詫摩 武俊 氏 書籍『好きと嫌いの心理学』(講談社 刊より
このページは、書籍『好きと嫌いの心理学』(詫摩 武俊 著、講談社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。
・選択の基準(中略)
おおよそ次の三つの場合がある(中略)
第一は損・得に関すること、つまり利害である。(中略)
第二はそれが正しいか正しくないかという基準である。(中略)
第三が好き・嫌いによる選択である。好きだからする、嫌いだからしないという非常に明快な原則である。
・個人の発達という観点から考えると、好き、嫌いによる行動の選択はもっとも古いものであることが理解されよう。損か得か、正か不正かという判断は社会の中で成長するにつれて獲得されていくものなのである。
・二次的欲求
二次的欲求というのは生理的基礎をもたないもので、前途のように社会的欲求ともいわれる。財産、地位、名誉、権力などに対する欲求、人と親しくしたい、みんなから認められたいなどという欲求を含むものである。
・自分自身を嫌うというのは、不十分な自分を否定してより高いものを求めようとするものである。
・自己嫌悪感が青年期に強くあわられるのは次のような事情があるからである。第一は、青年がこのようにありたいと望んでいる水準が高いということである。(中略)
第二は自分に関心が強く、周囲の者との比較をよくするということと関係がある。自分がよくわからないために比較することによって自分の位置づけをはっきりさせたいと思うのである。
・人は自分が正しいことを求めている。類似した態度をもっている他人がいるということは自分が正しいという安心感を強めることになる。さらに自分と似た人とは話も合うであろうし交際するのにも障害が少ないだろうと予想されるのである。
・不安はひとりでじっと耐えるより、それを共通にもつものが慰め合うことによって軽減させる。運命共同体のようなものがつくれられるのである。
・こわい体験をすると、そのあとで会った異性が好きになるという実験もある。(中略)恐ろしい橋を渡ったあとでは身体にまだ生理的興奮が残っている。このときに異性と会うと自分の興奮を、その異性に対する愛情であると思い込んでしまうのではないかと、この実験は解釈するのである。
・人に好かれるために大切なことは、その人に思いやりのあること、相手の立場や事情をよく理解することである。相手がどんな気持ちでいるかを汲みとる心の働きである。
・嫌われる人のタイプ(中略)
陰気、しつっこい、利己的、わがまま、冷たい、優柔不断、高慢、出しゃばり、けち、意地わる、おしゃべり、意志薄弱、短気、嫉妬深い、強情、鈍感、虚栄心が強い、依頼心が強い、下品、衝動的、神経質、無口、甘えすぎ、きまじめなど。
・八方美人といって、だれとでも適当に交際している人は好まれない。しかしみんなから嫌われている人がいいということはない。
・虫が好かない人
第一は何となくいやで、嫌いになった理由を説明することができない場合である。むしが好かない、何となくそりが合わない、という表現が用いられることが多い。(中略)
第二は(中略)いやになる原因、苦手と思われる原因が比較的はっきりとしている場合である。多くみられる例としては性格や態度が正反対の場合である。(中略)
第三は苦手意識の中に恐れが含まれている場合である。煙たい相手がこれにあたる。
・人を知りたいと思ったならば、その人の友だちを見よ(中略)どんな人を選んで親しくつき合っているかが分れば、その人の人柄を理解する有力な手がかりが得られたことになる。
●書籍『好きと嫌いの心理学』より
詫摩 武俊 著
講談社 (1981年3月初版)
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