小林 恒也 氏 書籍『出版のこころ~布川角左衛門の遺業』より
このページは、書籍『出版のこころ~布川角左衛門の遺業』(小林 恒也 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・岩波書店時代、編集者として「西田幾太郎ら多くの碩学に接して、職能の上だけでなく、個人的にも深い精神的恩恵を受けました。」
・一九六九(昭和四十四)年三月、日本出版学会の創設に参加し、副会長、会長を務め、出版学会の運営に多大の貢献をされました。
一九六九(昭和四十四)年四月、栗田出版販売代表取締役社長に就任し、その後取締役会長、相談役を歴任されました。(中略)
一九七九(昭和五十四)年十二月、筑摩書房の管財人・代表取締役に就任し、以後七年三か月にわたって同社の再建に尽力されました。
一九八〇(昭和五十五)年十一月、永年の出版界への貢献に対し、勲三等瑞宝章を受賞されました。
一九八一(昭和五十六)年、出版資料館を構想して長年にわたり収集した「近代出版史資料」約二万点を国立国会図書館支部上野図書館へ寄託されました。この資料は「布川文庫」とよばれております。(中略)
著書には、サー・スタンリー・アンウィン著、美作太郎共訳『出版概論』ほか多数あります。
・『国際出版連合』
参考:国際出版連合(IPA)のウェブサイトはこちらから
http://www.internationalpublishers.org/
・出版社の資本は金銭ではない、図書目録である
・出版社の努力目標というのはね、文化的価値と商品的価値のバランスをいかの調節するかということです。
・編集者は文字と文章を愛し、書物を愛し、文化を重んじなければならない
・「編集者に必要な条件」として、次の五点をあげている。
①知的好奇心・探究心、
②識見と理想、
③着想力と構想力、
④健康、
⑤文化への愛情。
特に、①知的好奇心・探究心では、「編集者は知的好奇心・探究心・知識欲の持ち主でなければならない。ひとつの問題をつかまえたら、その輪郭、核心、状況を知りつくさなければ気がすまない、そのためには骨惜しみをせず、おっくうがらないという気質をもつべきである」と
・編集には広義と狭義の二つがある。つまり、広義の編集は、『公表する目的のもとに著者物その他の資料を一定の方針のもとに整理、配列し、特定の媒体に適するように整えること』を意味し、これには出版の場合ばかりでなく、映画の編集や放送番組の編成も含まれる。
・いうまでもなく、およそ概念とか定義づけは、いかめしく、堅苦しいものである。
・出版業は芸術と技能と商売とを一緒にしたもの
・東ドイツを訪問した。このときライプツッヒで中央図書館とそこの「本の博物館」を見学した。布川が「布川文庫」の延長上に出版資料館から本の博物館を構想したのは、そのときであった。
・(※国立国会図書館への)正式寄託のために作成された「目録」によれば、和図書の部が八二〇二点、逐次刊行物の部が一一七七タイトル七〇六八冊、洋図書の部が四二二タイトル四二六冊、その他に原稿、記録、書簡、切抜きなどの現物資料を含めると総計二万点にのぼるとされている。
「目録」の分類は、布川によれば、次のようになっている。
(1) 出版文化・出版史・出版状況・出版事情および出版論に関するもの。
(2) 出版年鑑・出版目録・各種の図書目録に関するもの。
(3) 出版社史および出版人・出版関係団体に関するもの。
(4) 出版社・取次・書店など出版業とその業務に関するもの。
(5) 編集をはじめ装丁・レイアウト・校正など造本に関するもの。
(6) 印刷・用紙・製本など関連分野に関するもの。
(7) 著作者・読者・読書・図書館に関するもの。
(8) 書物・書誌・書誌学に関するもの。
(9) 検閲・出版取締・出版統制に関するもの。
(10) 言論出版の自由・出版論理に関するもの。
(11) 著作権法・出版法をはじめ関係法制に関するもの。
(12) 新聞のほかジャーナリズム一般に関するもの。
(13) 広告・マスコミなどに関するもの。
(14) その他、特殊な出版物・特別の意味をもつ出版物に関するもの。
・布川角左衛門は現在、東京都台東区上野桜木の東叡山円珠院に「穎光院文徳朝雲居士」として眠っている。
●書籍『出版のこころ~布川角左衛門の遺業』より
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