大隈 秀夫 氏(書籍『入門 短い文章の書き方』より)
このページは、書籍『入門 短い文章の書き方(大隈 秀夫 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・短い文章をどう書くか(中略)
短い文章の中には他人が書けないようなことを少なくても一つ入れることが肝心である。(中略)ありきたりなことをいくら並べても読む人の心をつかむのは不可能である。体験を書くことの重要さはここに潜んでいる。
・書き出しの一行に気を配る(中略)
最初の一行で読者の目を吸いつけ、最後の一行まで読ませるように仕向けるためである。
・書く内容が自分のなかでじゅうぶん醗酵し、独り歩きを始めるのをじっと待っていた節がある。
・大事なことは先に持ってくる(中略)
わたしは「大事なことは先に書きなさい」と受講生に勧め続けてきた。
・ぼかしの表現を入れない
「・・・・・・かもしれない」「・・・・・・だろう」「・・・・・・といわれている」「・・・・・・といってよい」などの語句をわたしは“ぼかしの表現”と名づけている。文末にこんな語句を入れる人は思ったより多い。
ぼかしの表現が数多く出てくると歯切れの悪い文章になるばかりか、全体の印象も薄くなる。断定的に書いている文章は読んでいて気持ちがよい。
・流行語をなるべく避ける(中略)
同じ流行語でも故大宅壮一の造語である「駅弁大学」や「一億総白痴化」などは数十年の歳月を経て生き残っているので、文章の中に入れてもおかしくない。(中略)
流行語というのは一過性のものである。
・例え話を入れるとわかりやすい(中略)
評論家の大宅壮一は例え話を巧みに入れる術にたけていた。(中略)
「大宅さん、入れ歯ってきれいなものですね。ちょっと見せてくれませんか」
わたしが手にひらに載せて関心していると、大宅が言った。
「入れ歯なんて、日本の自衛隊みたいなもんだよ。かっこうはよいが、身についていないからね」
・資料を集める(中略)
わたしの師匠だった故大宅壮一は「本は読むものではなく引くものである」と公言してはばからなかった。
・当時の助手の一人に評論家の草柳大蔵がいる。
「大宅さんの資料に対する執着は異様なほどだった。地方へ出かけると暇を見て古本屋を回り、資料になりそうな本をこん包して鉄道便で自宅を送りつける。われわれはこん包を解いてすぐ分類し、カードに書き込まなければならなかった」
・追伸の書き方にもルールがある(中略)
主文に関係のないことや書き忘れたことがあった場合、最後に付け加えるのが追伸である。
●書籍『入門 短い文章の書き方~書き出しからピタリと決まる結びまで』より
大隈 秀夫 著
実務教育出版 (1984年1月初版)
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