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コンビニエンスにおける本の扱い比率と売上高 寄稿:冬狐洞隆也氏
コンビニエンスストアにおける出版物扱い比率と売上高の推移2001年から2012年まで紹介したい。
年数 |
社数 |
店舗数 |
出版物扱 比率 % |
出版物 売上高 (百万円) |
1店舗平均 出版物売上高 (万円) |
2001 |
75 |
41,689 |
6.9 |
512,309 |
1,230 |
2002 |
70 |
42,172 |
7.0 |
515,660 |
1,220 |
2003 |
70 |
42,769 |
6.5 |
487,366 |
1,140 |
2004 |
61 |
43,863 |
6.1 |
471,090 |
1,070 |
2005 |
57 |
43,856 |
6.0 |
455,923 |
1,040 |
2006 |
52 |
44,036 |
5.7 |
436,619 |
990 |
2007 |
52 |
43,729 |
5.1 |
391,462 |
900 |
2008 |
51 |
45,413 |
4.5 |
365,916 |
810 |
2009 |
51 |
46,470 |
3.9 |
315,795 |
680 |
2010 |
46 |
45,375 |
3.5 |
288,671 |
640 |
2011 |
45 |
47,190 |
2.9 |
264,273 |
560 |
2012 |
42 |
49,735 |
2.7 |
246,684 |
500 |
※日販資料より作成
コンビニの社数は減り、店舗数は増えている。では、本の売上は?
CVSの社数がこの 10年間(2003年~ 2012年)で 28社減少した、統合・合併と再編によるものである。一方、店舗数は逆に 6,966店増加した。 2013年度以降、大手 3社で 3,870店の出店が予定されている。しかし、CVS店舗が増加しても出版物の扱い比率が下がれば売上額も落ちてくる。
※CVSとは、Concurrent Versions Systemの略字でバージョン管理システムのひとつのこと。ここでは、コンビニエンスストアを指す。
これは地方の郊外ショピングセンターや食品スーパー・シャッター通り商店街に行けない高齢者への補完システムになってきたよう。但し、出版物に関しては扱い比率も2.7%に減少し、売上も10年間で2406億8200万円減少している。雑誌全体の不調もあるが、コンビニの売上減少は書店の雑誌売上げよりも下落のスピードが速い。
コンビニエンスストア 年齢別 1日 1店舗 平均 客数比率(%)
年齢 |
客数比率 |
20歳未満 |
12% |
20歳~29歳 |
21% |
30歳~39歳 |
19% |
40歳~49歳 |
17% |
50歳以上 |
30% |
※2011年 セブンイレブン資料
20歳未満は 1989年には 29%近く客数比率があったが、後に急減し 2011年には 12%になった。 2016年には 10%以下に落ちると予想する。CVSの出版物扱い比率も 2012年には 2.7%まで落ちている。客数の多い 50歳以上はCVSには食料品・日用品を買いに行くので出版物を買いに行くわけではない。
出版物のCVS 一店舗平均年間売上額は僅か 500万円となっている。 1日平均 13,698円である。この金額が多いか少ないかは意見の分かれるところである。しかし、2001年には 1日平均 33,690円の売上額があった。扱い比率も店舗全体で僅か 2.7%に落ちている。CVSで雑誌を買う年齢層が少なくなったのか、それともCVSの雑誌離れが起きているのか。
今後は雑誌広告額の減少に歯止めがかからないので、CVS向けの雑誌を発行している出版社の扱い部数は大幅な部数減となるだろう。
コンビニで雑誌が売れない理由 10個
その原因は、
1) 雑誌そのものの娯楽における価値の低下
2) 暇つぶし対象の立場をモバイル(アイフォーン・タブレット)端末機に奪われた
3) コンビニで販売される雑誌の付加価値や情報そのものの陳腐化
4) 成人向け雑誌の販売スペースの縮小
5) インターネットの普及に伴い、コンビニでの雑誌購入の必然性の低下
6) インターネットの情報スピードに雑誌の情報は永久に追い付けない
7) 雑誌よりネットの口コミの方が信頼できる
8) スクープ以外、雑誌でしか得られない情報なんて何も無い
9) 雑誌は図書館でも読めるし、コピーもできる
10) 雑誌は企業広告とのタイアップ記事が多すぎて信用できない
コンビニの商品には 2種類ある
『コンビニ商品で無くなったら困るもの』コンビニエンスのアンケート結果でも『コンビニに雑誌が無くても読者は困らない』との結果が出た。コンビニの商品には 2種類あってそれは『集客商品と収益商品』である。雑誌は明らかに集客商品である。それが通用しなくなった結果、売上も減少したのである。
駅の売店・街中のスタンド販売にも雑誌販売は大幅に陰りが見えている。その分を書店でもカバーしきれていない。よって、出版社は発行部数を少なくして刊行を続けて行くのか、又は新しい企画で再出発をするのか今後、雑誌は企画の勝負となってくるのでより年齢の細分化されたターゲットが必要となってくる。中途半端な総合雑誌はインターネット情報で充分である。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏