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出版業界の豆知識

[ 書店について ]

電子書店利用調査 寄稿:冬狐洞 隆也 氏

電子書店の撤退がはじまってきた。そこで、電子書店における利用調査を紹介したい。
 

電子書籍店名
現在利用
している
過去に
利用した
試しに利用
した程度
利用した
ことが無い
Kindleストア
55.2
11.3
13.8
18.8
Apple ibook store
17.5
15.6
23.7
41.4
紀伊國屋Kinoppy
13.5
12.7
25.0
46.4
楽天Kobo
11.9
11.0
14.7
60.4
Reader Store
11.0
6.5
11.7
66.7
Book Live
8.3
11.0
18.6
58.8
honto
6.2
12.7
23.2
54.2
ebook Japan
6.0
11.7
18.4
59.6
Book WALKER
4.6
9.6
17.7
63.5
Google Play Books
3.5
7.4
22.7
61.9
パピレス
4.0
9.0
16.1
69.4
Yahoo ブックストア
2.0
2.8
15.8
76.5
GALAPAGOS STORE
1.0
4.8
14.3
74.9

※2013年10月調査 (N=565)


電子書店、淘汰の時代が始まる

有効回答数が565では参考程度と見てとれる。しかし、キンドルストアは前回調査(2013年4月)の49.4%からポイントを上げた。日常的に電子書店を利用していると回答した利用者だけに限定すると、キンドルストアの利用率は73.7%に跳ね上がる。


電子書店の生き残れるのは上位5社で十分。後は専門性に特化すれば別。しかし、キンドルと同じような総合電子書店では太刀打ちできないし、読者を惑わせるだけ。これからは電子書店事業者の統合が進み、淘汰の時代が始まる。


ここに掲載されている電子書店はほんの一部であって約30社に増えている。しかし、消費者は電子書籍は購入しても自分の物ではないとの認識が薄いのが現状。最近の例ではローソンのネット書店「エルパカBooks」の電子書籍が2014年2月24日サービスを終了予定だが、注意書きにサービス終了後は、購入済の書誌を含め一切の電子書籍サービスを利用できないとある(書誌新規購入・再ダウンロード・購入済書誌閲覧を含む)。


電子書籍は“所有物”ではない。“条件付きレンタル”と考えろ

お金を出して買ったはずの電子書籍が、サービス終了と同時に一切利用できなくなると言うことは、電子書籍は「物」ではなく単なる「データ」であり、データに所有権は無く、“条件付きレンタル”と思った方が良い。


NTTソルマールが運営する「地球書店」も3月31日午前10時で終了する。ダウンロードした電子書籍が勝手に消却された話は世界中にある。Kindleコンテンツもコンテンツプロバイダ―からお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではない。消える可能性が低い大手の電子書店を選定して購入するしかない。電子書店ならどこで買ってもいいのは間違いである。


野村総研による“今後の電子書籍市場”

野村総研によると2018年には電子書籍市場は4,995億円と予想。2018年までの年次成長率は23.6%となる。細目では電子書籍2814億円・電子雑誌と電子新聞で2182億円と予測している。2015年には2400億円としているが、生産年齢人口減少と少子化でこの予測通りになるかは疑問が残る。


Kindleストアの電子書籍利用者が55.2%を超えている現在、出版業界では電子書店・リアル書店・取次の13社で『電子書籍販売推進コンソーシアム』を設立した。リアル書店の店頭で電子書籍の販売に乗り出す実証実験を春から始めると発表した。しかし、負け組がいくら集まっても所詮は負け組は負け組。


読者からすれば、書店を経由せずとも直接買えばいい話をわざわざ複雑にすることは無いと思っている。電子書店がサービスを終了したら書店はどうするのか。どうしてもこの出版業界は上から目線が直らない業界の様である。自分たちの都合だけで読者の利益は考えようとしないようだ。『再度言う、電子書店はこんな数は要らない。体力のあるものが残ればいい。』


日本の電子書籍市場は多くのプラットフォームが参入し、乱立状況になっている。今後、恐らく競争に負けて市場から去っていくプレイヤーが続出し、寡占化が進むのは間違いない。ただ、ユーザーにとっては不利益が無ければどうでもいい話。


出版社が、電子書籍市場で勝ち残っていくためのポイント

電子書籍市場で勝ち残っていくためには、『出版社の都合』や『電子書店の都合』ではなく『読者の利益を最優先』にすることが大事。そのカギを握っているのがDRM(データ著作権管理)の使い方。


DRMでは海賊行為を根本的に排除も出来ないし、出版社はより利益を上げることも不可能。実際にはDRMの掛かっていないコンテンツの方が、市場価値が上がり、長い目で見ればより利益は上がると考える。ビックデータ同様、DRMのランニングコストはバカにできない。出版社はシステム開発会社に騙されない様、比較検討が必要ではないか。

 
 
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
 
 
 

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