水品 一郎 氏(書籍『出版会計』より)
このページは、書籍『出版会計(水品 一郎 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・出版社は、独自の編集企画、造本方針をもって、それぞれの社の特性をおりこんだ内容または体裁の出版物を製作しているが、その製作工程ははほとんど製造業者、印刷業者、製本業者等の外注工場に依存している。これらの出版関連業との協力による一連の作業が、出版物という商品を完成させる
・相手が単数または数人の特定の人に対してではなく、一般の公衆に向かって自己の意思を伝達することを、英語で〈publish〉といい、この〈publish〉という語は、ラテン語の〈public〉(公衆)に語源を発しているという。
・算出する商品は生活必需品ではなく消耗材でもないのであって、その商品に対しての需要対象はその出版物の内容そのものであるから、出版業者は需要者の欲する内容のものを企画編集することが出版企業経営の重要なポイントになる。
・出版社は、そのほとんどが外注によって製作させる出版物を、最終製作工程をうけもつ製本工場から直接取次店に搬入させるのが通例である。
・明治の中期まではわが国の出版取引はほとんどが買切制度の取引で行われていて、新刊発行の際の注文品として買切の契約による取引を、返品を伴わない現金取引という意味から、特に〈入銀〉制度と称されていた。
・〈常備委託〉制度とは、出版社が取次店または小売店に対して、特約によって、自社の出版物のうち限られた数量を一定期間寄託することによって、常時それらを店頭に陳列させ、顧客が購入することによって欠量が生じた時は、受託者が即時その分を出版社に注文して、補充していく制度である。
・常備委託の条件は、次の通りである。
A 出版社は受託者と個々に常備寄託契約書を取交わさなければならない。(中略)
B 常備寄託契約書には、書名、部数、寄託期限を明示しなければならない。(中略)
C 各受託者に寄託できる冊数は、1点当り2冊を限度とする。(中略)
D 常備寄託品は、他の商品と別個の物品経理をしなければならない。
E 常備寄託については、金銭の授受は一切伴ってはならない。(中略)
F 受託者が常備寄託品を、他の同種の在庫がなく客の求めに応じて販売して欠量を生じたときは、直ちに補充しなければならない。
G 常備寄託の補充品は、買切注文品として処理する。
・原価要素
(1)直接製造原価要素
1 材料費(中略)
2 印刷費(中略)
3 製本費(中略)
4 印税・原稿料等
5 編集費(中略)
(2)間接製造原価要素
●書籍『出版会計』より
水品 一郎 著
日本エディタースクール出版部 (2007年7月初版)
※amazonで詳細を見る