野口 悠紀雄 氏 書籍『「超」発想法』より
このページは、書籍『「超」発想法』(野口 悠紀雄 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・「超」発想法の基本原則
1 基本五原則
第一原則 発想は、既存のアイディアの組み換えで生じる。模倣なくして創造なし。
第二原則 アイディアの組み換えは、頭の中で行なわれる
第三原則 データを頭に詰め込む作業(勉強)がまず必要
第四原則 環境が発想を左右する
第五原則 強いモチベーヂョンが必要
・創造性のある人々とない人々との間には、たった一つしか差異しかないことが発見された。それは、「創造的な人々は自分が創造的だと思っており、創造的でない人々は自分が創造的でないと思っている」ということだった。(中略)
「創造性がない」とは、単に、「自分は創造性がないと思い込んでいること」なのだ。あるいは、「自分は創造的だと思えば、創造的な活動ができるのだ」ともいえる。
・一度成功した方法は、繰り返し試してみても成功する確率が高い。だから、「成功体験に学ぶ」という方法は、合理的なものだ。
・求めていたから見出せた(中略)
きっけかは偶然であって、コントロ-ルできない。しかし、重要なのは、それを待ち構えていた姿勢なのだ。それさえあれば、きっかけは、他のものでもよい。きっかけ自体は、それほど重要ではないのだ。
・考え続けていれば、周囲の状況を吸収できる能力が高まり、きっかけをつかむことができる。だから、発想の条件は、考え続けることだ。
・アイディアが生み出されるまでの過程は、没頭期、潜伏期、啓示期に分けられる。
・「本の最初の半分を読んだら後の半分の筋書きを考える」というのが、バーナード・ショウの想像力トレーニングだそうである。ジョン・F・ケネディは、本の中で問題が提示されると、いったん本を閉じて自分で考える訓練をしたという。
・単純分類を信じるな(中略)
誤った分類を信じ込み、それですべてを律しようとすれば、「思い込み」に陥る。誤った分類の典型として、「文系、理系」がある。ここから、「文系だから数学がわからなくて当然」「文系だからパソコンは使えない」(中略)等々の「思い込み」が生じる(中略)つまり、これは、言い訳のための理論である
・手許にある何冊かの本で提唱されている「発想法」を列挙してみると、つぎのような具合だ。
連想法、刺激語法、連想ゲーム法、イメージ・カタログ法。
シネクティクス、KJ法、NM法。
マトリックス法、プロセス分析、多角化分析法、パレート図。
ツリー構造法、関連樹木法、系統樹木法、形態分析法。
フローチャート法、チェックリスト法。
・模倣から脱却(中略)
何でも模倣すればよいというわけではない。模倣の対象を誤ってはならないのだ。例えば、飛行機は、鳥の模倣を捨てたときに成功した。飛行する機械を作る際の模倣の対象として、鳥は適切なものではなかったのである。
・昔から、アイディアが生まれやすい場所として、「三上(さんじょう)」ということがいわれてきた。これは、枕上(ちんじょう)、馬上(または鞍上)、厠上(しじょう)である(北宋の文人政治家欧陽脩の言葉)。私の場合も、これとほぼ同じであり、散歩、風呂、そしてベッドだ。運転中の車の中をいれてもよい。(中略)
ただし、再度強調するが、重要なのは散歩の前に頭を一杯にしておくことだ。それがなくては、息抜きに終わる。(中略)頭がカラでは、いくらゆさぶっても、何も出てこないのだ。
ポイント
「頭を材料で一杯にしてから歩く」ことは、発想のための最も手軽で最も確実な技術である。
・テレビ漬けの生活が続くと、脳がつねに受動的状態を求め、つねにリラックスすることを求めるようになる。したがって、「セサミストリート」のような教育番組でさえ、子供の脳に悪影響を与えると指摘される。
・既存のものを組み合わせて新しい組み合わせを作るには、別の考えに接触するのがよい。そのためには、人と接触するのが最も効率的だ。(中略)
読書は、著者との対話である。生身の人間を相手にするのと違って、誰にもでもできる。
・問題意識を持って本と格闘する(中略)
対話のためには、受動的に読むのではなく、能動的に読む。このためには、自分自身の問題意識を持っていることが前提だ。
・文章が読みにくくなる大きな原因の一つは、よけいな記述が残ってしまうことだ。だから、読みやすい文章を書く最大の秘訣は、削れるだけ削ることなのである。つまり、「どれだけ書くか」ではなく、「どれだけ削るか」が、文章執筆の要諦なのだ。
・小学校でインターネットを教えるべきだという意見があるが、インターネットで得られるのは、細切れの情報でしかない。学校で教えるべきものは、それらを体系づける知識だ。
・本書が提唱している方法論は、煎じ詰めれば、つぎのようになる。
(A) 「発想とは、誰も考えつかなかった独創的なものを考えだすこと」という思い込みをやめる。そして、「少なくても出発点は、模倣でよい」と割り切る。
(B) とにかく始める。準備できていなくてもよい。全体構造がなくてもよい。とにかく仕事に着手するのだ。仕事を始めさえすれば、そして、それについて考え続けさえすれば、アイディアはでてくる。
●書籍『「超」発想法』より
野口 悠紀雄 著
講談社(2006年6月初版)
※amazonで詳細を見る