澤田 秀雄 氏 書籍『運をつかむ技術』(小学館 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『運をつかむ技術~18年間赤字のハウステンボスを1年で黒字化した秘密』(澤田 秀雄 著、小学館 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・彼らはもちろん、“サンタクロース”の中身がハウステンボスの社長であることなど、知るはずもない。それが私にとっても心地いいし、何よりも楽しい。仕事をしていながら、澤田秀雄とバレる心配がないのだ。
・例の電気自動車に乗り込んで一人で場内を回る。とにかく暇さえあれば外を回るようにしている。ヒントはすべて現場に隠れているからだ。
・ハウステンボスはお陰様で2011年9月期に営業黒字に転換した。1992年の開業以来、18年間で初めてのことだった。
・三たび頼まれてしまった。(中略)そこで、とりあえずあよそ4か月をかけてハウステンボスの現在価値と実情、そして将来性を調べることにした。その過程で、ひょっとするとハウステンボスはダイヤモンドの原石なのかもしれないという見方に変わっていった。
・失敗したって構わない。反省してまたやり直せばいいし、新しいものは失敗からしか生まれない。ペニシリンも、電球も、LEDだって、山のような失敗の果てに見つかったのだから。
・少々失敗しようは、命までは取られない。たとえ財産を失おうと、半身をもがれるわけではない。そう思えば、実はほとんどのことは問題にならない。やらずに後悔しながら死ぬことと比べれば、怖いものなどない。
だから、悩む前に動け。何かあったら開き直れ。後悔するよりチャンレンジしろ。
・エイチ・アイ・エスに社名を変更した。この社名は、私が最初に創業した会社である「秀(HI)インターナショナルサ(S)ービス」の略称が元になっているが、いずれ世界で勝負できる旅行会社になりたいという思いを込めて、“Highest International Standards”(世界最高水準)という意味も併せ持っている。
・誠意を尽くされた上で、かつ三回目のお願いをされてしまうと、どうしても弱い。
・ハウステンボスについて、多くの方に尋ねられるのは、以下の2点だ。まず、なぜ「万年赤字」で、誰が取り組んでもうまくいかんかったハウステンボスの経営に取り組もうと考えたのか?
そして、どうやって立て直したのか?(中略)
三度頼まれたから
・もしハウステンボスが消えてしまえば、九州北部の観光業が大きな打撃を受けること、地元の雇用が数千人規模で失われてしまうことは理解できる。ハウステンボスの従業員だけで約1000人。取引先もほとんどが地元企業なのだ。悩ましかった。
・ハウステンボスの収支に関する数字を見せてもらい、問題点を洗い出した。その上で現地に出かけ、実際にどういう形で改良すればいいのかをチェックした。
・再生のためのポイントは2点あるように感じられた。まず、いままでの「オランダの街並みを忠実に再現し、オランダに行かずとも雰囲気が味わえる」というコンセプトを超える価値を創り出さなければならないこと。そして、思い切って手を打っていくには、収支の改善はもちろん、これまで背負ってきた金銭面での問題をあらかじめ除いておく必要があるということだ。
そこで、ハウステンボスが抱えてきた負債を整理してもらえるかどうかの交渉を、金融機関と行った。結果、債務の8割を放棄してもらうことができた。
・しようとしていることに反対されるとどうしても燃えてしまうのが、私のもうひとつの弱点だ。我ながら、賢くないと思う。難しい案件であればあるほど本気になる。周囲に何か言われると、結局火に油を注ぐことになる。生まれつきのあまのじゃくだ。
・いかにも不景気で、お客様の目にも落ち目だということが明らかになってしまう。楽しくあるはずのアミューズメントパークなのに、いかにも雰囲気が暗い。入場者は減っていき、テナントも撤退する。するとますます維持が難しくなる・・・・・・という悪循環にはまってしまっていた。
・航空券は、値段を下げれば下げるほど喜ばれる。しかし、テーマパークが提供している価値は、そういうものではなかった。お金をかけ、ハウステンボスに来ていただくことの価値を作らなければならないのだ。
・あの手この手で夜に楽しめる仕掛けを追加で投入したのだが、不思議なことに値上げするたびにお客様の数は増えていったのだった。(中略)要するに、中身がなければたとえ無料でもダメなのだ。
・新しい価値の付加と並んで重要なポイントは、経費の徹底的な見直しだった。私は事前の調査で、ハウステンボスの魅力を増すことによって2割の増収を達成すると同時に、2割の経費カットを行わなければならないと感じていた。(中略)
それでも、どうしても削れない案件や部署もある。そこで私は、経費を削れないのであれば、「1・2倍速く動く」ことを従業員に求めた。1時間かけていた仕事は45分、50分で行う。(中略)歩けば15分かかるところも、自転車なら5分で済むようになる。
・音楽の重要さ(中略)
昼間はまだしも、夜になると一段とお客様が少なくなってしまい、聞えるのは風の音ばかりになってしまう。(中略)寂しさを通り越して少し怖さを感じてしまうくらいだった。(中略)BGMを流すことにした。
・「観光ビジネス都市」計画(中略)
「イングリッシュ・スクエア」、つまり「英語広場」だ。英語しか使えないエリアを設け、そのなかでは実際にネイティブの外国人が友だちのように相手してくれる。佐世保にはアメリカ海軍の基地があり、実はハウステンボスのすぐ近くに宿舎もある。ところが、アメリカ軍人の奥様方は時間に余裕がある方も多いのに、地元の人々と触れ合う機会がなかなかない。
一方で、日本人は英語の文法をいくら学んでも、耳や口を使う機会に恵まれないため、会話力がついてこない。
双方がハッピーになれることはないか。(中略)そんな発想から生まれた試みだ。
・意識改革
「勝ち戦」を知らない社員たち(中略)
あえてポイントをシンプルにすることを心がけた。具体的には、次の3点に絞り込んだ。
①まず、ハウステンボスはお客様をお迎えする仕事なのだから、たとえ本当は大変でも、嘘でもいいから無理やり明るく元気に楽しく振る舞い、あいさつを欠かさないようにしてほしいこと。
②次に、同じくお客様商売なのだから、汚れていたらみんなで清掃すること。そのために、これからは朝礼前に毎朝掃除をする。当然私も参加する。
③そして最後に、みんなで頑張って、売り上げを2割増、経費2割減を達成すること。実現できれば必ず黒字化する、そのときはボーナスを出す、ということだった。
・これからの可能性
上海航路とカジノの可能性(中略)
佐世保市をはじめとする西九州の自治体や経済団体などが共同で国に「カジノ特区」を申請したものの、受け入れられなかった。(中略)究極的には刑法その他を改正しなければ、日本では難しいだろう。
・就任以来、私はことあるごとに、嘘でもいいから明るく元気に、掃除をしよう、増収経費削減で黒字化したらボーナスを出す、という3つのポイントを繰り返していた(中略)
・3か月を経ったころ、やはり従業員全体を集めた席で「ディズニーランドを超えよう!」と宣言した。(中略)大切なことは、ハウステンボスがディズニーという巨人を本気で目標にしたことにある。
・みんながハッピーでなければ、ビジネスは成り立たない。従業員だけハッピーでも、お客様だけハッピーでも、会社が潰れては仕方がない。逆に、会社だけが儲けても必ずシッぺ返しを食う。お客様も従業員も、取引先も、会社や株主も、そして地域も良くなっていくバランスを探ること。それこそが持続可能な企業の姿だ。
・ひとつのことを極める(中略)
好きだ、やってみたいということと、向いている、素養がある、というのは、悲しいことだが必ずそも一致しない。それに気づくことは、ひとつの重要な通過点である。
・あまりに調子が良すぎる状態を迎えると、必ず強い反動を招く(中略)物ごとにはバランスがあるのだ。
・打席に立たなければ打率は上がらない(中略)
チャレンジは時に危険を伴う。それでも、チャレンジしないと新しいものが得られない。それを知っている人だけが、最終的に成功にたどり着ける。
・運は自力で変えられる(中略)
運という字は、文字通り「運ぶ」と書く。自分以外の要素、つまり一見空の上で神様が決めているように思えることまで含め、最終的に運が良くなるかならないかは、自分で良い運を運んでいるかが決め手になる。だから、運を良くすることは可能なのだ。
・失敗の本質は「暗くなること、元気を失うこと」
・良い気が出ている人の見分け方(中略)
まず表情に注目する。明るさを感じられる人、表情が豊かな人からは、たいがい良い気が出ている。
次に、仕事の内容とスピードだ。私の経験では、ほぼ能力的に同等の普通の人と、私が良い気を持っていると思う人に同じ仕事を与えると、良い気を持っている人は1・2倍の速さで、2割増しに良い仕上がりになる。
・できすぎの結果には注意(中略)
要するに世の中にある二面性と、そのバランスを常に考えなければならないということだ。この世界は、すべてにおいてこのバランスが存在している。
・みんながバーチャルに溺れているときこそリアルの価値が高まるから、お買い得だということも言える。
・知識と経験値は違う(中略)
プロゴルファーが書いた本を100冊読めば、彼らと対等に勝負できるだろうか? それどころか、クラブを振ってもボールに当たらないことすらあるかもしれない。当たっても、きっと真っすぐには飛ぶまい。
・知識と経験値は違う(中略)
バーチャルはどこまで行ってもバーチャルであり、知識はどこまで極めても知識でしかない。
それと同時に、体でリアルなものを感じる、景色を見て全身で美しさに感動する、嵐の匂いや温度を感じるといった、自ら体験したものを組み合わせなければ、どこかで聞いたような話、誰もが知っている情報、一見立派なようで大した価値のないものから自由になることができないのだ。
一生懸命勉強しながら、いろいろ自分で体験してみる。このバランスこそが、世界を切り開く新しい価値を生む出すのではないかと思う。
・自分を裏切る(中略)
私たちは、自分でもビックリするほど、自分に縛られている。それは予断とか先入観、あるいは過去の成功体験や過剰な自信とも言える。そして全方位に気を配ることをせず、すでに自分の頭の中にある要素だけで情報を整理してしまう。(中略)
いま自分は見ているものすべてだと決めつけず、そう思う自分を裏切れる軽やかさ、柔軟さを併せ持ってみてほしい。
・起業を目指す人へ(中略)
守りと攻めのバランス(中略)
私の場合は、基本スタンスを「チャンレンジ5:守り5」に置く。景気や、自社の状況が通常の状態であれば、半々でいいと思う。
チャレンジ6~7に対して守りを3~4に置くのは、景気も、自社の状態もあまり思わしくないときだ。これを逆に考える人が多い。(中略)
逆に、チャレンジを3~4に抑え、守りを6~7に上げるべきなのは、景気が良く自社の成績も急成長しているときだ。
・旅は人生、人生こそ旅(中略)
機内ではまとまった書類に目を通すことができる。何せ飛行機に乗ってしまえば、携帯電話が鳴ることもない。書類がなければ、最近は寝る前にしか読めなくなった本を読むことにしている。
・旅は人生、人生こそ旅(中略)
人生の悩みも、失恋の痛みも、みんな旅が癒してくれる。痛みは、距離と時が忘れさせてくれるものだ。どんなつらいことがあっても、一生を誓ったつもりの彼氏彼女に振られても、経営がうまくいかなくなっても、1年経ち、3年経ち、5年も経てば、痛みは薄れていく。
・旅は人生、人生こそ旅(中略)
時間は勝手に進めることはできないが、距離は自分で稼ぐことができる。不思議なことに、遠ければ遠いほど痛みが和らいでいくのだ。
・旅は人生、人生こそ旅(中略)
どうしよようもなく一杯いっぱいになったら、とにかく生活圏から離れ、遠くに飛んでみることだ。
●書籍『運をつかむ技術~18年間赤字のハウステンボスを1年で黒字化した秘密』より
澤田 秀雄 著
小学館 (2012年9月初版)
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