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ネット書店 推計売上ランキング 2011年 (新刊・中古 ) 寄稿:冬狐洞隆也氏
新刊・中古におけるネット書店の推計売上2011年を紹介したい。
順位 |
ネット書店名 |
2010年 |
2011年 |
増減率 |
主要商材 |
1 |
アマゾン・ジャパン |
156,000 |
192,000 |
23.1 % |
書籍・CD・DVD |
2 |
楽天ブックス |
32,840 |
37,000 |
12.7 % |
書籍・CD・DVD |
3 |
ツタヤオンライン |
16,600 |
19,000 |
14.4 % |
書籍・CD・DVD |
4 |
セブンネット |
19,500 |
18,240 |
▲6.5 % |
書籍 |
5 |
駿河屋 |
5,300 |
8,000
| 50.9 % |
中古本・ゲーム・CD・DVD |
6 |
紀伊國屋Web |
4,599 |
4,618 |
0.4 % |
書籍 |
7 |
ビーケーワン |
4,700 |
- |
- |
書籍 |
8 |
とらのあな |
3,300 |
3,500
| 6.0 % |
同人誌・コミック・CD・DVD |
9 |
イーブックオフ |
3,226 |
3,485
| 8.0 % |
中古本・CD・DVD |
10 |
ブックオフオンライン |
2,593 |
3,000
| 15.6 % |
中古本・CD・DVD |
11 |
ブックサービス |
2,800 |
2,600
| ▲7.7 % |
書籍・CD・DVD |
12 |
フルイチオンライン |
557 |
1,100
| 97.5 % |
中古本・.ゲーム・CD・ゲーム |
※単位:百万円
※通販新聞社より作成
2011年 ネット書店 推計 売上シェア
ネット書店 推計売上 増減率
2011年度のネット販売市場規模は、個人向けEC主要上位 300社のネット販売売上規模は約 2兆 1547億円前年比 11%の増加となった。女性の社会進出や出産・育児などの影響で購買行動が変化する中、主要通販大手もネット販売を強化。異業種の参入が市場を押し上げている。多くの企業が力を入れる市場だけに、独自価値を提供できなければ埋没してしまう危険性も孕んでいる。
アマゾン・ジャパン 出版社との直取引は 1,460社
アマゾン・ジャパンの総売り上げは推定 4,800億円の 23.1%増。その内、出版物・CD・DVD・ゲームの売上は 4割程度と見られ、売上は 1,920億円 23.1%増となり他社を大きく引き離したが、これは物流拠点の拡充の結果と見ている。2013年までに物流拠点が 12カ所となる予定で、その理由は出版物の平均調達日数が 11日掛かっていた。
中央値日数がどの位かは不明であるが、中小出版社が多い業界では改善するにも前に進まない。アマゾンは取次を経由しない出版社直卸が 1,460社を超えているが、全て零細中小出版社で、売上はあまり期待できない。書籍通販でも兼業型より通販専業型企業が市場をけん引している。
セブンネットとブックサービス以外は前年比をクリアしているが、これだけネット販売がリアル小売店より急上昇しているのだから他に原因があるのだろう。楽天ブックスも 12.7%増と堅調にその規模を拡大しているのは、消費者が『楽天市場』で獲得したポイントを使って『楽天ブックス』で書籍を買うシステムが顧客の囲い込みに最大の強みとなる。アマゾンと楽天ブックスの販売額の差は約 6倍あったが今は 5倍に縮んだ。
ツタヤオンラインはCD・DVD・コミック等の宅配レンタル事業を除いた出版物などのECの売上高である。蔦屋書店の認知度の高さから今後も拡大していく。中古ネッㇳ書店のイーブックオフに資本参加をしている。
ビーケーワンはhontoと統一されたため売上金額が出せなかった。ブックサービスは、当初、ヤマト運輸が主導権を握っていたが、栗田出版に移行してから売り上げが 63%もダウンしているのは社内にECサイトを理解する人がいなかったと見ている。
“ 活字離れ ” ではなく “ 新刊離れ ”
中古ネット書店の 4社は順調に売上を拡大している。コンテンツが同じであれば消費者は安い方に流れるのは当たり前。団塊の世代が 65歳になり、益々その傾向は強くなる。少子化を心配するけど高齢者の支持があれば当分は成長していくと考える。
ネット書店 ロングテールより、ベストセラー・ロングセラーが中心
ネット書店も新刊書店と同様にベストセラー・ロングセラーが中心でロングテール商品が中心でない事は既に実証されており、アマゾンに 1ケ月に 1冊も注文も来てない書籍は、新刊書店に長く置いても売れないことが分かった。出版社の個々の問題と思うが、新刊書店への常備出荷は如何に無駄が出来ているか理解しているはず。
新刊書店は、同一の商品でネット書店と競争しても、圧倒的な資本力とシステムサービスでそのスピードに勝てる訳が無く、今後、消費税増税と生産年齢人口が減少し、書店の廃業が加速すると、ネット書店は益々有利になる。 24時間営業で送料無料ならば家庭・会社に居ながら注文できるアマゾン・楽天ブックスには新刊書店は勝てないだろう。
ネット書店の口コミランキングを見ても上位 アマゾン、楽天ブックス、セブンネットは同じであるが、 4位 5位にイーブックオフとフルイチオンラインが入っている。どちらもネット中古書店である。これからのネット書店はローソンホットステーションのエルパカブックスとNTTドコモの傘下になったタワーレコードオンラインを注視したい。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏