びから生まれる
2.編集は対話から生まれる
3.編集は不足から生まれる
1.編集は照合である
2.編集は連想である
3.編集は冒険である
・「さようなら」は「左様なれば失礼つかまつる」が原形で。それが「さようなら→さよなら」と省略されていった。
・金山宣夫『世界20カ国ノンバーバル事典』(研究社出版)に取材した。同じ小指をたてる「しぐさ」にも所変われば意味も変わる。次のようになっている。
(※参考:ノンバーバルとは、非言語表現のこと)
香港=最後の・貧乏な
インドネシア=小さい・幼い
タイ=友情・仲直り
インド=トイレにいきたい・小便
中国=つまらない・こわれた
ナイジェリア=賭けようか
アメリカ=めめしい男
・編集術は整理術ではない。情報を創発するための技術なのである。創発とは、その場面におよぶと巧まずして出てくるクリエイティビティのようなものいう。
・子供の遊びには、われわれが学ぶべきことがいっぱいつまっている。とくに編集の方法にとって学ばされることが多い。
・読書は要約法と連想法の組み合わせで成り立っている。要約できなければ読書にならないし、連想がおきなければ読書はつまらない。どちらが強いかによって読後感がおおいに変わってくる。
・言葉は広がりをもつものであり、多様性と多義性の海にゆらめいているものなのだ。だから言葉を厳密につかおうとすると、たいていはムリ(無理)が生じてくる。
・編集用法の一覧
A・情報を収集して分類する
B・情報を系統樹やネットワークにする
C・情報郡をモデル化あるいはシミュレーション化する
D・情報の流れに入れ替えをおこして、意味を多発ないしは沈静させる
E・情報の多様性にオーダーやルールが生まれるようにする
F・情報を年表や地図に図表する
G・情報郡に引用や注釈を加えていく
H・演劇や音楽や舞踊や芸能などを編集する
I・デザインや装飾をする
J・異文化コミュニケーションを可能にする
K・ゲームやスポーツや競技をつくる
L・遊びのための編集をする
・編集術とは、われわれがどのように世界とかかわるかという「方法」に目を凝らそうという、いわば「気がつかなかった方法を気づくための方法」というものである。
・六十四編集技法の一覧
編纂
01 収集
02 選択
03 分類
04 流派
05 系統
編集
10 - 編集郡を意味単位に分節して編集する
06 編定
07 要約
08 凝縮
11 - 情報郡のモデル化が進むように編集する
09 原型
10 模型
12 - 情報の多様性がオーダーやルールを生むように編集
11 列挙
12 順番
13 規則
13 - 入れ替えや置き換えを試みて編集する
14 配置
15 交換
14 - ある情報が他の情報とどういう関係にあるかを重視して編集する
16 比較
17 適合
18 競合
19 共鳴
15 - 二つ以上の情報の関係をつなげつつ広げながら編集する
20 結合
21 比喩
22 推理
16 - 広がった情報を俯瞰して新たな線引きをするように編集する
23 境界
24 地図
25 図解
17 - いったん編集された情報にさらに新たな情報郡をよびこんで編集する
26 注釈
27 引用
28 例示
18 - 隠れたアイテムや意味やイメージを連想的に拡張して編集する
29 暗示
30 相似
31 擬態
32 象徴
19 - 情報に強調や変容がおきやすいように編集する
33 輪郭
34 強調
35 変容
20 - 情報の意味が別の意味に転換するようにストレスを与えて編集する
36 歪曲
37 不調
38 諧謔
21 - 情報の周囲や外部に加飾性をもたらして編集する
39 意匠
40 装飾
41 模擬
22 - 複数の情報郡を足したり引いたりして編集する
42 補加
43 削除
23 - 編集の部分的プロセスを別の編集装置に移管できるように編集する
44 保留
45 代行
24 - 情報郡に新たな座標やグリッドを与えて編集構造をつくる
46 測度
47 構造
48 形態
49 生態
25 - 情報のメッセージ性に注目しつつメディアに適合させて編集する
50 焦点
51 報道
52 統御
26 - 情報の流れをシナリオ化して場面単位に編集する
53 道筋
54 脚本
55 場面
56 劇化
27 - 情報交換のしくみや遊びや競技になるように編集する
57 遊戯
58 競技
28 - コミュニケーションがしにくい二つ以上の文化風土をまたいで編集する
59 翻訳
60 通訳
29 - 音楽性やリズム性によって編集する
61 周期
62 曲節
30 - 総合性ありは個別性を特別にいかして編集する
63 総合
64 創造
・『暮らしの手帖』の花森安治にはじまって、『週刊朝日』の扇谷正造、『太陽』の谷川健一、『ミステリー・マガジン』の常盤新平、『SFマガジン』の福島政実、『朝日ジャーナル』の鎌田敬四郎などをへて、『アンアン』の甘糟章や『月刊プレイボーイ』の岡田朴にいたる一群には、私が畏れもし、敬ってもきた編集名人が何人もいた。この人たちは当時に表面に顔を出さなかったものの、戦後の文化と文脈をおおいに左右してきた人たちである。
・たくさんの中からひとつづつふるい落としていくことが、望むものを見つけだす近道なのである。チャーリン・チャップリン
・新聞のヘッドラインというものはたいへんよくできている。プロの編集術とはどういうものかもわかる。まさに要約編集術のお手本といってよい。ただし、いくら新聞を毎朝毎夕見ていても、その編集術はわからない。そこで、いったんヘッドラインを消してみた。
・ジョージ・ルーカスの定番プロット
ルーカスのばあいは、彼が大学時代に教わった神話学者ジョセフ・キャンベルの英雄伝説の構造を下敷きにしている、それは、次のようなものである。
①「原郷からの旅立ち」(中略)
②「困難との遭遇」(中略)
③「目的の察知」(中略)
④「彼方での闘争」(中略)
⑤「彼方からの帰還」
・歩いていく、歩いてくる、歩いている
●書籍『知の編集術』より
松岡 正剛 著
講談社 (2000年1月初版)
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