書籍『最高齢プロフェッショナルの教え』(徳間書店 刊)より
このページは、書籍『最高齢プロフェッショナルの教え』(徳間書店 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
●「漫画家」 やなせたかし氏(中略)
・今も三越で使われている包装紙の「Mitsukoshi」の文字は、実は僕が書いたものなんですよ。当時は、会社員として宣伝の仕事をしながら漫画の投稿もしていました。二足のわらじを履いていたんです。
・漫画家稼業は潔い世界でもあります。人気がなかったら、はい、おしまい。それだけだもの。ほかの世界なら、おべっかだろかコネクションとかがいくらかは通用するでしょ。だけど漫画の世界にそんなものは皆無。
・運に巡りあいたいなら、何でも引き受けてみるといい
●「パイロット」 高橋淳氏
・レッスン時間の6~7割は褒めて、教えるのは3~4割。離陸から着陸まで、教えようと思ったらいくらでも教えられますが、それを1から10まで言っても生徒さんの頭に入りません。一回のフライトで教えるのは1つか2つがせいぜい。
・せっかく生まれてきたんだから、僕は死ぬまで進歩したい
●「ギター職人」 矢入一男氏
・木は、同じ名前、同じ厚み、同じ寸法でも、人間と一緒で性質がばらばらです。こういうものに接するにはコンピュータでは無理。人間が持っている“勘ピュータ”だけが頼りです。
・今の安いギターは、買うときが一番高くて、時間がたつほどにタダに近づいていくでしょう。逆だよ。持てば持つほど愛着がわいて価値も出る。そういうギターこそが、本物なんです。
●「喫茶店店主」 関口一郎氏
・銀座の路地裏にある「カフェ・ド・ランブル」は、コーヒー通の間では知らない人はいないといわれる銀座の名店。古くは永井荷風や水谷八重子といった著名人も数多く足を運んだ。あのジョン・レノンとオノ・ヨーコも姿を見せたが、満席で断ってしまったという逸話もある。
・さんざん試した結果、一番おいしくつくれるのが綿ネルのフィルターだった。それも裏表に起毛のあるネルではなく、片毛のネルの毛羽立ったほうが外側にして使うといいの。今、うちの店ではこの方法の「ネルドリップ」をしてるけど、「一番おいしい方法だ」と自信を持って言えます。
・コーヒーカップひとつとっても、おいしいコーヒーが飲めるカップというのがある。あたしは薄手じゃないと気に入らないの。中に入っているコーヒーが透けて見えるくらいの薄さだと、唇に当たったときに良い気分にさせてくれる。厚手もものじゃコーヒーはおいしくない。
・気に入らないところがあると、器具をバラバラに分解して「こうするとよくなる」というのを考える。
・ものごとは「なぜ?なぜ?」と掘り下げていくうちに、面白くなっていくもの。それが好きになるということじゃないかな。
●「ライフセーバー」 本間錦一氏
・あきらめちゃ、ダメだよ。自分を信じてまっすぐ進むといい
●「スキーヤー」 高橋巌夫氏
・挑戦する元気が湧かないんだったら、読む、書く、聴く、動く、です。脳を刺激して、考える力を鍛えるには本が一番。
●「ピアニスト」 室井摩耶子氏
・音符と休符は言葉と同じです。演奏家は、「作曲家はこういうことを言いたかったんだろうな」ということを楽譜から探し出さなければなりません。演奏家は、作曲家の伝えたかったことをを表現する職業です。
●「杜氏」 継枝邑一氏
・つらくて辞めたくなったら「あと、2日だけやろう」と考えればいい(中略)
2日たったら「あと3日いてみよう」、その次は「1週間がんばろう」。いつの間にか仕事にも慣れて辛くなくなります。
●「DJ」 安藤延夫氏
・人に求められることは大切にしなくちゃいけません。誰かのために何かをするということで、自分も元気をもらえますし、生きる活力になります。
●「バーテンダー」山崎達郎氏
・カクテルは、自分がおいしいと思うものではなく、お客さまの好みやその日の体調に合わせてつくります。「今日はお疲れだな」と思ったら、スタンダードのレシピに少し甘みを加えるなど微調整をしていくんです。
・お客さまの好みを会話や表情から察して微調整していく。これは長年の経験がものをいうのです。
●「JRA騎手」 安藤光彰氏
・職業をどう選んでいいか迷う人も多いでしょう。それなら「他人をより優れているところ」を軸に選んでみるといいと思います。(中略)もし思いつかなければ、「人と違う」というところでもいい。
例えば、僕の場合は「身体が小さい」ということでした。身体が小さいから騎手に向いていた。普通なら身体が小さいというのはコンプレックスになるかもしれませんが、プラスに考えてみたら「強み」に変わっていったんです。(中略)
マイナスは考え方ひとつでプラスになる、ということですね。
・休むことがあっても、また、走り出せばいい。ずっと走る続ける人間なんていないんだから
●「声楽家」 喜納愛子氏
・歌は、詩の心がわからなかったら、人の共感を与えられません。詩の心を自分で感じることができなかったら、人に伝えることはできません。「ああ~」という発声ひとつとっても、楽しい声色もあれば悲しい声色もある。その詩の心を目の前にいる人に、語るように歌って伝えるんです。
・「つまらない」という人は、自分から求めていないからじゃないかしら。楽しいことなんて口を開いて待っていたって、向こうからやってくるものではありません。
●書籍『最高齢プロフェッショナルの教え』より
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