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電子書籍ストア利用率調査 寄稿:冬狐洞隆也氏
電子書籍ストアの利用率のアンケート調査を紹介したい。
順位 |
電子書店 |
運営会社 |
利用率 |
1位 |
Kindleストア |
アマゾンジャパン |
49.4 % |
2位 |
IBook store |
アップル |
15.8 % |
3位 |
Kinoppy |
紀伊國屋書店 |
14.7 % |
4位 |
Reader Store |
ソニー |
9.6 % |
5位 |
楽天Kob |
楽天 |
7.6 % |
6位 |
Book Live |
凸版印刷 |
7.3 % |
7位 |
Book☆WALKER |
角川書店グループ7 |
6.7 % |
8位 |
eBook japan |
イーブック ジャパン |
6.5 % |
※インプレスR&D調査 N=646人
電子書籍は現在も黎明期
だから5年後もこの順位通りになるとは思えない。8位以下から飛び出してくる電子書店があるかもしれない。表の通り、圧倒的横綱クラスがKindleストアである。現在、Kindleストアを追い越すような電子書店は見当たらない。アイフォーン・タブレット端末機に押されて電子書籍専用端末機は日本のライフスタイルに合わない事が分かったので、電子書籍専用端末機を発売しているメーカーは苦戦を強いられているのだろう。
Kindleストアが消費者から支持される理由3つ
Kindleストアが消費者から支持される理由は大きく3つある。
1、アマゾンのアカウントそのままで利用できる。
2、どのデバイスでも読めて書籍の点数が豊富である。
3、キンドルのワンクリック購入が非常に楽だからなど利便性が高い。
これらが消費者に支持される理由と考える。
電子書籍ストア同士の棲み分け
EBook WALKERや、eBook japanなど得意分野を持っている電子書店の利用率も安定しており、総合電子書店との共存が見られる。この表に出ていない電子書店は分野を特化しないといずれ淘汰される運命になるかもしれない。消費者から見て総合電子書店は25社も必要ない。
電子書店のコンテンツ購入率は、コミックが圧倒的で、次が小説・文芸書である。読んでも頭に残らないのは電子書籍特有なものかもしれない。日本の場合、電子書籍のメリットを数多く上げている偽評論家が多すぎて消費者を惑わせているが中には本当のメリットもある。
電子書籍の売上期待だけが先行している。しかし、公立校の教科書が電子教科書になって初めて拡大するので、それまでは遅々として進まないであろう。電子書籍コンテンツも100万点以上になるには何年かかるか、それに消費税増税がある。
電子書籍をめぐる10の神話
ある有名出版社の編集者が上から目線で電子書籍をめぐる10の神話を発表した。
1)出版業界は10年以上不況であり、これは今後も続く
原因は景気低迷だけでなく少子人口の減少と、中心読者層の年齢上昇が原因。老齢人口のみ急激に増えだした。老齢人口だけ増加しても本は買わないし、読者人口は減るだけ。
2)米国の電子書籍 普及の基礎となったのが120万点以上のコンテンツ
日本でも100万点以上ないと普及はしない。ただ、100万点以上になるのが、何時なのか誰にも分からない。
3)電子書籍と紙の本はいずれ置き換わると思うが、相当年数が掛かる
4)電子出版は出版の一種であり出版のノウハウが生きる
ジャンルによってノウハウが生きない事もある。電子書籍と紙の本は見せ方が違うのが分かっていない。
5)電子書籍でも紙の本と同様、価格は出版社が決めるべき
公正取引委員会が「電子書籍は、著作物再販適用除外制度の対象にならない」との公式見解を発表している。電子書籍の価格は誰が決めても一向に構わない。
6)図書館は電子書籍の敵である
ブックオフより高い価格の電子書籍を買う人はいない。書籍の販売数より図書館の貸出し数が3年間上回っていることへの認識不足。
7)自炊は出版の敵であり、電子書籍の敵である
自炊の機械が安く売り出された。今後どのような展開になるかわからないが、本をバラバラにしなくても電子書籍に出来るのが利点。
8)ノンDRMは海賊版を増やす
9)今後のフォーマットはEPUBしかありえない
10)電子書籍なんか要らないメルマガで十分
電子書籍コンテンツは出版社の専売特許でない事が分かってきた。著者になる人が自由に電子書籍も作る事が出来る(売れるか売れないかは別問題)
*電子出版権・著作隣接権の法制化で電子化が進む。
出版業界だけが既得権益でそう思っているだけで反対している人が多数いると言うことを理解していない。簡単には法制化できないだろう。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏