菊池 明郎 氏 書籍『営業と経営から見た筑摩書房』(論創社 刊)より
このページは、書籍『営業と経営から見た筑摩書房』(菊池 明郎 著、論創社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・本を読まない人は漫画も読まない(中略)現代の漫画は小説的面白さも兼ね揃え、本や文学の面白さとつながっていく役割も果たしているかもしれません。
・この十年ほど近代出版史をずっと調べていてわかったのは、日本の出版業界は大手出版社の雑誌を中心にして組み立てられたシステムによって成立しているという事実です。つまり基本的に流通を担う取次も販売する書店もそれに大きく依存しているし、金融も同様だ。それゆえに出版社は定期的に刊行される雑誌を持たないと経営的に持続が難しい。
・大型書店の売上スリップを分析すると、一週間でどのぐらい売れているかがわかるのです。それをシェアで逆算していくと、全国の売上部数も大体つかめます。だから一〇万部重版しても、半月でなくなると計算できるわけです。
・『金持ち父さん、貧乏父さん』(中略)筑摩書房にとって、これが初めてのミリオンセラーだった
・そもそも出版社は取次会社に何を求めるのか。正確な情報を書店・出版社に提供し、出版物を正確に迅速に書店に届け、代金をきちんと回収してくれることが取次業務の基本なのである。原点に立ち返って考えてみると、販売促進の主要な部分はあくまで出版社がやるべきだし、出版社でなければできないことでもある。
・「責任販売制」という言葉は、松信社長だけでなく書店人からは、あまり評判が良くないのである。何やら本が売れないこと、その結果としての返品増の「責任」を書店に押し付けているような語感があり、返品増の解決のための方策も、書店側に「責任」を持たせるように響くということだろうか。
実際返品が増えている原因の一つに、出版社の安易な企画と、過剰な製作部数があることを忘れてはならない。
●書籍『営業と経営から見た筑摩書房』より
菊池 明郎 著
論創社 (2011年11月初版)
※amazonで詳細を見る