野田 聖子 氏、根津 八紘 氏 書籍『この国で産むということ』より
このページは、書籍『この国で産むということ』(野田 聖子 著、根津 八紘 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・理屈ではなく、ただ子どもが欲しいのだ
・女性が働いているから子どもを産まないという「定説」はまっかなうそ。データ的には働いている女性のほうが多く子どもを産んでいるのです。現在の先進国では、出産・育児期、つまり、二十五~三十四歳の女子労働力率の高い国ほど出生率も高い、という事実があります。(中略)
これらのデータが示しているのは「女性が就業しやすい社会的条件の整備が進んだ国では、子どもも産みやすい」という事実にほかなりません。
・議員が自己宣伝ともとられかねない本を出すことへの抵抗もありました。しかし個人的な体験を赤裸々に語ることが、私と同じように子どもに恵まれないカップルにとって、なんらかの救いになれば、という思いが背中を押しました。
・不遜な言い方かもしれませんが、私には不妊に悩む人々の苦しみを代弁する義務があると思ったのです。
・だれからも後ろ指を指されないようにすることが「政治家・野田聖子」に望まれていることではないかと意固地になっていたようにも思います。仕事場でも家庭でも吐き出すことのできない鬱憤のはけ口を、私はネット上に求めました。
・自分を大切にしよう。自分で納得のいくことだけをしよう。ここで応援しておけば、私が苦しいときに助けてくれるだろうとか、そういう見返りを求めるような仕事はやめよう。権力に対してはとことん戦い、弱い者を守るという政治家の本分に立ち返ろう。流産というつらい経験を通して、私は政治家としてのスタンスを改めて確認したのでした。
・「家庭も個人の集まりだ」というのが父の言い分で、子どもでもそれぞれの自主性を尊重してくれ、やりたいことはなんでもやらせてくれました。
・小さくて、弱い者を守らなければ------これは子どものときからの私の信念です。
・一年間のアメリカ留学生活で気づいたことが二つあります。一つは日本人でありながら、日本についての説明がきちんとできなかったこと。(中略)二つ目は、(中略)アメリカはすばらしい、みんな格好いい人ばかりとの思い込みが崩れたことです。
・頼まれたり周囲に期待されたりすると、「よっしゃ、一つやってやろうじゃないか」と燃えるタイプなのです。
・落選中の三年間は、一所懸命でしたが悲惨でした。来る日も来る日も戸別訪問の日々。三年半で九万軒の家を訪ねました。一日のノルマは百から二百軒。
・提供者が夫と同じ血液型であること以外の要望はしませんでした。それ以外の要望を出すことは、親のエゴで自分好みの「デザイナーズベイビー」をつくりあげてしまうことにならないかという強い懸念があったからです。どのようなかたちであっても赤ちゃんは授かりもの。授かったいのちを真摯な気持ちで受け入れ、守り大切に育てる。それが親の責任だと思うのです。
・向井亜紀さんの主治医だったドクター・フォークを、アメリカ・ネバダ州に訪ねました。まず驚いたのは、不妊治療では全米トップ10に入るといわれているそのクリニックが、都会から離れた不便な場所にあること。(中略)
ドクターの話でとくに印象的だったのは、アメリカでは代理出産が特別なものではなく、不妊治療の一つの選択肢として広く認知されているということ。
・守るべきは学会や産婦人科医の業界の既得権ではなく、あくまで患者さんの利益のはずです。
・多様な選択肢を自己責任で(中略)
国が国民を幸福にできるという時代ではない。これからは、国が国民を一つの方向に導いていくのではなく、国民の成熟を信じ、自己責任で選択の幅を広げること(中略)
大事なのは、必要なガイドラインを整えたうえで、人々に多様な選択肢を与えることではないでしょうか。
・夫婦別姓はふしだら?(中略)
さんざんなことを言われました。「子どもがかわいそう」という声が、いちばん多かった。その「かわいそう」という言葉自体が差別だなあと思いました。現実に両親の名前が異なる子どもたちがたくさんいるのに、その子がそうでない「普通の」子どもと比べてなぜかわいそうなのか、なぜ差別されなければならないのか。両親がそろっていて名前が同じカップルから生まれた子は○、片親だったり名前が違っている場合は×とか、その出自によって子どもを差別することはあってはならないことです。
・「特別養子制度」の二つの養子制度があります。
・倫理は絶対的倫理と相対的倫理があると思います。絶対的倫理には、
(一)人を殺傷してはならない。
(二)人のものを盗んでならない。
(三)人を売買してはならない。
(四)人をだましてはならない。(中略)
一方、相対的倫理は、価値観、既成概念ともいえるもので、当然のことながら社会や時代、状況によって変化する、またしなければならないものと思います。
・一二週未満の赤ちゃんは自治体にもよりますが、“感染症廃棄物”(一般的には医療廃棄物という)なんです。
●書籍『この国で産むということ』より
野田 聖子 著
根津 八紘 著
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