西岡 文彦 氏(書籍『編集的発想』より)
このページは、書籍『編集的発想(西岡 文彦 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・人は「書きたい」からこそ本を読む
・会話や発想の三つのパターン(中略)
①文脈型(つまり「物語」派)
②構造型(つまり「事典」派)
③点滅型(つまり「雑誌」派)(中略)
①の文脈型の人は、ものごとを順序、あとさきを重んじる人で、何事によらず「筋道」を大切に考える。(中略)
②の構造型のひとは、ものごと相互の関係、位置づけというものを重んじる。文脈型の発想の基本が「線」であるのに対して構造型は「面」で発想する。文脈型を時間派とすればこちらは空間派である。(中略)
③の点滅型すなわち「雑誌」派の人には、いきなり「あそこの角の煙草屋のはす向かい」式の説明が多い。道順も地図もなし。いきなり「点」として論点が出没する。
・書物で具現されるのは、著者の世界である。著者その人の考え方・価値観・世界観・美意識・・・・・・等を背景に、一定の知識や情報による思想世界、あるいは作品世界を読者に提供するのが書物の使命であり、編集者は、その著者ならではの世界の言語化・資格化を援助するのが仕事である。
・本とは著者のアイデンティティの具現にほかならず、編集者はこのアイデンティティを世に出す産婆役である。
・西武ブックセンターに、東京の書店員の間で「今泉棚」と呼ばれている名物棚がある。書店員今泉正光氏が独自の棚組みで、現代思想をはじめとする固い専門書の売上げを、半年で半分近くも伸ばしたことで有名なった棚である。
・多くの書店員の意見で一致しているのが、視線の高さと棚の関係である。話題の本は、目の高さと同じ棚に置き、それと関連して注目を浴びそうな本はその上、さらに隣接分野の本への関心を広げる予備軍的な性格の本はその下。売行きが下降線をたどっているものについてはもう少し下、というのが基本のようだ。
・中型書店ながら幻想文学からニュー・サイエンス、時事問題までを、独自のカテゴリーで棚組みすることで知られる名古屋ウニタ書店の竹内真一氏は、まず各分野の中心的な存在であるスター著者を棚のメインに置き、これに近い人、反対を唱えている人と、配架していくのが秘訣だという(『書斎SUPER整理術 本棚の本』アスキー)。
・人間は知らない言葉を聞くことはできない
●書籍『編集的発想~「知とイメージ」をレイアウトする』より
西岡 文彦 著
JICC出版局 (1991年3月初版)
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