木村 正男 氏 書籍「日本語の『なぜ』~ことばの由来が面白いほどわかる本」(友人社 刊)より
このページは、書籍「日本語の『なぜ』~ことばの由来が面白いほどわかる本」(木村 正男 著、友人社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・うさんくさい(中略)
「うさん」は「胡散」と書き、僧侶の間で使われいた仏教用語で、怪しいとか疑わしいという意味。「くさ(臭)い」は、においではなく、“けちくさい”“いんちきくさい”など、いかにもそのように感じされる、そのような傾向を帯びている意味を表す。
・海千山千(うみせんやません)
ずる賢いこと。また、そういう人。(中略)
「海千山千」は「海に千年山に千年」を縮めたもので、海に千年、山に千年住みついた蛇は竜になるという言い伝えに由来している。
・かきいれどき(中略)
昔、商家で日々の売買の勘定を記入した台帳のことを「大福帳」といった。大帳(台帳)に福分を願って「福」を加えたものであるが、店が繁盛していればいるほど、番頭さんがこの帳簿に数値を書き入れる回数が多くなる。このことから「書き入れ時=忙しい」という概念が定着した
・草分け(中略)
「草分け」の本来の意味は文字どおり、草深い未開地に入りこんで、茂った草を分けて耕地を切り開き、村や町の基礎を築いた人のことをいった。
・ご馳走(中略)
馳走の本来の意味は、走り回ること、つまり「奔走」で、中世の武家社会ではとくに馬で疾走するという意味で使われていた。(中略)時には食材さがしにあちこち走り回らなければならないこともある。このことから、江戸時代になると、人をもてなす意味も含まれるようになり、あちこち走り回らなくても食材が容易に手に入る現在では、料理そのものをさすようになった。
・指南(中略)
古代中国で用いられていた方向指示装置のある車「指南車」に由来するからである。この車は磁石仕掛けで、車が移動しても、車の上の人形の手がいつも南を指すように作られていたという。
・新米(中略)
新しい米が語源ではない(中略)「新米」は「新前(しんまえ)」が転化したものなのである。今でも年輩の方のなかに「しんまえのくせに生意気だ」などという人がいるのはこのためなのだ。(中略)年気に入ったベテランの前垂れに対して、新前垂れと呼んだ。これが新前と略され、やがて“新しい米”にひっかけて新米といわれるようになった。
・だいなし(中略)
仏像も台座がなければ威厳が薄れる(中略)
「だいなし」は、「台無し」と書くことからもわかるように“台が無い”ということに由来する。(中略)この場合、仏像を安置しておく台をさす。
・水くさい(中略)
「水くさい」は、水のにおいではなく、“水っぽい”ということ。料理などで塩気が足りないと、味が薄くて水っぽく感じる。この味が薄いということを情が薄い(薄情)ということにかけて。このことばは生まれた。
・未亡人(中略)
もともとの意味は「夫に死なれて共に死ぬべきであるのに、生き残っている人」で、妻が自分のことをへりくだっていう自称の語であった。
・おいてけぼり(中略)
この「おいてけぼり(おいてきぼり)」の語源は、江戸本所(現在の東京都墨田区南部)にあった池の名に由来する。この池で釣りをして帰ろうとすると、水中から呼び声がし、その声は「置いてけ、置いてけ」と聞こえたという。
・白羽の矢(中略)
ビジネス社会で、白羽の矢を立てられるということは“抜擢”を意味するが、古来の言い伝えでは選ばれた人は、いわば“犠牲者”だった。このことばは、若い娘をいけにえとして神に捧げたという人身御供(ひとみごくう)伝説に由来する。
・盛り塩(中略)
皇帝は牛車で愛人宅を訪れていた(中略)そこで、ある愛人が皇帝の寵愛を受けたい一心で一計を案じた。牛の好物の塩を門前に置いたのである。
・オナニー(中略)
聖書にも出ている神聖なことば
オナニー(Onanie)はドイツ語。もとをたたせば、旧約聖書のオナンの故事に由来する由緒正しいことばなのである。
●書籍「日本語の『なぜ』~ことばの由来が面白いほどわかる本」より
木村 正男 著
友人社 (2007年7月初版)
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