書籍『書店の未来を創造する』(本の学校 編、出版メディアパル 刊)より
このページは、書籍『書店の未来を創造する』(本の学校 編、出版メディアパル 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・神田神保町は古書店だけで170店舗も集中している世界でも類のない古書の街
高野 明彦 氏談(国立情報学研究所)
・東京の銀座4丁目に教文館さんという宗教系の書店さんがあります。そのお店は日本で唯一全員が社員ですね、パート、アルバイトは採らないという会社の方針です。(中略)商品について詳しいです。全員が仕入れを担当しているからだろうと思うのです。
能勢 仁 氏談(ノセ事務所)
・仕入れについてどういうふうな教育をなさっておられたのか(中略)
仕入れについては、まずファックスで来る案内が一つあります。それから営業の方が来られる場合、それと委託販売ということで本が入ってきた場合というような形になっていると思います。ファックスが出版社から来た場合には、それをフロアに回覧して、そこに必要な部数を書いてもらって、それを集約して最終的に店長と仕入れ課長が見て発注するという形にしています。
佐野 衛 氏談(元・東京堂書店)
・人文会で出している『人文会ニュース』の中に、実はいろいろなジャンルの先生方が、定期的に「この本はいいよ」「この本は基本だよ」ということが書かれているんです。そういうものを参考にしながら品揃えをするのがいいんじゃないかと思っています。
佐野 衛 氏談(元・東京堂書店)
・パターン配本というような配本方法を取らない専門出版社は圧倒的に多い
みずず書房 持谷 氏談
・書店、取次、出版社の三者の担当者で検討した必須19項目を含む50項目の書誌データでやり取りしているというのが概要でございます。
俗野 英生 氏談(日本出版インフラセンター)
・実は著者のブログか何かで、「こんな本をいついつ出すんだけど・・・」というのが出ていて、それをお客様は検索して、アマゾンに来るわけですが、アマゾンはその情報を何とか探し当てて、出版社さんに電話して早く登録して欲しいというような活動を未だにやっております。
友田 雄介 氏談(アマゾン・ジャパン)
・近刊情報をはじめたときに、(中略)医療関係のものはかなり早くに予約が上がりますね。それと高額の商品は結構上がってきています。例えば『歌舞伎座さようなら公演 DVDブックス』というのは2万5000円だったのですが、朝、登録されたのが、夕方にはアマゾンさんに予約が入っていました。
俗野 英生 氏談(日本出版インフラセンター)
・今、私が近刊情報で見ていて、わりと予約が上がってきているのを見ると、シリーズ物がかなりの確率性で上がります。やはり検索で既刊本を買った人たちは「あっ、これ来月出るんだ。ついでに買ってしまおう」という形なんだろうなというふうに思います。それとアダルト物って本当に予約が早いんですよ。
俗野 英生 氏談(日本出版インフラセンター)
・フライングライン
日本出版インフラセンターが提供しているデータを使用し、これから発売される書籍情報を検索できるウェブサイト「本が好き!らぼ 近刊情報サーチ」などを提供している会社。
・プルーフ版
事前の宣伝に使うために最終稿前の原稿を使って、仮に印刷・製本した見本本のこと。原稿も装幀も完成品ではなくタイトルが印刷されているだけの簡素なものが多い。
・アマゾンが例えばメールを出すときに、画像とかある程度の内容紹介が入っていないと発信しないということもやっています。なぜなら、出しても無駄なんです。それこそタイトルと著者と値段だけでメールを出しても、絶対買わないので、ある程度の情報がなければ発信されないようになっています。(中略)情報があればあるほど、当然ながら買われる率も高いです。
友田 雄介 氏談(アマゾン・ジャパン)
・近刊情報センターは、あくまでもインフラを作るということです。よく誤解されるんですが、書店さんに「これで注文した本が必ず入るんですか」と聞かれるんですが、近刊情報センターは情報を右から左、左から右へ流しているだけです。(中略)「注文を担保するものではない」ということを申し上げておきたいと思います。
俗野 英生 氏談(日本出版インフラセンター)
・フリー入帖
出版社が注文品を「いつでも返品を受け付ける」取引ルールのことをいうが、取次からは契約上の建前で逆送されることもある。
・公立図書館の話ですが、公立図書館の職員の8割の仕事は貸し出し業務になっていると思います。カウンターに立ち、貸し出し業務をする。今は、すごく相互貸借が増えています。相互貸借というのは、私は渋谷区に住んでいますが、渋谷区に住んでいる人が中央図書館に行って、あるいはインターネットで区内の図書館にある本を予約して、その本が笹塚図書館にあったとします。そうなると、笹塚図書館の職員が午前と午後、1日に2回本を棚から抜いて箱の中に詰めて、それが私が申し込んだ中央図書館に転送するんです。それを利用者の名前順に本棚に並べて、沢辺でございますと貸し出しカードを出すとその本を貸してくれるのです。
沢辺 均 氏談(ポット出版)
・本当に本って壊れてしまうんですよ。だから、絵本なんかうらやましいなと思うのは、扱い方が悪い子どもたちが借りる本は壊れやすい。壊れると、また図書館は買うわけだから(笑)。偕成社の社長と話したときなんか「買い替え需要が本当に大きいですよ」と言っていましたよ。
沢辺 均 氏談(ポット出版)
・例えば、新しい統計が出たので図版をすっかり替えたにもかかわらず、同じISBNで出している。これは改訂版とか第2版にして出してもらわないと中身が変わっているじゃないですかと尋ねると、いや、うちは微細な変更に関しては2刷、3刷と「刷」で対応しておりますと言うのです。図書館側からすれば腰を抜かすような話で、(中略)同じ本について論じ合うときに違うものを見ている可能性もあるわけですよね。
湯浅 俊彦 氏談(立命館大学文学部教授)
●書籍『書店の未来を創造する~本の学校・出版産業シンポジウム2011記録集』より
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