小笠原 信之 氏 書籍『伝わる!文章力が身につく本』(高橋書店 刊)より
このページは、書籍『伝わる!文章力が身につく本』(小笠原 信之 著、高橋書店 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・主語と述語を近づける
原文
証人は容疑者が店員が外の騒音に気をとられている最中に万引きしたのを見たと言った。
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改善例
店員が外の騒音に気を取られている最中に容疑者が万引きしたのを証人は見たと言った。
関係の深い言葉同士は近くに置く
・具体的・客観的に伝える(中略)
●少々お待ちください。→あと5分ほどお待ちください。
●売り上げが急増した。→売り上げが、月に100個から300個へ急増した。
・読点を感覚で打たない(中略)
読点の最大の役割は、1文中の要素を内容に従って大きくグループ分けすることです。関係の深い語同士をまとめ、関係の浅い語句を切り離すことで、内容をスムーズに理解させるのです。
・読点を感覚で打たない(中略)
「息継ぎするところに点を打つ」は間違った俗説(中略)
肺活量で異なりますし、感覚でも違っています。
・読点の打ち方・基本ルール
①文の主題・主語となる語が長いとき、その後に(中略)
②引用を示す「と」の前に(引用かっこの代用)(中略)
③接続詞・逆説の助詞の後に(中略)
④原因・理由・条件などを表す節の後に(中略)
⑤時を表す言葉の後に(中略)
⑥名詞や動詞に修飾語が二つ以上つくとき、それぞれに間に(中略)
⑦文・節・句・語などを並列的に並べるとき、それぞれの間に(中略)
⑧言い換えや説明のとき、その間に(「つまり」「すなわち」と同義)(中略)
⑨挿入句のあるとき、その前後に(中略)
⑩強調するとき、強調語句の後に(中略)
⑪独立語の後に(呼びかけ・応答・驚嘆などの言葉)(中略)
⑫格助詞を省略したとき、その後に(中略)
⑬読みを区切らせたいとき、区切らせるところに(中略)
⑭仮名が続いて読みにくいとき、分割するところに
・「そうした中」「そんな中」をむやみに使わない(中略)
ただ何となく「そうした中」で二つの事実をつなぐと、文意をあいまいにするばかりか、筆者自身もいい加減な人間だと思われます。
・「が」は逆説のときしか使わない
原文
同県は「安心でおいしい水プロジェクト」をスタートさせたが、その際に「高度浄水処理装置」を導入した。
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改善例
同県は「安心でおいしい水プロジェクト」をスタートさせ、その際に「高度浄水処理装置」を導入した。
(中略)
原文 気になるお値段だが、ちょっと安めになっている。
改善例 気になるお値段は、ちょっと安めになっている。
・漢字とひらがなを使い分ける
原文
先生に相談した所、「行き詰まった時には、考えるのをやめて置きなさい」との事だった。
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改善例
先生に相談したところ、「行き詰まったときには、考えるのをやめておきなさい」とのことだった。
・ひらがなにすべき言葉もある(中略)
形式名詞 こと、もの、ところ、とき、うち、わけ
補助用言 (「~て」に続く形で)みる、おく、くる、いく、ほしい
・何でも「こと」「もの」で片づけない(中略)
●辞書は、わからない言葉を調べる もの である。(中略)
●辞書は、わからない言葉を調べる 書物 である。
・何でも「こと」「もの」で片づけない(中略)
●食器は、料理を入れる もの である。(中略)
●食器は、料理を入れる 器 である。
・何でも「こと」「もの」で片づけない(中略)
●郵便受けとは、配達される郵便物を受け取るために設けた もの だ。(中略)
●郵便受けとは、配達される郵便物を受け取るために設けた 箱 だ。(中略)
・こそあど言葉を乱用しない(中略)
改善例ではすべて外しています。意味が十分通じるだけでなく、引き締まった文になっています。(中略)余計な指示語を入れると、文がくどくなります。
・重ね言葉は文を稚拙にする(中略)
原文
社長は 次の後継者 に すべてを一任する と述べ、 辞意の意向 を明らかにした。
改善例
社長は 後継者 に 一任する と述べ、 辞意 を明らかにした。
・「~的」「~化」「~性」を乱用しない(中略)
共存共栄化を(中略)
わたし的には(中略)
「的」「性」には「~のような」「~らしい」といった意味があり、言葉自体にあいまいさを含みます。(中略)便利な言葉なので多様されがちですが、これらがほんとうに必要なのかを点検してみるべきです。
・敬体(です・ます)の文は単調になりやすい(中略)
手紙など、相手に話しかける文章には敬体を用い、実用文は常体を多く用いています。
・過去の話には現在形を入れる
原文
5年ぶりに帰郷したら、何もかも変わってい た 。川は護岸に囲まれ、山は切り崩され、見る影もなかっ た 。だが、変わらないものもあっ た 。それは人情だっ た 。
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改善例
5年ぶりに帰郷したら、何もかも変わっていた。川は護岸に囲まれ、山は切り崩され、見る影もな い 。だが、変わらないものもあった。それは人情 だ 。(中略)
過去の話の中に現在形を交ぜると、読み手は現在形で表された内容を、あたかも眼前のことのように感じ取れ、迫力が出てきます。
・「まず」「そして」を極力削る(中略)
つなぎ言葉はほとんど不要(中略)接続詞を使わないほうが、文章はやわらかくなる
・敬語をきちんと使いこなす(中略)
「 ご 利用に なられる 」 「 お 買い求めに なられる 」といった二重敬語をよく見かけます。
・「そうだ」「ようだ」「らしい」の使い分け(中略)
強い根拠があるときに、「らしい」を使う
推量表現にはいろいろありますが、「らしい」はその中でもかなり確実な根拠にもとずいて推量する場合に用いられます。
・「そうだ」「ようだ」「らしい」の使い分け(中略)
①「ようだ」の「よう」は「様」=様子から出た表現です。(中略)履き心地が悪そうな様子を見て、母親が直観的に「小さいようだ」と判断しているのです。
②「そうです」の「そう」は「相」に由来します。つまり外面に現れた様子からの判断です。
・社内報の記事など、字数制限があり、少ない字数に多くの情報を盛り込むとき、体言止めは便利です。最たる例はタウン誌のお店紹介記事です。
・「~たいと思う」は自信のなさの表れにつながる(中略)
原文 実態を把握した上で方針をきめていただきたいと思う。
改善例 実態を把握した上で方針をきめていただきたい。
・「ので」と「から」ではインパクトが違う
原文 台風が近づいているから、遊泳禁止になりました。
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改善例 台風が近づいているので、遊泳禁止になりました。
「ので」は客観性が強く、「から」は習慣性が強い(中略)
客観性が強い「ので」を用いたほうが、文のインパクトが強まります。
・根拠が強ければ説得力も強い(中略)
理由づけが抽象的
・感動や感情を押しつけない(中略)
感動しても「感動した」と言わず、うれしくても「うれしい」とストレートに言わない。これが感情表現の原則です。感情語を抑制的に用いるほど、思いは静かに深く伝わります。
・主語を示す「は」と「が」の使い分け(中略)
昔々、ある所におじいさんとおばあさん が 住んでいました。おじいさん は 山へ芝刈りに、おばあさん は 川へ洗濯へ行きました。(中略)
「が」の前には未知のもの、「は」の前には既知のものが来る
・気持ちや感情をストレートに示すときは「が」(中略)客観性をもたせるときは「を」を用いた表現にするようです。(中略)
●あなたが好きです。
●あなたを愛しています。
・セットで覚える名詞と動詞
原文
自由時間は、 将棋や碁をする 者、 麻雀をする 者などがおり、思い思いに楽しんだ。
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改善例
自由時間は、 将棋を指す 者や 碁を打つ 者、 雀卓を囲む 者などがおり、思い思いに楽しんだ。(中略)
日本語には名詞と動詞がセットになった表現があります。この組み合わせを上手に使えば豊かな表現が可能になりますが、誤れば常識を疑われもします。
・実用文の基本は“結論先行”(中略)
逆三角形の文章とは(中略)
●大事なもの(論点→結論・中心主張)を先に出す。
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●絞り込みが利いているので、論点をしっかり展開できる。
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●細部は状況(字数や論の展開)に応じてふくらませたり縮めたりする。「結び」を無理につけなくてよい。
・良い文章のイメージ
素材すべてが本筋へ集中
話が進むほど本筋が太くなる
悪い文章のイメージ
脇筋へ話が次々と分散
話が進むほど本筋が細くなる
・言い換え表現一覧
◇感情表現
●嬉しい・楽しい(中略)
うきうきする/わくわくする/どきどきする/心ときめく/心ときめかせる/心が躍る/心がはずむ
●書籍『伝わる!文章力が身につく本』より
小笠原 信之 著
高橋書店 (2011年1月初版)
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