高橋 輝次 氏 書籍『編集の森へ~本造りの喜怒哀楽』より
このページは、書籍『編集の森へ~本造りの喜怒哀楽』(高橋 輝次 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・編集者とは、著者に対して、「誘惑者」であると同時に驚かせる者、詐欺師、幻術者のようなものでもある、と言われる。
山口昌男氏談
・単行本出版の編集者は、特定の興味のある分野にぐっと焦点を絞って読書し、著者の書くものをけっこう読みこんだ上で、いわば読者ファンの代表として企画する面がある。ある程度読んだ上でないと、手紙の一通だって書けはしないのだ。
・自分で選んだ著者ならまだあきらめもつくが、関心もない分野の著者を受動的に担当させられるのだから。やりきれなく、時々憂うつになった。
・話の上手な方と文章の巧みの方に大方は分かれるようだ。両方兼ね備えた方は河合隼雄他、わずかしかおられなかった。
・作家の田辺聖子氏の小説のタイトルは、平易な日常の口語が多くて、いつも面白い。『すべってころんで』『夕ごはんたべた?』『窓を開けますか?』『苺をつぶしながら』といった調子である。
・阿部孝嗣氏という平凡社の編集者も、かつて『彷書月刊』に載ったエッセイで、本の顔がタイトルとすれば、装幀は「化粧」ということになる、と書いておられた。
・雑誌の「編集後記」も、編集者の本音や、編集現場の熱気が臨場感をもって伝わってくることがあり、面白くてよく読む。
・索引は索隠とも書かれ、「隠れたるを索める」という意味
・松本幸一氏が「奥付史研究試論」という興味深い論説を寄せられておられる。
・献本の話(中略)
新刊が出来上がると、できるだけ早いうちに、著者関係や新聞社、専門雑誌などに紹介や書評をしてもらうことを願って、規定の冊数五十冊内に絞って出版社から無料で献本する。(中略)できるだけ宣伝効果がありそうな人を選んでもらうよう、お願いする。
・書評新聞も最近よく読んでいるが、『図書新聞』の方は、若手や中堅の研究者を多く起用していて力のこもった書評が多いように思われる。マイナーな出版社の広告も多く、読書人には見逃せない情報だろう。
・海竜社のエッセイ集は、殆んど女性向けに造られている。
●書籍『編集の森へ~本造りの喜怒哀楽』より
高橋 輝次 著
北宋社 (1994年6月初版)
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