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港 千尋 氏(書籍『書物の変』より)

このページは、書籍『書物の変(港 千尋 (著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・書物は開いて読まれことによってはじめて、意味のある記憶となる。だが物質である以上、それを手に取り表紙を開き、ページを捲れば、それなりに消耗する。書物を保存することが絶えず修復することと一体の仕事にならざるをえない。


・「本の養子(apopt)に」という一行。図書館の本の保存のための寄付を募っているのだが、そのやり方がユニークなのである。(中略)

図書館にある本を選び、一定の金額を寄付する。図書館側が本を選んでくれる場合もあるが、ともかく寄付をした人は、その本の養い親になる。「養子」の名前を記した証明書が発行され、また寄付の金額によっては図書館が主催する各種の催しに参加できるというような特典が用意されている。

ちなみに最小の金額は二五ポンドからで、上限は五〇〇〇ポンド。


・わたしたちの毎日をとりまいているメディアのなかで、一〇〇年後に何が残っているだろうか。写真、映画、ラジオ、テレビ、携帯電話・・・・・・どれも変わっていそうだが、これ以上どこが変わることができるのか、その必要があるかどうか答えは難しい。(中略)

とりあえず時間の矢を反対向きにしてみよう。五〇〇年前にすでに存在していて、今の残っているもの、それは本である。

メディアの中で本ほど、安定しているものは少ない。基本的な形態を変化させる余地がないという意味で、完成している。本の構造は椅子やテーブルと同じように、人間の身体と知覚が要求するものを満たしている。


・グーデンベルグからグーグルへ------印刷の世紀からデジタルデータの世紀への大変革を簡単に言い表すと、そうなるかもしれない。


●書籍『書物の変―グーグルベルグの時代』より
港 千尋 著
せりか書房 (2010年2月初版)
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