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小原 二郎 氏(書籍『人間工学からの発想』より)

このページは、書籍『人間工学からの発想(小原 二郎 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・われわれの日常生活は、切る、叩く、刻む、打つ、洗う、編む、書く、などといったさまざまな手の動きによって支えられている。


・よく日本人は手先が器用だと話題になるが、その理由を解析すると、二つをあげることができそうである。一つは道具の形、大きさ、および重さが手の能力とうまく釣り合うように作られていること、もう一つは道具の動きの線にむだのないことである。


・機械や装置をつくるに当たっては、使う側の人間の諸機能をよく知って、それに合わせて、人間本位の設計をすべき(中略)これが人間工学の基本になる思想である。


・一九六四年には、日本人間工学会が創立された。
(※参考:日本人間工学会のウェブサイトはこちら


・コミュニケーションは近いほどよいといったが、その逆に、あまり近すぎてもよくないことがある。視覚的な立場でいうと、ある距離を隔てないと落ち着かない。その理由は、人間には固有の空間を占有したいという本能があるためである。

図書館の中で机が埋まっていく様子をみていると、まず一番目の人は部屋の隅の机にすわる。二番目の人は対角線の遠い机にすわる。そして、最後の人が隣のいすにすわるというように、相互の距離の遠いところから埋まっていく。


・机の高さと作業能率・疲労の関係は深い
身体に合わない机を使うと姿勢が悪くなるばかりではない


・いすの人間工学的な研究をはじめたのは、スウェーデンのオーケルブロム


・前かがみの人間は内臓も不健康だし、精神的にも内向性で暗い性格になる。神経質でイライラしてノイローゼ気味でもある。
※矢野一郎氏


・われわれが生活の中でとる姿勢は、立つ・すわる・寝るの三つである


・これまでの考え方によると、重要度は、①机、②座、③背もたれの順であったが、人間工学的にみると、①背もたれ、②座、③机、というように順序がまったく逆になる。


・よいいすの条件(中略)

第一は、寸法が適当だということである。高すぎたり、奥行の深すぎるいすはよくない。高さはむしろ低めのもののほうが無難である。

第二は、体圧分布と掛けごこちということである。われわれの体は、部分によって感覚の鋭敏さにちがいがある。だから、鈍感なところには大きな圧力がかかり、敏感なところには小さな圧力がかかるように設計されているものがよい。(中略)

特に注意したいのは、真ん中だけが柔らかく凹んで周囲が硬くあたるいすである。(中略)

第三は、姿勢と疲労の問題である。これは主として背もたれの形と、座面の傾斜に関係する。


・疲れれば作業の能率も下がるから、疲れを減らすことがサービス向上のためにたいせつな条件といってよい。


・航空機の座席は、骨組みが丈夫で大きな衝撃に耐えること、燃えにくいこと、クッションが水に浮くこと、などの条件を満たさなくてはならないという厳しい制限がある。


・有名な長寿国のビルカバンバは竹の上に寝ているという。


●書籍『人間工学からの発想』より
小原 二郎 著
講談社 (1982年3月初版)
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