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出版取次の決算を比較する 2013年度 寄稿:冬狐洞 隆也 氏
2013年度の出版取次各社の決算を紹介したい。
日販、トーハン、大阪屋の2013年 決算
- |
日販 |
前年比 |
トーハン |
前年比 |
大阪屋 |
前年比 |
売上高 |
681,917 |
▲3.2 |
492,557 |
0.2 |
76,653 |
▲18.7 |
営業利益 |
4,751 |
▲7.1 |
6,022 |
10.4 |
814 |
営業損失 |
経常利益 |
5,266 |
▲8.9 |
3,812 |
15.2 |
803 |
経常損失 |
純利益 |
2,278 |
28.1 |
2,211 |
▲8.2 |
1,374 |
純損失 |
※単位100万円
トーハンの売上増加は帳合変更と直営店の増加による。純利益マイナスは法人税等調整額の増加によるもので決算上のテクニック。大阪屋は昨年の決算の不祥事を引きずっている様。大手各社の第3者割当増資により解決を図るようだが、売上減少は増資では解決できないのでは。2014年度決算の結果は来年になる。しかし、各取次とも消費税8%で最悪の結果になると予想する。
栗田、中央社、太洋社の2013年 決算
- |
栗田 |
前年比 |
中央社 |
前年比 |
太洋社 |
前年比 |
売上高 |
32,900 |
▲11.5 |
25,854 |
▲5.4 |
24,506 |
▲2.9 |
営業利益 |
80 |
▲60.5 |
456 |
3.2 |
175 |
営業損失 |
経常利益 |
342 |
経常損失 |
263 |
7.9 |
73 |
経常損失 |
純利益 |
262 |
純損失 |
291 |
20.1 |
152 |
黒字 |
※単位100万円
※栗田・中央社・太洋社は決算月が異なる。
太洋社の純利益は本社売却益14億円を含む。黒字額が 1億 5200万円の結果となる。 2014年は純利益は黒字になったが来年度は不明。太洋社と中央社は売上が逆転した。中央社は売上減少だが利益率の良い商品が増加したため営業利益が出たよう。栗田は 3期連続経常損失・2期連続赤字決算となった。含み資産も無くなり、人員削減も限界に近づき限界集落ではないが合併しか望みは無くなったと考える。
MPD、ブックオフの2013年 決算
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MPD |
前年比 |
ブックオフ |
前年比 |
売上高 |
199,286 |
▲3.4 |
79,151 |
3.2 |
営業利益 |
1,034 |
▲24.8 |
2,024 |
5.7 |
経常利益 |
1,093 |
▲21.6 |
2,608 |
10.2 |
純利益 |
563 |
▲28.1 |
951 |
▲10.1 |
※単位100万円
MPDの売上高が前年比マイナスなのはCD・DVDの売上が前年比マイナス 19.5%と大幅に減少した結果。ブックオフもCD・DVDの販売額は減少している。しかし、それ以上にブック販売が健闘した結果。以上が出版物の問屋である取次の決算である。書店が元気にならなければ取次がいくら頑張っても売上減少は阻止できない。
出版不況 最大の原因
書店市場が極端に悪くなっている。中小書店ほど売上減が顕著である。出版不況と言われているが“雑誌不況”が最大の原因。中小書店は、雑誌・コミック・文庫・中心で経営をしていたがコミック以外すべてが減収である。
危ういのは中小書店だけでなく大型店も同様でカフェ・文具・雑貨・100円ショップまで導入し、複合展開になり、取次もその方針をだしている。とはいえ、その投資が出来ない書店は廃業の道しかなく、本の売場面積は減り、出版社も減収になるという負のスパイラルが止まらないのがこの出版業界の現実である。
書店市場が元気にならなければ、当然、取次にもその影響は大である。在庫管理の徹底や物流の効率化を進めてはいるが、それも近い将来には必ず限界になる。出版業界の中心である取次に万一のことがあったら、この業界はどうなるのか誰も言わないが、声を潜めて見ているかもしれない。
再販制度・委託制度の見直しと、時限再販の拡大をしなければ出版業界は縮小すること間違いない。既に14年上半期の決算の発表があったがどの企業も伸びは感じられなかった、14年度の決算は予定通りマイナス決算が確実となってきた。
消費増税が先送りされたが、日本経済は労働力人口の減少で思いのほか深刻になっている。特に、地方経済が深刻。経済が 3地区に集中し、その他の地方は補助金を政府から支給して貰わなければ北海道夕張市の二の舞になる自冶体が多数あることの認識が必要となって来ることだろう。地方創生は夢のまた夢になる可能性大となる。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏