鎌田 晶子 氏 講座『買い物にかかわる消費者の心理学』より
このページは、講座『買い物にかかわる消費者の心理学』(講師:文教大学 鎌田 晶子 准教授)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを私の解釈として取り上げ紹介しています。
・消費者は、良いものだから買うわけではない。
・消費者が、物やことを見ているのには、その人の経験や体験と結びついている。特に、背景が大きく影響している。
・人は周囲との比較でものごとを見ている。
例
1つはアイスクリームを大きな器に盛る。
もう1つは、アイスクリームを小さな器に山盛りに盛る。
量は前者のほうが多いにも関わらず、後者のほうがより多いように見える。つまり、小さい器で、大きく盛ったほうがより大きく見えるということ。
パッケージは重要。
※参考:
・売り手と買い手の心理は異なる
いくらで売るか?となると買うより高くなる傾向にある。というのは、売る=自分のものを手放すという心情になるから。つまり、自分のモノは人に渡したくない。
・値引き500円を提示しても、動かない人と動く人がでる
12500円の商品があって500円引きで12000円で売っていた。
一方、
1500円の商品があって500円引きで1000円で売っていた。
このようなケース、言わずと後者のほうが行動力を強める。
同じ500円引きにも関わらずとらえ方を変えている。要するに、同じ500円引きにも関わらず比率(割引率)で見ているということ。
・リスクとゲイン
どちらを選びますか?
A)確実に8千円差し上げます。
B)85%の確率で1万円差し上げます。
ほとんどの人はAを選ぶ。でも・・・
計算上で期待値を求めると・・・
A)8千円 × 100% = 8千円
B)1万円 × 85% = 8千5百円 こっちのほうがお得!
人は、Bの15%のリスクを警戒する。
人は、獲得に関しては、危険を避けるリスク回避の傾向がある。
それでは、これは?
リスクとロス
同様にどちらを選びますか?
A)確実に8千円支払ってもらいます。
B)85%の確率で1万円支払ってもらいます。
ほとんどの人はBを選ぶ。でも・・・
同様に期待値を求めると・・・
A)-8千円 × 100% = -8千円
B)-1万円 × 85% = -8千5百円 こっちのほうが損!
人は、Bの15%のリスクを歓迎する。
損失(ロス)に関しては、リスク志向の傾向がある。
失うのはすごくいや!10万円失ったら、悔しさは5万円失うの2倍以上!
一方、
もらうのは、言うほどうれしくない!10万円もらっても5万円もらうより2倍うれしいわけではない。
・人には2つの側面がある。
1.獲得したい、所有したいという欲求
2、整頓・清潔にしたい欲求
・人の好みは呈示の仕方によって変わる。
例:お寿司
並寿司と上寿司だけだと並寿司を選ぶことが多い。
しかし、上記に特上寿司が入ると、上寿司を選ぶ人が増える。
例:ランチメニューでも
Aランチ ¥650
Bランチ ¥950
A>B もしくは A=B
そこにCランチが加わると
Aランチ ¥ 650
Bランチ ¥ 950
Cランチ ¥2500
A<B
・人は買ったものに後悔をしたくないと思っている。だから、友人や知人と同じものを買う。
・最高を求める人は、よい選択をするケースが多い。一方で、満足度は低い。逆に、そこそこで満足する人は、よい選択をするとは限らない。しかし、満足度は高い。
・品揃えを多くすると、買い物客の興味を惹きつける効果がある。一方で、かえって売り上げが下がってしまうことがある。というのは、選ぶのが大変になるから。また、あっちを選べばよかったと後悔につながるのを避ける傾向がある。
・商品の選択の幅を広げすぎることは、買い物客の購買のチャンスを奪うのみならず満足感をも下げる。
・後悔しない決定のために
1)まずは、選び方の範囲を決める
2)最高なものではなく、満足できるものを求める
3)損失について心配しない
4)期待をコントロールする
シュワルツ 2004より
・買い物は健康にいい。歩く、考える、といったプロセスを踏めるため。
●講座『買い物にかかわる消費者の心理学』より
講師:文教大学 鎌田 晶子 准教授
開催日:2013年5月16日(木曜日)と5月23日(木曜日)・全2回
主催:文教大学オーピニュニバーシティ