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本屋における前年比100%の作り方
本の売り上げ減少が続く中、書店員である人たちは具体的にどう売上げを伸ばしたらいいのでしょうか。そこで参考になるのが、この書籍『スリップの技法』(久禮 亮太 著、苦楽堂)です。
著者の久禮亮太さんは、1997年にあゆみBOOKS早稲田店にアルバイト勤務したのち、三省堂書店八王子店に契約社員として勤務、2003年よりあゆみBOOKS五反田店に正社員として勤務。2010年より同社小石川店店長、2014年の退職までを歴任したベテランです。
どのようにして書店で売上げを伸ばしていくのか書籍よりご紹介したいと思います。
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・「前年比100%を目指せ」と指示されても、具体的にどこが悪くて、何を改善すれば良いのか、このままではわかりません。(中略)
売上額や冊数はジャンル売上全体のなかでどのくらいの構成比を占めていたのかを明らかにして、現在の自分の品揃えに不足している要素を明らかにする(中略)
知りたい事実はシンプルです。①担当者が主体的に数多くの既刊を売場に投入していたか。②それが実際に売上にどのくらい貢献していたのか(それとも、新刊のヒット作に恵まれただけなのか)。これだけわかれば充分です。
・「昨対プラス10万円」の作り方
では文庫を例にして、具体的にどんなものを何冊くらい売るかを考えてみます。ある店の文庫売場は、昨年の月間売上金額が平均100万円でした。それに対して、今年は月に90万円前後の売上が続いています。どうにかして、毎月10万円の売上を上乗せしたい。文庫の単価を650円だとすれば、154冊分です。(中略)
売上を生んでいないその約50面の平積みを3冊売れるもので置き換えればいいのです。(中略)
毎日の品出しのなかで、売れていない平積みを速く正確に見つけ出すには、やはりスリップに日付と経過を記入し、「これは最近積んだばかりだ」とか「これもわりと最近まで売れていた」といった曖昧な思い込みを排して、根拠のある判断ができるようにしておく必要があります。
・仮説を検証する手順はシンプルです。対象となる書目の他店舗(もしくは全国市場)での売れた数字を見て、自分が仮説に基づいて仕入れた書目の売れ数と比較する。それだけです。
●書籍『スリップの技法』より
久禮 亮太 (くれ りょうた) (著
苦楽堂 (2017年10月初版)
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