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湯浅 俊彦 氏 書籍『電子出版学入門』より

このページは、書籍『電子出版学入門』(湯浅 俊彦 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・出版学=社会現象としての出版事象を研究対象とする学問。
出版=書籍あるいは雑誌を生産し流通する過程をいう。


・電子出版学と電子出版は、次のように定義することができる。
電子出版学=電子出版を研究対象とする学問。
電子出版=デジタル化された出版コンテンツをパッケージ系電子メディアやネットワーク系電子メディアを用いて読者に著作物として頒布する行為。


・「電子ブック」はキヤノン株式会社の登録商標


・「EBOOK」はソニー株式会社の登録商標


・日本書籍出版協会の出版契約の雛形は次のようになっている。
「第20条(電子的使用)甲は、乙に対し、本著作物の全部または相当の部分を、あらゆる電子媒体により発行し、もしくは公衆へ送信することに関し、乙が優先的に使用することを承諾する。具体的条件については、甲乙協議のうえ決定する。

2.前項の規定にかかわらず、甲が本著作物の全部または相当の部分を公衆へ送信しようとする場合は、あらかじめ乙に通知し、甲乙協議のうえ取扱いを決定する。」


・細島三喜「『やらなきゃ、やられる』―電子文庫パブリの誕生まで」『電子出版クロニクル』(日本電子出版協会、2009)


・『電子書籍ビジネス報告書 2010』(中略)によるとPC向け電子書籍市場規模が2008年度から下降したように、ケータイ向け電子書籍についても2013年度から下降し、代わって新たなプラットフォーム向け電子書籍が成長していくと予測している。


・『電子書籍の流通・利用・保存に関する調査研究』(国立国会図書館、2009)


・紙媒体を中心とする日本の出版流通の特徴は、以下の3点である。

(1)取次が流通の中心的役割を担っていること。
(2)委託販売制によって新刊が流通していること。
(3)再販制によって定価販売が一般的であること。


・電子出版物と紙媒体の出版物の違い(中略)植村八潮氏(東京電機大学出版局長)は8つの特徴を挙げている。

(1)デジタルコンテンツの複製物は複製元と同等で劣化しない。
(2)誰でも簡単にすばやく複製・加工が行える。
(3)誰でも簡単に著作物を創作し発信できる。
(4)流通が簡単になりコストが大幅に低減する。
(5)蓄積や保存が簡単でランニングコストが安い。
(6)著作物が有体物から離れ無体物とすて遍在する。
(7)デジタル著作権管理技術の導入。
(8)再生装置が不可欠である。


・大阪の住吉大社の御文庫(おぶんこ)は、享保8(1723)年に大阪・京都・江戸の本屋が自分たちが出版した本を奉納した蔵である。火事で版木を失った版元はこの御文庫に初版本を借りに来ることができた。


・紙媒体の出版物の優位性(中略)

(1)機器を用いずに読むことができる。
(2)目が疲れにくい。
(3)持ち運びが簡単で、読むための時間や場所が限定されない。
(4)ページ概念がある。
(5)文書の量が簡単に把握でき、好きなページを瞬時に開くことができる。
(6)書き込みやアンダーラインを引くことができる。
(7)書架に置いても背表示で確認でき、読んだ本を空間配置できる。
(8)装丁や紙の手ざわりなど質感によって記憶に残る。
(9)著作権関係が簡明で、古本として転売しやすい。
(10)行間を読むことを味わいながら読むことができる。


・電子書籍の優位性(中略)

(1)本文の検索ができる。
(2)最新の情報が入手できる。
(3)必要な情報だけを入手することができる。
(4)文字情報だけでなく、音声、静止画、動画を収録することができる。
(5)引用や参考文献などにリンクすることができる。
(6)流通コストを低減し、価格を安くすることができる。
(7)大きなデータを搭載することができる。
(8)文字を拡大したり、音声読み上げソフトを利用することができる。


・紙と電子の共存へ

つまり紙か電子かという二者択一ではなく、出版コンテンツによって棲み分けが行われることになるのである。


●書籍『電子出版学入門~出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ』より
湯浅 俊彦 著
出版メディアパル (2010年9月初版)
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