Tweet
全国書店数の推移 2003年~2011年 寄稿:冬狐洞隆也氏
全国書店数の推移を減少数や実店舗数、300坪以上、廃業店数、日書連店数とともに紹介したい。
年度 |
書店数 |
減少数 |
実店舗数 |
300坪 以上 |
廃業店数 |
日書連 店数 |
2003年 |
19,412 |
- |
13,661 |
587 |
1,085 |
7,838 |
2004年 |
17,754 |
▲1,658 |
13,325 |
692 |
984 |
7,463 |
2005年 |
17,153 |
▲601 |
12,775 |
772 |
941 |
7,038 |
2006年 |
15,823 |
▲1,330 |
12,452 |
868 |
934 |
6,683 |
2007年 |
15,361 |
▲462 |
12,079 |
960 |
951 |
6,330 |
2008年 |
14,821 |
▲540 |
11,689 |
1,032 |
1,151 |
5,869 |
2009年 |
14,407 |
▲414 |
11,578 |
1,052 |
953 |
5,457 |
2010年 |
13,949 |
▲458 |
11,404 |
1,064 |
737 |
5,197 |
2011年 |
13,603 |
▲346 |
11,206 |
1,068 |
804 |
4,854 |
※「書店数」の推移は、日販経営相談センター調べ
※「実店舗数」と「300坪以上」は、JPO(日本出版インフラセンター) 調べ
※「廃業店数」は、大手出版社調べ
※「日書連書店数」とは、日本書店商業組合連合会の参加書店数
1)書店数の推移
毎年3月31日時点 日販経営相談センター調べ。9年間で5,800店舖減少した。
2)実店舗数と300坪以上の書店数
実店舗数はJPO(日本出版インフラセンター)に坪数報告のある書店のみで、何らかの都合で報告できなかった書店もあるようだ。300坪以上の書店数もJPO共有書店マスター調べ。1,000坪以上の書店が82店あるが、大都市とその周辺に在り、ほとんどが複合店で出版物だけの売場ではない。出版物以外の商品は決め手が無くバラバラの状況だが、地方によって坪数によって扱う商品が違うのは当然。
3)廃業書店数
大手出版社調べ。消費税増税を控え廃業店は加速し増えていくと推測する。電子書籍も徐々に影響してくるだろう。
4)日書連書店数
日書連書店数とは、日本書店商業組合連合会の参加書店数。1990年には12,259店の参加があったが22年間で半分以下になった、理由は色々あるが加盟店が一番よく知っている。組合に期待して中小零細書店の参加が多かったが、2015年までには参加店数は3,000店以下になっていると推測する。
この統計を見て今後の書店像を考える
新規書店出店数を紙面の都合上掲載できなかったが、10年前までは新規店に投資した金額は5年で回収出来たが現在は10年でも回収できない。消費税増税を控え、新規出店は少なくなっていくだろう。2000年の新規出店は600店だったが2011年は240店になった。もちろん廃業店より少なくなっている。
消費税が5%になった1997年以降7年間も毎年1,000店以上の書店が廃業になった。その後、新規出店は郊外店・駅前・ショッピングモールへと資本力のある書店を中心に出店が続いたが商店街への出店は少なかった。
2015年までに書店数は10,000店以下になる
書店数は減少しながら300坪以上の店舗数増加の不思議は、ランチェスター法則の「強者の戦術」と見ている。仮に、消費税増税が無かったとしても日本における人口構成比率を見ると必然的に地方都市から順次商店街が消滅(書店)していくのと、生産年齢人口が減少するのは誰にも止める事も出来ず2015年までに書店数は10,000店以下になると予想する。
市場が縮小に向かうのだから出版物の売上額も大幅に減額していくのは当然。しかも、アマゾン・ジャパンのネット書店の売上は2011年度1920億円前年比23.1%増であり、アマゾンと直取引契約している出版社が1,460社以上になりネット書店の売上増加が書店経営に影響している。
書店経営者は、経営環境悪化の理由は『客数の減少』を最も多く上げている。書店の規模に関わらず『地域密着化』を生き残り策として挙げている声が多いが、『地域密着化』とは具体的に何をするのか、その取り組みの内容・効果は曖昧である。
『外商の強化』に可能性を見出したいとの意見もあるが、外商コストを計算すると外商だけで一人月商250万円以上売らないと採算が取れない事も分かっている。
書店は読みたくても読めない人からの注文を受け付ける仕組みを構築し、埋もれた顧客の獲得を実現する方策を考えていけば、まだ生き残り策はある。書店に来る顧客が本当の客であり読者ではない。消費人口が益々減少して行く中で、顧客を捕まえるのは至難の業である。
しかし、これも接客サービスの充実が解消してくれると思うが、店員教育が出来ていない書店が多数ある(利益率を見るとパート・アルバイトしか採用できない)ことと、書店の現場(棚)が荒れているのが気になる。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏