日野 佳恵子 氏(書籍『「ワタシが主役」が消費を動かす』より)
このページは、書籍『「ワタシが主役」が消費を動かす(日野 佳恵子 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・消費者の意識は今、①「いいモノをいかに安く選ぶか」、②「持たない、買わない、物欲減退」、③「環境など社会的責任意識の高まり」の大きく3つが特徴になっていると思います。これを「消費者の三大意識」と呼んでいます。
・「シェフは主婦」のカフェが主婦たちを集める
「夫や子供のために作ってきたレシピを地域の人に提供しませんか」
2008年の4月。私たちは、カフェのオープニングスタッフ募集にあたり、こんな求人広告を出しました。(中略)
何時から何時まで。時間給いくら・・・・・・ではなく、「あなたの能力のこれからは、地域の人々に提供しませんか」といった、自分の労働が社会の役に立つ、貢献できる、という広がりをつけて募集したのです。
予想どおり、募集は殺到しました。(中略)
スタッフからは、「家ではなかなか褒めれらない自分の料理がここでは評価されたり作り方を聞かれたりして本当にうれしい」という言葉が出ます。お客様にとっても、「ワタシでもできそうなメニュー」に出会えるのですから、毎日の献立に悩む主婦のお客様に大人気です。お客様とスタッフは、メニューの開発段階からすでに同志であり、心強い友達になっています。
・料理レシピの参考に使うサイト
クックパッド 25.4%
味の素関連 8.5%
キッコーマン関連 3.7%
・今や日本の主婦の消費購買欲求をもっとも刺激しているのは、料理家の栗原はるみさん、収納などアメニティアドバイザーとして知られる近藤典子さんを代表とするカリスマ主婦の方々でしょう。
・企業の役割は、モノを通じていかに消費者に「楽しみ」や「輝き」を提供するか
・しまむらの場合、実は、バイヤーは男性中心。(中略)1店舗に同じサイズ、デザイン、色の商品は1~2品程度しかありません。地域密着の店ですから、街の中で同じ服の人とは会わないということが配置されているのです。売れるから大量に作って売る、といった従来発想ではなく、まさに、女性消費者の気持ちをしっかりとつかんでいるといえるでしょう。
・購買チェックポイント「5つの価値」
①便宜的価値(価格) お得、値ごろ感、この程度なら、この価格で十分。
②基本的価値(モノ) 製品の性能・機能そのもの。品質の良さ、信頼性。
③情緒的価値(五感) 見た目が素敵。香り、デザイン、色、肌触り、音など五感を刺激。
④個人的価値(ワタシにとって) 自己実現ができる。ワタシにぴったり、ワタシらしい、ワクワクする。
⑤社会的価値(共感・つながり) 環境にも配慮したい。ワタシと誰かがつながる(憧れの人、友達、未来の子供や社会、世界の人々など)。地域活性に役立ちたい。
・いくら経済不況だからといって、安くてもかわいくなければダメです。100円ショップで買うことが目的なのではなく、いかに100円に見えないモノを買ったワタシか、ということが大事なのです。しかも、品質もよく、人にも自慢できるような買物ができた「ワタシ」。
・5つの購買チェックポイントを満たしているレジャー施設といえば、子供たちが職業体験できる「キッザニア」です。(中略)
子供たちにとっての「遊ぶ場」であると同時に、エデュテインメント(エデュケーション=教育と、エンタテインメント=娯楽が一体になった)施設と位置づけられています。公共性と民間企業の営利性とを可能な限り両立させています。
・「自分価値を待つ女性」を位置づけました。そして、外側に4つのキーワードを置いています。
①人と人、友人や家族とのつながりを大切にしたい。
②ライフスタイルを充実させたい。
③自分の力をいつかは社会に活かしていきたい(自分価値を模索。いつかは実現、伸ばしていきたい)。
④自分がよい(本物)と思ったものは、伝えたいし、応援したい。
・商品の魅力だけはなく、その商品をどう使えば生活が豊かになるかを伝えています。
※ジャパネットたかた 高田社長談
・「顧客満足」から「顧客成功」へ
埼玉県草加市の「田中悠のこだわり八百屋」
(※参考:http://www.kodawariyaoya.com/)
・お客様と協働型のコミュニケーションを作る、という意味では、「お客様ではなく、応援団になってもらう」という方法があります。(中略)その形を実践しているのが、私どもがお手伝いしている「リメンバーしまね」(http://www.re-member.jp/)という島根県公認のコミュニティサイトです。
・お客様に「広報役」「宣伝大使」となっていただく、という方法もあります。日本昆布協会のサイト(http://www.kombu.or.jp/)をお手伝いして、もうかれこれ5年以上になります。とても賑わいのある、元気の出るサイトなので、ぜひ一度、ご覧ください。
・ランチタイムが終わった14時から夕方までの閑散時には、カフェの中で、ミニ講座やセミナーを頻繁に行い、参加費とお茶代をいただくことで、売上げを確保しています。このときの講師は、PRや宣伝をしたいという目的を持った化粧品会社、保険会社、住宅会社などから来ていただくので、講師料はタダです。また、カフェのスタッフ自身が、たまたま持っていたアロマテラピストの資格を活かして、講師に変身することもありますが、これまた給与の中での活動です。
・このカフェの究極の秘密は、飲食業にとって、大きなコスト負担となる開業時の店舗設備も多くの企業からご提供いただいたことです。
これは「タダでもらう」というと人聞きが悪いので、補足しますと、「御社の設備を来店客にお見せしますので、うちのカフェをショールームとして使いませんか」というお願いをして、協力をいただいたということです。
カフェの店内には、提供いただいた設備機器のカタログ、パンフレットを置き、ときには利用者のアンケートをとって、提供くださった企業にお返ししています。
たとえば、もっともお金のかかる厨房機器。
こちらは、家庭用のガス器具(オーブンとガスレンジ)を広島ガスからご協力いただきました。
カフェの真ん中に設置し、オープンキッチンとして、お店に来られる女性の方々の目にしっかりと入るように工夫して、使用しています。(中略)
私たちのカフェでは、きちんと商品説明や解説、営業サポートまでしています。だから、バーターの意味があるのです。
そのほか、トイレ、ベビーベッド、床材、イス・・・・・・。
そして何より、日々に使用する調味料や食材も、調味料メーカーから新商品のテスト用として提供いただき、カフェでは、レシピを開発してお客様に提供し、アンケートを集めています。
・「ショールームでどんな企画があったらうれしいか・・・・・・?」という意見やアイディアをいただきました。
このとき、お母さんドライバーから「クルマのショールームは、用がないと思い出さない。それより、今、私たちは、春休みで、子供たちが家にいる。なかなか出かける場所もないし、今はお金もかかるから遠くに行けない。だったら、近場のショールームで、子供たちに職業体験など、役立つ経験をさせてもらえないか」という意見が出たのです。
・「女性・生活者が選ぶ、気になる企業ランキング」と、「女性の購買決定権」の詳細データは、私どものサイト内、「女性のあした研究所」で公開しています。
http://www.herstory.co.jp/corp/w-research/index.html
・「地域貢献、社会貢献」に対する評価も重要視されていることがわかります。この結果から、次の3つのことが言えそうです。
1.女性は「商品・サービス」を通じて企業を見ている。
2.男性は、「業績に関すること」を通じて企業を見ている。
3.女性は、自身との関わり、身近なところから企業を見ている。
・購入に際し参考にする情報
・CMはきっかけ、「買う」決め手となる情報はクチコミ
・買物=社会貢献というモデルが自然な消費者行動へと向かう(中略)
「購入=社会貢献」という構図
・ハー・ストーリィのマーケティングは、「共感、共鳴、共創、共同、共有、共生」という“共”という言葉が多様されています。これは、企業と消費者、そして私たちハー・ストーリィ が、共に生きていくためのモデルです。
●書籍『「ワタシが主役」が消費を動かす~お客様の“成功”をイメージできますか? 』より
日野 佳恵子 著
さとう みどり イラスト
ダイヤモンド社 (2009年8月初版)
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