扇谷 正造 氏 書籍『現代文の書き方~12の心得』より
このページは、書籍『現代文の書き方~12の心得』(扇谷 正造 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・フランスのある作家の手紙に、「きょうはヒマがないから、短い文章は書けない」という言葉あるそうですが、まことに短い文章を書くことはむずかしい。
・NHKのラジオ・ニュースの標準話数は、三分間で約一千字といわれる。
・人にあきさせないといえば、ミュージック・ボックスの一曲分は三分間、いまはちょっと変わりましたが、国電の駅と駅の間隔は、もと三分間で運行できるように距離をはかったといわれている。その外に、ボクシングのワン・ラウンドが三分間、電話の一通話が三分間・・・・・・
・一字のちがいでこう変わる(中略)
米洗う前に蛍が二つ三つ
米洗う前を蛍が二つ三つ(中略)
前の句だと、蛍は静止しているが、後の句だと、蛍は動いている。静と動、この二つが、たった一字のちがいで浮き出せることができる。句としては、はるかに後のほうがいいと思います。
・言葉の選択三つの条件(中略)
1、突飛な言葉や新語など、やたらに使用しないこと。
2、使う言葉の意味をよく知っていること。そしてそれらの組合せによって、新鮮な感覚をうち出すこと。
3、手ごたえのたしかさを知ること。
・文章道の極意は、「達意簡明」といわれます。「達意」とは、十分に意をつくす、過不足なく自分の思っていることを相手方に伝えること。「簡明」とは、簡単で明瞭であること、この二つです。
・いちばん誤用されているのは “ ” である。私は、この記号は、文章にアクセントを置くとか、あるいはその言葉が、なにか象徴的な意味を持っている場合に使うべきだと思います。
・現代文の書き方12の心得(中略)
1 書く前にメモをつけること。
2 メモの内容は5WIH。(中略)
3 相手は個人か、大衆か。個人なら先輩か同僚か、後輩か、あるいは親しいかそれほどでもないか。その点をはっきりさせておくこと。
4 メモを中心に、文章の構成を考える。それは、ごく大ざっぱにいって三つの部分にまとめてみる。(中略)
5 メモをみながら原稿を、まず頭の中で書いて行く。
6 言葉をえらび、吟味すること。
7 まず書きやすいところから書いていく。(中略)
8 文章は短文のつみかさね、を原則とする。
9 句読点をちゃんとうつこと。
10 読みかえせ。
11 相手の立場になって、これでわかるかしら、失礼にならないかしら、などの検討と確認。
12 感情に激して書いた手紙は、一日寝かせること。手紙も自分も。(中略)
・文章が上手になりたい(中略)
第一は、「習うより慣れろ、」ということです。自分でいいと思う文章、好きな文章をくり返して読むことです。なるたけ、声を出して読むといい。すると聴覚がリズムを、目が字くばりを自然と覚えこんで行くでしょう。
第二には、今みた風景、人物、何でもよい。目にふれたものを文字でかき現してみるということです。(中略)
第三には、いつも何かを書いていること。(中略)私は日記をつけることをおすすめする。
●書籍『現代文の書き方~12の心得』より
扇谷 正造 著
講談社 (1965年9月初版)
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