田中 栞 氏 出版学会『近現代出版物の製本構造について~本を解体してみる』より
このページは、出版学会『近現代出版物の製本構造について~本を解体してみる』( 著、 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・スピン(しおりとして使用するひも)は本の真ん中にあるものではない。中央部分には、読者カードを入れるのでずらしているのが一つの理由。
・最近の本の製本はチャチ。数回読むことに耐え得るつくりになっている。江戸時代の本はつくりがしっかりしている。
・出版社は一度に部数を揃えるため、製本会社を複数にすることが多かったりする。
・本は置くことを前提につくられていない。本は動くことを前提につくられている。
・「小口書き」とは、
昔の本はつくりが柔らかく立てて本を並べない。寝かせて置いていたので本の下の部分に本のタイトルが書かれていた。これを小口書きという。
・マーブルを入れる理由
改ざんを防げる。斜めにすると中丁が出てきたり遊び心があるものもあった。
●出版学会『近現代出版物の製本構造について~本を解体してみる』より
報告者:田中 栞(日本出版学会理事,東京製本倶楽部会員)
日時:2013年7月12日(金曜日)18:30~20:30
主催:日本出版学会
2013年度・第2回出版技術・デジタル研究部会,
出版史研究部会(共催)のご案内
内容:我が国は「和装から洋装へ」という明治初年の近代化に伴い,書物の形態についても劇的な変貌を遂げた。印刷方法と使用素材の違いが,構造の違いとなって表出したのである。
もっとも,洋式製本の時代になってからも,製本方法や接着剤等の開発は日夜行われており,外見からはわかりにくいが,機械製本された本にもバリエーションがあって,その造りは一様でない。
そこで,出版物の製本構造はどうなっているのか,明治から平成に至る数々の出版物を実際に解体してみることによって,その違いについての理解を深める機会を持ちたいと思う。表紙や見返し,背貼り素材を本体部分から剥がし,本文折丁の綴じまでを解いて,素材や構造がどうなっているのかを調べる。なお,参考までに江戸・明治期の和装本や手製本の洋装本についても,比較材料として取り上げたい。