書籍『龍の宿命~『龍が如く』を作った男 名越稔洋』(龍の宿命制作委員会 著, 名越 稔洋 編集、角川学芸出版 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『龍の宿命~『龍が如く』を作った男 名越稔洋』(龍の宿命制作委員会 著, 名越 稔洋 編集、角川学芸出版 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・特に、よく人に聞かれるのが「どうすればこんなヒット作を生み出すことができるのか、コツを教えて欲しい」ということです。しかし、『龍が如く』を生み出すにあたり、「コツと呼べるものは無かった」と感じています。もともと周囲に大反対されてスタートした企画であり、その壁を乗り越える方法は、地道な努力以外には無かったのです。
・制作当時のゲーム業界は、「ゲームは子どものおもちゃ」という概念にとらわれ続けていたため、「極道が主人公のゲーム」という、前代未聞の企画に賛同する者は、一人もいなかった。
「子供が買わないゲームなんて、売れるはずがない」
「暴力的だと非難を受けるのではないか」
誰もが反対する中、名越はあえて信念を貫いた。
「大人だって面白いゲームを求めている」
「映画や音楽がそうであるように、ゲームもまた、大人に価値ある時間を提供できる存在であるはずだ」
やがて、彼の信念に賛同する者たちが現れた。
・ 主人公は、かつて無敵と恐れられた極道の男。彼は、とある事件をきっかけに、街全体を覆い尽くす巨大な陰謀に巻き込まれる。やがて、裏社会で生きる者たちとの出会いや別れを通して、自分自身との宿命と向き合っていく。愛、人情、裏切り……さまざまな人間ドラマと、不器用な男の生き様を描くゲーム企画だ。
しかし、名越がこの企画を社内会議に提出すると、反対の声が沸き起こった。
「そんなゲーム、売れるわけがないだろう」
・誰もが知っていて、誰も手を出していないものが一番面白い
・あまり歓楽街や任侠映画に魅力を感じない人でも、「ゲームで疑似体験できる」と聞けば、きっと興味を持ってくれるはずだ。
・みんなが「理解できない」ってことは、この企画がそれだけ「新しい」ってことなんだ。似たようなソフトばかり山ほど出て、ユーザーに飽きられかかっているゲーム業界に、ガツンと衝撃を与えられる。
・新しいことをやって理解されるはずがない理解されると思っている方が甘いんだ。
・もしこのゲームがヒットしなかったら、責任を取って辞めます
・主要キャラクターの名前は、それぞれ僕の大切な人の名前の一部を借りてつけています。キャラクターを単なる画面上の記号じゃなく、命を持った人間として描くためにそうしました。
・話の要所要所で必ず重要人物との戦いが起きるように、物語を組み立てなくてはならない。例えば、ある章のボスが極道の世界で幹部クラスの男だったとする。その次の章で戦うボスがただのチンピラだと、プレイヤーは興ざめしてしまうだろう。格闘家など、 極道の幹部とはまた違った意味で凄そうなキャラクターを配置しなくてはならない。
・『龍が如く』のテーマのひとつは、「普段体験できないことをゲームで楽しめること」。(中略)まず一番にアイデアが出たのは賭博とカジノだ。日本では賭博が法律で禁止されているため公には存在しないが、歓楽街の闇にはつきもの。ゲーム上では、禁じられた遊戯を体験する高揚感を演出するための工夫が各所に散りばめられている。
・ 歓楽街といえばギャンブル性の高い遊戯がつきもの(中略)バッティングセンターはそのうちのひとつ。(中略)ボーリング場も日中から気楽に楽しめる。(中略)カラオケボックスも安心して遊べるスポットのひとつ。
・中でも名越が心を打たれたのは、「ストーリーとゲームの要素が絶妙なバランスを保っている」という意見だった。己の宿命と向き合う男のストーリー部分と、バトルやナイトスポット巡りなどのゲーム部分。この二つがうまく調和し、飽きさせない展開になってるという。
・【ゲーム界の著名な賞とは?】 日本国内では、「日本ゲーム大賞」が有名。
・『龍が如く』は、当初「広く一般には受け入れられない」と予測されていた企画だった。それでもあえて自分が思い描く「面白さ」を貫き、海外市場を捨てる覚悟で臨んだからこそ、ヒットした作品ともいえる。
●書籍『龍の宿命~『龍が如く』を作った男 名越稔洋』より
龍の宿命制作委員会 (著),
名越 稔洋 (なごし としひろ) (編集)
出版社: 角川学芸出版 (2010年6月初版)
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