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冊子『梓会通信 2014/1 第420号』(講師:一般社団法人日本書籍出版協会 専務理事 中町 英樹 氏)より

このページは、冊子『梓会通信 2014/1 第420号』(講師:一般社団法人日本書籍出版協会 専務理事 中町 英樹 氏)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・今後も続く市場の縮小(中略)

小さい書店の売上に締める雑誌の比率はだいたい8割くらいです。ジュンク堂書店さんや紀伊國屋さんではそれが逆になって、雑誌はせいぜい2割というところでしょうか。これだけ雑誌(※の売上)が落ち込めば、雑誌で食べている小さな書店はどんどん減っていきます。雑誌の売上は今後加速度的に落ちていく可能性があります。今年も雑誌は6%くらい落ちるのではないか。


・日本の出版界では、大手の出版社は雑誌で食べている小さい書店に支えられ、小さな出版社は大手の書店に支えられているというクロスした関係にあります。


・公共図書館の貸し出し点数の増加(中略)

公共図書館の貸し出し点数は1996年から2012年までの間で3億237万冊増えています。その間、取次・書店ルートでの販売数は約2億2700万冊減っています。


・われわれ出版社、特に専門書の出版社の方は、あるべき公共図書館というものを持っていると思います。公共図書館は非営利無償の原則で運営するものであり、普段買うことのできない専門書などを中心にして選書をすべきである、などです。


・この業界は読者と顧客を混同しています。私は、出版文化というのは本や雑誌を実際に買っていただいている方たち「顧客」によって成り立っていると思っています。読者ではありません。つまり、読者が顧客にならない限り、われわれの業界に働く従業員は、給料はもらえませんし、会社として新たな製品を生み出す投資も何一つできないのです。(中略)


読者を顧客に転化する努力をしてこなかった。だから、すべては読者のためといいますが、もう少し読者と顧客を分けて考えたほうがいいと思っています。


・マーケティングの基本構造(中略)

宝島社さん(中略)は、顧客の設定を三つに分けて考えます。それは、一つ目が読者、二つ目が書店、そして三つ目が広告代理店です。


・八百屋、肉屋、魚屋などはスーパーに入り、酒屋はコンビニに、薬屋はドラックストアに変わっています。(中略)小売店は消費者のニーズに合わせて変わるものなんです。そうしているうちに業態化して変わる小売店に対応するために、今度は問屋、卸売業が変わらざるを得なくなります。小売店がワンストップショッピングを志向すれば、問屋がそれに対応した多品種の商品を供給しなければなりません。


・一万年堂出版の経営方針(中略)編集の方針(中略)


注目すべきは読者モニターを100人~200人抱えていることです。著者からあがってきた原稿を100人、200人のモニターに全部読んでもらい、そこで挙がった良かった点は帯や広告に使っていくし、分かりにくかった点については著者にフィードバックして直していただきます。


・一万年堂出版の(中略)販売体制(中略)

新聞広告を毎月のように出しています。


・取次の週報には全国の書店のランキングが載っていますが、その書店のランキングに載ることが販売に大きな影響がある


・一万年堂出版の(中略)販売体制(中略)

地方紙には広告を出しますが、書店には「広告を3カ月続けて出します」ということを必ず伝え、長期に並べていただくことにつなげています。


・発売後プロモーションから発売前プロモーションへ(中略)

発売後のプロモーションから発売前のプロモーションに比重がどんどん移っていくことになります。SNSをこれからどのように活用していくのか、そのことの解を見つけ出すことがこれからの出版業界の課題になります。


●冊子『梓会通信 2014/1 第420号』より
演題:いまこそ出版にマーケティングの発送を
~販売からマーケティングへの流れを作る~
講師:一般社団法人日本書籍出版協会 専務理事 中町 英樹 氏
発行:一般社団法人出版梓会
発行日:平成26年1月27日
出版梓会のウェブサイトはこちら
 
 

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