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販売ルート別 本の販売額 2015年度 推移 寄稿:冬狐洞 隆也 氏
出版取次の大手、日販が2015年度における販売ルート別 推定出版物販売額を公開した。どのような推移になったか紹介したい。
2015年度 販売ルート別 推定出版物販売額
ルート別 |
販売額 |
構成比 |
前年比 |
2011年 販売額 |
5年間 比較 |
書店ルート |
1,159,593 |
64.6 % |
▲5.4 % |
1,432,577 |
▲19.1 % |
CVSルート |
190,341 |
10.6 % |
▲12.1 % |
261,737 |
▲27.3 % |
ネット書店 ルート |
172,700 |
9.6 % |
6.2 % |
137,100 |
25.9 % |
その他取次経由 |
81,359 |
4.6 % |
▲6.7 % |
102,188 |
▲20.4 % |
出版社直販 ルート |
191,163 |
10.6 % |
▲4.6 % |
231,342 |
▲17.4 % |
合 計 |
1,795,156 |
100.0 % |
▲5.1 % |
2,164,944 |
▲17.1 % |
※日販調べ
※単位百万
※ネット書店ルートは、インターネット専業店での紙媒体のみ。電子書籍・電子雑誌は含まず。
※その他の取次経由は、大学生協・駅売店・スーパー・ドラックストア等のスタンド店、図書館・二次卸を経由した販売額。
出版社の経営にダメージを与えるもの
各ルートの販売額減少は生産年齢人口減少・書店数減少・スマホの増加によるもので、特に、CVSルートの大幅減少は主力の雑誌の売り上げが減少している。筆者も雑誌は 10年以上読んでいない。理由は面白くないから。面白ければ消費者は買う。
雑誌一部の内容のみ必要で一冊の中身全部は必要ない。インターネットの情報で全て理解できるし情報のスピードも速い。
取次各社の決算を見ていても、やはり雑誌の売り上げ減少が経営にダメージを与えていることがよくわかる。書店の店数は 3月に10,855店となり、2016年度は 1万店割るだろうと予想する。そして、出版社の直販も成長はしていない。
昨年から取次の栗田出版・太洋社が相次いで倒産・自己破産している。しかし、取次ぎ各社とも業態を変えるほどの転換が図れず暗中模索の状態が続いている。
独り勝ちのネット書店ルートも出版物の販売額は成長が止まっている。それは取次を経由しない出版社直販ルートの売上を見ていると理解できる。書高雑低と言われているようだが、これからは全体の出版物の売り上げ成長は望めない。
電子出版も電子雑誌の方は成長しているようだが、電子書籍は大半がコミック。また、アマゾンの電子書籍読み放題が話題になっているが、音楽業界と同様、聞き放題・読み放題には変わりはない。図書館も読み放題。
本来の書籍の販売は地道な活動が必要だが、スマホ社会に出版業界がどう立ち向かうか注視していきたい。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏