井上 ひさし 氏 書籍『ふかいことをおもしろく~創作の原点』より
このページは、書籍『ふかいことをおもしろく~創作の原点』(井上 ひさし 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・遅筆堂文庫(ちひつどうぶんこ) 一九八七年八月、井上ひさしさんの蔵書七万冊をもとに故郷・山形県川西町に誕生した図書館施設。二〇一一年四月現在、本や資料二十二万点を収蔵している。
・情報をどんどん入れて知識になり
知識を集めて知恵を作っていく
どんな仕事もきっと同じはず
・僕の蔵書は二十万冊あまりといわれています。確かに、一日三十冊くらいのペースで読んでいますので、そのくらいになるかもしれません。
・本の読み方には自分なりの方法があるのです。(中略)たとえば、本で何かを調べるときには、まず目次を読んで、その本で著者が言いたいことを探ります。日本の学者は、たいてい結論を最後に持ってきますから、まず最後の方から見るのです。そこに思ったほどのことが書かれていなければ、その本は前半もそれほどではないだろうと勝手に考えます。逆に一部を読んで面白かったら全体を読んでいきます。
・上智大学への進学を機に上京したのですが、訛りのことでずいぶん悩みました。東京へ来たっていうことだけ緊張して吃音にもなってしまい、さらにうまく言えなくなるのです。(中略)「四ツ谷」が「ヨチヤ」としか言えませんでした。
・理屈でわかっているようなものを書くと、全然面白くありません。いいものを書くためには、練って練って、これじゃ駄目、あれも駄目、これも駄目と、何度も何度もやってはじめて出てくるものを信じています。
・芝居の場合は、特に最後のせりふが出てこないと、最初のせりふが書けません。それから、最初のせりふが二番目のせりふを引き出して、二番目のせりふが三番目を引き出して・・・・・・と、全部を組み合わせながら書いていきます。
・人間は、生まれてから死へ向かって進んでいきます。それが生きるということです。途中に別れがあり、ささやかな喜びもありますが、結局は病気で死ぬか、長生きしてもやがては老衰で死んでいくことが決まっています。
・日本語は、常に変化しているものですから、「昔は正しかった」というものは間違えだと思っています。たとえば、昭和のはじめ頃までは、「とても」の下には「とても、かなわない」や「とても苦手だ」のように、必ず否定がつくのが定義でした。(中略)
しかし、いつしか「とても」は自立して「強調」に使われるようになり、今は「とてもおいしい」や「とても元気だ」という否定以外の使い方が当たり前になっています。つまり、使う人が増えて、それがおかしくないという意識になれば、それは正しいとなるわけです。
・「それ、わかりませんので教えてください」
と無知のふりをして聞き返せばいい
やっぱり無知が一番賢いのです
・手が記憶する
記憶した手で
新しいことを作っていく
・本とは、人類がたどり着いた最高の装置のひとつだと思います。
●書籍『ふかいことをおもしろく~創作の原点』より
井上 ひさし 著
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