亀井 ゆかり 氏 書籍『手紙の作法』(かんき出版 刊)より
このページは、書籍『手紙の作法』(亀井 ゆかり 著、かんき出版 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・形式が正しくても「定型文」「決まり文句」が並んだ文章は、相手に「読み飛ばしてください」と言っているようなものです。
・手紙は言いっぱなしである代わりに、相手の時間も邪魔しないのです。好きなときに読めますし、どんな返事をしようか悩むときでも、後で考えてから返事をすることもできます。
・「定番」の書式構成は、[前文~主文~末文~後付け/添え文]で成り立っています。
・前文
最初に〈拝啓〉〈謹啓〉などの「頭語」、「時候」や「先方・自身の安否」、「平素の礼」などから書き始めます。(中略)
主文
次に、相手に伝えるべき内容を書きます。(中略)
末文
手紙の結びの挨拶です。相手の健康や繁栄・活躍・幸運を祈る言葉と、〈敬具〉〈かしこ〉などの「結語」を添えます。
後付
最後に、発信日付・差出人名・宛名を記します。
・「様」「殿」「御中」の正しい使い方(中略)
様・・・・・・差出人が個人名で、相手方も個人で受け取る私信、それに準じた内容のもの。(中略)
殿・・・・・・公用。事務用の文書を送付するときに使います。差出人名も個人名ではなく差出人の所属団体や会社名にします。(中略)
御中・・・・・・公用。事務用に用いますが、宛名は個人名ではなく組織名になります。たとえば相手会社の経理部へ書類送付する場合は「経理部御中」とします。(中略)
宛・・・・・・往復葉書の返信用など返事が欲しい場合、自分の名前など、返信先名の下に付けます。
・会社名で気をつけたいことが、「株式会社」をいい加減に書かないということ。間違っても「(株)」と略さないようにしましょう。(中略)「株式会社」が会社名に付いてこそ「正式な企業名」なのですから
・かっこよくて読みやすい字の書き方(中略)
①漢字は大きめに、ひらがなは小さめに(中略)
②縦書きはやや細く、横書きはやや平たく(中略)
③行は等間隔に、まっすぐに(中略)
④文章量が少ないときは改行の頭を下げない(中略)
⑤「踊り字」「重ね字」「畳み字」を使う(中略)
⑥姿勢を正しくして真上のやや高い位置から見ながら書く
・忌み言葉(不吉の言葉)集
●結婚祝い・・・・・・離婚や別れを連想する言葉
離れる、別れる、切れる、出る、破れる、帰る、返す、戻す、戻る、冷える、分ける、背く、去る、割れる、再々、度々、重々、散る
●出産祝い・・・・・・死産や流産を連想する言葉
死、四、落ちる、流れる、苦しむ、しおれる、破れる、消える、崩れる、滅びる、抜ける、欠ける
●試験・昇進祝い・・・・・・左遷や限界を連想する言葉
終わる、はずれる、衰える、失う、倒れる、落ちる、破れる、とどまる
●賀寿祝い・・・・・・病気や死去を連想する言葉
枯れる、朽ちる、衰える、死ぬ、倒れる、死、四、苦、苦しむ、悲しむ、くだける、色あせる、濡れる、すたる
●開店・開業・新築祝い・・・・・・衰運や災害を連想する言葉
つぶれる、倒れる、流れる、衰える、消える、壊れる、燃える、火、煙、閉じる、枯れる、失う、崩れる、汚れる、灰、閉じる、逃げる
●病気見舞い・弔問祝い・・・・・・くり返しを連想する言葉
再び、重ねる、また、追う、繰り返す、返すがえす、たびたび、重ねがさね、たたり
・年賀状のポイント
①文頭に「謹賀新年」などの賀詞を大きめに書く。「賀正」などの「二文字の賀詞」はくだけた表現に当たるので、あらたまった相手には避けたほうが無難。(中略)
③個人的な年賀状では「健康」「多幸」「仲よく」などの言葉を、公的では「発展」「活躍」「厚情」「厚誼」「愛顧」などの言葉を用いる。
・寄稿をお願いするとき
(前文)さて、突然で恐縮ですが、このほど来春制作予定の弊社刊行誌「○○」発刊五周年記念冊子にて、「交渉術」をテーマに先生の玉稿を賜りたくお願い申し上げます。
心理学の第一人者である先生が「○○」などに発表されている論文を拝見し、ぜひ巻頭を飾っていただきたいと考えた次第です。参考までに同誌最新号を同封いたしました。お受けくださる場合は、原稿の枚数は四〇〇字詰めで五枚、原稿料は一枚○○円でお願い申し上げます。あらためてお電話いたしますが、まずは書中にてお願いまで。
ご多忙の中、恐縮でございますが、下記のとおり原稿ご執筆お願い申し上げます。
・同じマンションに住む住人に苦情を伝えたいとき
私は、お宅の階下に半年前に引っ越してまいりました○○と申します。なにぶん普段は仕事の関係で、日中は留守がちなため突然のお手紙にて失礼いたします。
実は大変申し上げにくいのですが、お子様が夜中に床を走る音などが響き、たいへん困っています。日中、公園で遊ぶお子様の笑顔を思いますと、元気なのは何よりと思い、できるだけ気にしないように努めてはいるのですが、夜の静かな時間帯でもあり、少々休息をとるのが辛くなっています。
絶対音を出さないようにしてほしいとは申しませんが、せめて二十一時以降は当方の事情をお汲み取りの上、ご配慮くださるよう謹んでお願い申し上げます。
・印象に残る手紙のコツを紹介していきます。印象に残る手紙とは、あなた自身の言葉を使うことです。
・あえてひらがなで書くことによって、味わいを出すという方法もあります。女性同士の手紙のやりとりでは「様」を「さま」と表すことは、よくあることです。
・かな文字は古来、女性のものでした。そのためでしょうか。印象がやわらかくなり、より親密感が感じられる効果があります。ただし、封筒や葉書の表書きではやめておきましょう。意に反して幼稚に思われてしまうかもしれません。
・日常の挨拶言葉であたたかみを出す(中略)
日常の挨拶の後に、ちょっとした感謝やねぎらいのひと言を加えると、さらにあたたかみのある表現となります。
●いってらっしゃい+気をつけて
●おかえりなさい+お疲れさま(中略)
●いらっしゃい+どうぞごゆっくり
●いらっしゃい+お待ちしていました
●ごちそうさま+おいしかったです
●さようなら+またいらしてくださいね
・この「どうも」は本来、後に続く否定の語を強調する言葉だったのが、いつの間にか、「どうも、うまくいきません」などというふうに、打消しや否定の語に、困惑やためらいの気持ちを加えるとときに使われるようになりました。
・挨拶として、「どうも、ありがとう」「どうも、すみません」など感謝や謝罪の気持ちを示す挨拶語の前につけます。これは明治以降に生まれた使い方
・方言を混ぜると懐かしくあたたかい(中略)
ほっこり(中略)まったり(中略)ぼちぼちいこか
・あの人とわかる個性ある文章に(中略)
●ぜひご一読ください → きっとご一読ください/ご一読ください。きっとですよ
●楽しみにお待ちしています → 楽しみに楽しみにお待ちしています
●書籍『手紙の作法』より
亀井 ゆかり 著
かんき出版 (2011年6月初版)
※amazonで詳細を見る