肥田 美代子 氏 書籍『「本」と生きる』(ポプラ社 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『「本」と生きる』(肥田 美代子 著、ポプラ社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・「読書」にこだわったのは、この国が質の高い文化的・基礎は、子ども時代の文字・活字にかこまれた暮らしぶりがにあると考えたから
・明治以降、西洋の文化や技術を消化・吸収し、この国の近代化を促したのは、読み・書き能力の高い国民層の厚さでした。
・精神的な飢えを埋める手段が「紙のメディア」くらいしかなかった時代とくらべると、いまではいろんな機能を備えた「電子メディア」が登場し、人びとの精神活動もだいぶ幅が広がったように思われます。いわば現代は「電子メディア」と「紙メディア」との共存時代。
・ここで問題になりことがふたつあります。ひとつ目は、検索すれば答えが書いてあるわけだから、学校教育を通じて涵養(かんよう)すべき、最も大事な思考力や表現力を鍛える機会が失われるということです。ふたつ目は、検索の結果が教師の説明よりもわかりやすいものであれば、もう誰も教師に質問したり、教えを乞うたりしなくなるということです。
・同じ家のなかいても、メールで子どもに「食事よ」と送信するなど、肉声による会話が極端に少なくなった家庭もあるようです。子どもが大人たちと顔を合わせ、言葉やマナーを覚える機会が消えつつあるのです。
・我々人間、生物は、楽で便利な環境にあると頭も体も使わなくなってしまいます。(中略)紙の本で調べていた時は、思考があったが、インターネットを使った物調べでは、情報の表面を見るだけになってしまいます。
※川島隆太 氏談
・読書は対話である
・自分で考えることをしないで著者に代って考えて貰うために読書するといのは好ましくない。(中略)読書は思索のためのものでなければならず、むしろ読書そのものが思索に結び附かなければならない。
・人間の脳は、読むという行為を通じて驚くほどの能力を発揮します。子どもは絵本を読んでもらいながら、文字の意味がわからなくても、擬人化された動物の世界やおとぎの国に入りこみ、絵本の主人公と一緒に行動をします。
・江戸に教育力の源泉は、地域の教育力にあった。地域の教育力の基礎は読書であった。
・わたしたちには先人たちの遺した文化を次世代に引き継いでいく責任があります。
・OECD(経済協力開発機構)のPISA(生徒の学習到達到達度調査)では、「趣味で読書をすることはない」と回答した日本の生徒の割合は、2000年の調査で55%に達しました。(中略)
日本の子どもは、世界の中でも本を読まないほうに属することがわかりました。
・学校教育を通じて、「答えはひとつ」と教えられてきましたが、社会人になって感じるのは、その教育方法がどれほど実社会と遊離したものであるかということです。(中略)人生で求められるものは、ひとつの答えを探すことではなく、異なる意見や文化を有する人びととの対話能力です。そして、過去に蓄積した知識を随時更新し、新しい知識を吸収するように努め、それらを応用していく能力こそが求められるのです。
・いま、地球上から2週間にひとつのペースで言語が消えているそう
・公益法人 読書推進運動協議会の「2013年全国読書グループ調査」によれば、日本の読書グループの数は1万141グループ、活動者数は15万927人にのぼります。
・「本好きの子どもに育てるには、どうしたらいいでしょう」(中略)
とくに大事なのは「読み語り」だと思います。読み語りが、文字も言葉も知らない幼児の完成の土壌をたがやし、その後の読書体験に大きな影響を与えるものであることは、国内外に調査研究で裏づけされています。
・この本を企画してくださったポプラ社の(中略)天野潤平さんに深い感謝に気持ちをお伝えしたいと思います。
●書籍『「本」と生きる』より
肥田 美代子 著
ポプラ社 (2014年12月初版)
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