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佐々木 俊尚 氏 書籍『キュレーションの時代』より

このページは、書籍『キュレーションの時代』(佐々木 俊尚 著、筑摩書房 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・音楽のように言語の違いの壁をたやすく超えてしまう文化は、いまや国ごと民族ごとの違いよりも、文化圏域ごとに違いの方がずっと大きくなってしまっているのです。浜崎あゆみと倖田來未とレディー・ガガとP!NKはどこかでつながりあっている


・ある情報を求める人が、いったいどの場所に存在しているのか。そこにどうやって情報を放り込むのか。そして、その情報にどうやって感銘を受けてもらうのか。この三つは、言ってみれば情報の流れを究極の課題です。


・この「情報を求める人が存在している場所」を、本書ではビオトープと呼ぶことにしましょう。


・ビオトープをどこに見つけるのか?(中略)

エグベルト・ジスモンチを愛する人たちのビオトープは、いったいどこに存在するのか?プロモーターの田村直子さんが直面したのは、そういうとても難しい課題でした。(中略)


田村さんが目を付けたのは、マリーザ・モンチというブラジルの女性シンガー。(中略)その公演を狙い撃ちして、田村さんは、あのシンプルきわまりない、URLだけを書いたフライヤーを配布します。(中略)


さて、次に田村さんが目を付けたのは、「現代ギター」という雑誌。一般の知名度はあまりないかもしれませんが、一九六〇年末に創刊され、クラシックギターの世界では知らない人はいない老舗有名雑誌。この雑誌の特徴は、ギターのありとあらゆる情報がサラダボウルのように詰め込まれていることでしょう。(中略)


ギターを愛好する人の多くは「ギターの音楽を聴く人」であるのと同時に、「ギターを演奏する人」でもあるということ。つまりリスナーとプレーヤーが合致している場合が多いのが、クラシックギターというビオトープの特徴なのです。(中略)


このように「圏域は小さいけれども、情報流通は濃密」というコミュニティの関係性は、インターネットととても高い親和性を持ちます。実際、クラッシクギターファンの多くはSNSのミクシィにかなりの数が集まっていて、多数の「コミュ」に参加し、数千人から数百人ぐらいの規模のビオトープを形成していました。(中略)


そうして彼女はミクシィを歩き回っては、情報を投げ込んでいきます。


・『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(中略)

ストーリーの展開は予測できないし、登場人物ひとりひとりのキャラクターは鮮やかに立ち上がっているし、脚本はものすごく丁寧に練られているし、「二日酔い」というだれにでも経験のあることをテーマにした共感しやすい内容だし、とくだん予備知識も必要としない。


・「映画業界のいまの状況を変えたいと思っている人は、同業者にもたくさんいるんです。でもその声はなかなか届かないし、変わらない。変わらないけど、僕は自分のまわりから少しずつ変えていくしかないと考えています。仲間をつくって、その仲間たちとムーブメントが、映画の世界を少しずつ変えていけばいいなと思っています。」

※わたなべりんたろうさん談


・HMV渋谷が閉店に追い込まれた本当の理由(中略)

「アルファベット順に置かれた棚以外の壁面のコーナーでは、バイヤー独自の企画で多くのシーンが紹介され、熱いながらも的確な批評も盛り込んだ解説が書かれていた。その解説を元にCDを買い、そして自分の音楽の見識を広めていった。どんどん膨らんでいく自らの知識の常に上を行くバイヤーの情報は、ネットなんぞにない時代に確実にメディアの一つとして機能していたし、店にはとにかく客が放つ熱気と興奮で充満していた。」


ところがHMVの棚は、だんだんと変質していってしまいます。洗練された店作りを狙うようになり、手書きのポップは印刷された解説ポップへとかわり、それらのポップは全国のHMVで共有されるようになりました。そしてポップや看板は、パッケージ化された広告としてレーベルに販売されるようになります。つまり「広告料を支払っていただければ、全国のHMVの店頭で解説ポップを付けてあげますよ」というビジネスになっていったわけです。


・所有の時代は終わった(中略)

クラウドとシェアによる「所有しない」という新たな生き方。そして人と人のつながりを最も大切だと考える若い人たちの台等。これは日本本来の清貧思想とつながっています。


・セレンディピティの反対語は、「タコツボ化」。(中略)キーワードで検索する検索エンジンは、どうしてもキーワードに引きずられてしまって、そのキーワードと関係のない情報は出てこない。だからタコツボ化してしまう(中略)


ライフログは生活行動記録を収集することで、人々が持っている無意識を可視化し、データベース化してしまいます。それを一〇〇パーセント分析することが可能になってくれば、ライフログが情報流通のすべてを司ることも不可能ではないでしょう。


・キュレーターというのは、日本では博物館や美術館の「学芸員」の意味で使われています。


・コンテンツが王の時代は終わった(中略)

一次情報を発信することよりも、その情報が持つ意味、その情報が持つ可能性、その情報が持つ「あなただけにとっての価値」、そういうコンテキストを付与できる存在の方が重要性を増してきている


・すべては変化していって、十年後にはまったく違う世界が私たちの前に見えていることでしょう。


●書籍『キュレーションの時代~「つながり」の情報革命が始まる』より
佐々木 俊尚 著
筑摩書房 (2011年2月初版)
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