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川崎 堅二 氏、土岐 義恵 氏 書籍『電子書籍で生き残る技術』より

このページは、書籍『電子書籍で生き残る技術』(川崎 堅二 著、土岐 義恵 著、オーム社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・------電子書籍ビジネスに印刷会社が積極的に取り組むことのメリットは何でしょうか?(中略)

出版社のニーズや仕事の進め方。データのあり方などについて熟知しています。

※凸版印刷株式会社 中村卓史氏談


・「いつでも、どこでも、誰でも」という紙の書籍の利便性

※株式会社ボイジャー代表取締役 荻野正昭氏談


・「フォーマット争い」は、プラットフォームを独占した論理に基づくものです。読者にとっては関係のないことですよね。読者は自分の電子書籍リーダーにどんなフォーマットでも読めるビューワーさえ入っていれば、どの形式でも読むことができるというのが望むものでしょう。また、書籍といっても、小説、雑誌、マンガなどそれぞれに特徴や個性があります。その個性に合った、読者が読みやすい規格が今後も開発され、発展していくべきです。


・紙の本には独自の技術がある。ページを作り上げるには古く活版(活字組版)、写植(写真植字)、近年はDTP(Desktop publishing)があり、他にも印刷、製本などの技術がある。そして技術ではないが作られた本を読者に届ける流通、書店などを含めた、総合的なサービスができあがっている。


・携帯電話網の場合、携帯電話会社のネットワークを通じて接続することから、端末とユーザーと契約のクレジットカードが関係付けられている。このため、新たな契約、手続き、ログインなどの手間なしに、電子書籍を購入できるようになる場合がある。しかし無線LAN経由の場合は、電子書籍を提供しているサービスといちから契約、その他の手続きが必要になる場合がある。


・DRM技術にはいろいろなものがあるが、電子書籍で使われるものは、大まかに次のような仕組みといえる。

●電子書籍データには鍵がかかっている。
●正規ユーザーは(ネットワーク経由など)この鍵を入手し、電子書籍データを閲覧できる。
●鍵に対応した専門閲覧ソフトウェアが必要になる。


・2009年10月東京大学情報理工学系研究科・石川小室研究室が、書籍1冊(200ページ)を約1分でデジタル化する超高速スキャナー「ブックフリッピングスキャニング」を開発したことを発表した。このスキャナーは、ページめくり中に、紙面の動きを止めることなく、連続的に書籍を読み取ることができる。


・意外に難しいのは外字や旧字の扱いだ。これらの字が表示されないと、問題になる場合や、まったく商品価値をもたなくなるような事例もあるだろう。「○○○のフォーマットはこれらの問題に対応しているのが利点」と強調されることも多い。


・外字とは、コンピュータで扱えない文字のことで、多くは固有名詞に使われる。たとえば、古いパソコンで表示できなかった「鷗」「﨑」などだ。だが、Windows Vista以降の機種ではこの2文字の表示が可能だ。これは第4水準の漢字を含むJIS X 0213.2004(JIS2004)の文字コード1万1233字に対応するようになったからである。つまり、現在の機種では、「鷗」「﨑」も外字ではなくなったのだ。


・Googleの電子書籍ビジネスの衝撃(中略)

電子書籍の売上げの出版社側への配分率は、まだ明確になっていないようだが、少なく手とも51%以上になる模様だ。これは次のような点で、他と異なる。

(1)Googleの強力な検索エンジンが入口になっている。
(2)検索結果で出たページを立ち読み的にチョイ読みできる。
(3)ウェブ(HTML)上で見る画像なのでフォーマットも端末も選ばない。外字の表示などの問題も起きない。


・------書籍のウェブ公開には、どのような点に出版社の拒否感があったと思われますか?(中略)

「全文検索」という言葉に拒否感があったのだと思います。「全文検索」イコール「全文を無料で読まれてしまう」と誤解されることが多かったです。しかし、実際には一人のユーザーあたり一カ月に20%しか閲覧できません。また、セキュリティの関係で一定割合の閲覧できないページも設定されます。

※グーグル株式会社 佐藤陽一氏談


・ほとんどの人が8ページ前後を閲覧した上で、購入するか別のページに行くといった次の行動に移るという分析結果が出ています。閲覧制限ぎりぎりまでページ表示する人はまずいません。

※グーグル株式会社 佐藤陽一氏談


・利益配分を巡る各プレイヤーの思惑(中略)

著者1~3割、出版社3~6割、プラットフォーム3~5割という感触だ。出版社が関与せず直接著者がプラットフォームと取引する場合は、著者5~7割、プラットフォーム3割~5割という感じになる。

●書籍『電子書籍で生き残る技術~紙との差、規格の差を乗り越える』より
川崎 堅二 著
土岐 義恵 著
オーム社 (2010年12月初版)
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