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日本の書店数(書店マスター管理センター集計) 寄稿:冬狐洞隆也氏
日本出版インフラセンターの全国書店「店舗数推移」を紹介したい。
年 |
実店舗数 |
1,000坪以上 |
300坪以上 |
新規店 |
廃業店 |
2003年 |
13,661 |
38 |
587 |
440 |
1,169 |
2004年 |
13,325 |
45 |
692 |
410 |
1,634 |
2005年 |
12,775 |
51 |
772 |
480 |
1,879 |
2006年 |
12,452 |
57 |
868 |
450 |
1,340 |
2007年 |
12,079 |
62 |
960 |
475 |
1,592 |
2008年 |
11,689 |
71 |
1,032 |
434 |
1,010 |
2009年 |
11,578 |
72 |
1,052 |
336 |
698 |
2010年 |
11,404 |
76 |
1,064 |
282 |
541 |
2011年 |
11,206 |
82 |
1,068 |
241 |
490 |
書店の実店舗数と新規店、廃業店の推移
書店の実店舗数と坪数ごと推移
※一般社団法人日本出版インフラセンター「店舗数推移」より作成
全書店数 16,722店。ただ、本を置いていない数もカウントされている
書店マスター管理センターによると、日本の書店数は総店舗数が 16,722店と発表した。取次から申請のあったものを集計しているので全てが書店とは限らない。中には実体のない書店もある。実店舗数(※坪あり店舗数) 11,206店とは、管理センターへ店の坪数の報告をしている書店数で、本社機能・総務機能・外商部機能等、商品を置いていない数も総店舗数としてカウントされている。
2003年比 300坪以上は 1,068店で 81.9%増。1000坪以上は 82店で 2003年比 2.2倍となった。店舗数は減少し大型・複合化が進んでいることが判明した。出版物だけでの書店経営は厳しい状況で、複合化は益々拡大する状況にある。坪数が大きくなったからといって、全て出版物が陳列されるとは限らない。廃業店は 100坪以下の書店に多く資本力がなく・坪数の少ない書店は複合商品を置く場所もなく、よほど立地に恵まれないと書店経営の継続は厳しい。
日本のチェーン書店( 5店舗以上)は 110企業 4,500店舗と推定
日本のチェーン書店(5店舗以上)には、蔦屋書店・宮脇書店・未来屋書店・丸善CHI・くまざわ書店・文教堂書店・ワンダーグー・本の王国・アシーネ・リブロ・三洋堂書店・紀伊國屋書店等がある。いずれも書店であってもその内容には色々あり、個性もある。近未来はチェーン書店とネット書店だけが残り、独立書店は益々影が薄くなっていくであろう。
書店経営というビジネスモデルは、日本人の人口構成の変化によって地方から順に崩壊していると言っても過言ではない。リアル書店を苦境に立たせているのが、ネット書店の急成長と雑誌販売の売り上げ不振である。ネット書店の急成長・読者の支持は中古書店の比ではない事をリアル書店は理解していない。そんな中で地方の都市を中心に大手チェーン書店が進出し、中小零細書店は益々苦しくなってきているのが現状。
負のスパイラルから脱せない書店
中堅・大手チェーン書店も苦しくなっている。地方都市の一番店争いが進み、店舗間競争が激化。結果、支払いに充てる資金を工面するために、不振の既存店を廃業・撤退する必要性が生じて来ている。書店の中には業態の変更をしているところもあるようだが、成功しているとは聞いていない。
書店の現場も荒れてきている。経費削減からベテラン書店員(店に寄与してたかは分からない)をリストラし、アルバイトばかりの人員構成では、商品を理解しておらず、発注も出来ず棚が荒れて来ている。したがって、読者が離れるのは時間の問題だ。
書店を取り巻く環境は絶望的である。電子書籍が噂されているが、それが成長しようがしまいがリアル書店のビジネスとして成り立たなくなる日は遠くないと考える。その時、出版社と問屋である取次はどの様な方向に向かうのだろうか。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏