高須 次郎 氏 書籍『再販/グーグル問題と流対協』より
このページは、書籍『再販/グーグル問題と流対協』(高須 次郎 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・新規出版社の場合、取次ルートだけにたよっていたら、キャッシュフロー経営は不可能だと考えたほうがいい正味と取引条件になっている。
高須:まさにそうです。大手出版社と零細小出版社との取引条件の隔差は開くばかりで、この三十年間進んできたことになります。かつて日書連が出していた正味一覧表というものがあった。それを見ると、岩波書店、講談社、小学館などすべての版元の正味が出ていて、定価別正味は見えないようになっているが、一般正味は全部わかる。それだけを見ても、いかに優遇されているかどうかがわかる。
・現在の出版業界の一般的なマージン構成は、版元出し正味六九掛け、取次出し正味七七掛け、つまり取次マージン八%、書店マージン二三%である。
次に歩戻しです。新刊委託の際に配本手数料という名目で、「歩戻し」「仕入れ割引」といった名前の手数料を出版社は取次に取られる。これは重版委託や長期委託、常備委託についても課せられることが一般化しています。歩戻しの金額は、総定価(その本の定価×委託部数)の何%という形をとっていて、三%程度が支払いから控除されるのが、一般的です。配本手数料、返品に対する運賃補充といった名目がいわれるが、理由は定かではない。
・ロバート・ダーントンの「グーグルと書物の未来」(高宮利行訳、『思想』二〇〇九年第六号、岩波書店)によると「〇八年までにデジタル化したと報告されている七〇〇万冊の書籍のうち、一〇〇万冊はパブリック・ドメイン(著作権保護期間切れ)にある作品で、一〇〇万冊は著作権があって市場にあるもの、残りは五〇〇万冊はあるが絶版状態の書籍である」といわれています。
●書籍『再販/グーグル問題と流対協』より
高須 次郎 著
論創社 (2011年3月初版)
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