書籍『笑いの研究~ユーモア・センスを磨くために』(井上 宏 著、昇 幹夫 著、織田 正吉 著、フォーユー 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『笑いの研究~ユーモア・センスを磨くために』(井上 宏 著、昇 幹夫 著、織田 正吉 著、フォーユー 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・「笑い」と「お笑い」(中略)はどこが違うのか
・四大感情の「喜怒哀楽」の分類でいえば、「怒」と「哀」がネガティブで、「喜」と「楽」がポジティブということになる。
・笑いには、こころの毒を浄化してくれる作用があると同時に、こころを解放してくえる作用もある。
・笑いは、こころが落ち込んでいるとき、とても笑えそうにもない状態にあるとき、こころが平衡を欠いているときに、そのこころを立て直してくれる働きをもつ。笑うことによって、本来の自己を取り戻すといってもよい。笑いをこころの平衡を保たせるエネルギーと考えることもできる。
・大阪において笑いの芸能が盛んなのは、実はその後ろに笑いを歓迎する大阪人の日常生活が展開されているからといえる。(中略)大阪は、笑いに対して寛大であり、笑いを奨励し、積極的に笑いを生活の中に取り入れ、笑いを大事にしていこうとする。
・落語でリウマチが治る!(中略)
VAS(ビジュアル・アナログ・スケール)を使って調べた結果、落語を聞く前と聞いた後では、わずか一時間笑っただけで全員から痛みが楽になり、三週間もその効果が続いた人もいたそうである。
医師 昇 幹夫
・落語でリウマチが治る!(中略)
ストレスホルモンとして知らせる副腎皮質ホルモンで炎症を抑える働きをするコルチゾールの値は、笑う前には二六人中二〇人が正常人より低下していたが、笑うことで一段と消費された可能性が示された。
吉野教授は「一時間でこれほど効果の現れるリウマチ治療薬はない。医師は薬による治療だけでなく、精神面でのサポートも痛感した」と
医師 昇 幹夫
※日本医大リウマチ科の吉野槙一教授らの報告
・大笑いにどんな効果がある?(中略)
血沈にもよい影響を与えていた。愉快な小噺を聞く前と聞いて笑った後に血沈の測定を行ってみたところ、いつも少ないとも五ミリは改善されており、その低下は持続的に改善の方向へ向かっていた。
医師 昇 幹夫
・結婚式ではワケ知りの友人が司会をする。するとつい口をすべらせて「ただいまから新郎妊婦のご入場です!。爆笑の中、成田航空から一路ハワイへ。あこがれのハワイ空路をたどる。初めて外国のホテルでチェック・イン。ネーム、アドレス、ここまでは何とかなる。次にセックスという欄を見て、悩んだ挙げ句にこう書いた。『エブリディ』」
医師 昇 幹夫
・笑いで免疫力を高める(中略)
大笑いすることは心理的な効果だけでなく、短時間に免疫力を正常化させる効果があることがわかった。注射で免疫力を活性化させるには三日もかかわるが、笑うことは、とても速効性があるのである。
医師 昇 幹夫
・カントは、緊張した期待が、突然「無」に変わるときに笑いは起きるといい、ショーペンハウエルは、ある人が考えていることと事実のあいだにに、突然、不一致が認められたとき笑いが起きるという。
作家 織田 正吉
・笑いを起こすものはたくさんあるが、ここではおおまかに類似性、意外性という二つの原理にしぼって考えてみようと思う。(中略)
地口には同音異義語、類似音異義語の二種がある
作家 織田 正吉
・「向こうの空き地に囲いができたね」 「へい(塀)」
「向こうの空き地に塀ができたね」 「かっこいー(囲い)」
作家 織田 正吉
・たこ焼きの中にタコが入っていなかったので店のおやじに苦情を言うと、「じゃ、鉄板焼きの中には鉄板が入っているのか」と逆棙じを食らわされた。(中略)これも「~焼き」という言葉の多義性を利用したものである。
作家 織田 正吉
・意外性が笑い呼ぶ(中略)
------「田沼則子」という名からどんな人を思い浮かべますか。聞くと、さまざまな女性像が出てくる。ところが、この人はれっきとすて男性で、「たぬまただし」と読み、俳優の三木のり平氏の本名である。名前に「子」がつくのは女性であるとほとんどの人が思っている。
作家 織田 正吉
・意外性が笑い呼ぶ(中略)
白い豆と黒い豆を同じ鍋でいっしょに煮た。そのあと、私はあっという間に白い豆と黒い豆を選り分けた。どうして選り分けることができたか。(中略)
[答え](中略)白い豆と黒い豆は一粒ずつだった。
・意外性が笑い呼ぶ(中略)
銀行に二人組の強盗が入った。強盗はすぐ逮捕された。二人は大人と子供だった。大人の方に「この子とおまえの関係は?」ときくと、私の子供ですと答えた。子供の方に、いっしょに銀行に入った強盗について、「おまえのお父さんか?」と聞くと、「違う」と答えた。二人の答えに嘘はない。二人の関係は?(中略)
[答え](中略)強盗の二人は、母親と子供だった。
作家 織田 正吉
・ジョークには、思い込みを意図的につくり出すことで笑いを生むものがある。
------男は立ったままで、女は腰をかがめて、犬は片足を上げてするものは? (中略)
ほとんどの人がトイレの姿勢を思い浮かべると思う。実は、この答えは「挨拶」である。
作家 織田 正吉
・ジョークには、思い込みを意図的につくり出すことで笑いを生むものがある。(中略)
「ザット(that)と一〇回言ってごらん」
「ザット、ザット、ザット・・・・・・」
「<これはペンです>と言ってごらん」
「This is a Pen.」
「<これはペンです>と(日本語)で言ってごらんと言ったんだよ」
作家 織田 正吉
・ジョークには、思い込みを意図的につくり出すことで笑いを生むものがある。(中略)
オウムの右足と左足に、それぞれ細い紐がくくりつけてある。右足をひっぱると、オウムは「おはよう」という。左足についている紐をひっぱると、オウムは「こんにちは」という。両足同時にひっぱるとオウムは何というか? ------止まり木から落ちて「ギャッ」という。
作家 織田 正吉
・ツッコミで生まれる笑い(中略)
「秋も深うなったね」
「何メートルぐらい?」(今いくよ・くるよの漫才)
「ぼくは虫歯なんか一本もない」
「全部、入歯か?」
「(若さを自慢して)今年、三五になります」
「孫が?」
「ぼくを男にしてくれ」
「おまえ、男じゃなかったのか」
作家 織田 正吉
・ツッコミとボケは、賢と愚、正と負という対比、対立関係のほかに、物の見方、考え方に関して、正に対する反、センスに対するナンセンスという二面を見せる働きがある。ツッコミが常識的な発想をするとき、ボケは超常識で別の見方を示す。
作家 織田 正吉
●書籍『笑いの研究~ユーモア・センスを磨くために』より
井上 宏 著
昇 幹夫 著
織田 正吉 著
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