書籍『なぜ人は「売れ筋商品」を買ってしまうのか』(おもしろ心理学会 編集、青春出版社 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『なぜ人は「売れ筋商品」を買ってしまうのか』(おもしろ心理学会 編集、青春出版社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・見えない先の利益よりも、今手に入れられるものを優先したい
・人は現状に大きな不満がない限り、変化したくないと思うのだ。変化することで今よりぐっとよくなるかもしれない、しかし逆に悪くなるかもしれないと考えた時、人は悪くなることを恐れる傾向がある。それが現状維持バイアスを生み出しているのだ。
・なぜできる営業マンは、最後のひと言にもっとも力を入れるのか? (中略)
最後に与える印象が後の記憶に大きく影響与えるといわれている。
・なかには正規の値段で売られている商品も少なくないからだ。それでも客が押し寄せるのは、彼らの中に「アウトレットストア=安い」という先入観が植えつけられているからだ。
・人間は「起こる確率」の低いほうが「おこる」と思い込む
起こる確率の低い出来事
●宝くじの1等が当選する
●飛行機事故など
もしかすると当たるかも…
起こる確率の高い出来事
●病気による入院・手術
自動車事故など
自分は大丈夫、きっと起こらないだろう
・「さみしがり屋」はなぜ黄色いネオンに引き寄せられるのか? (中略)
8時を過ぎる頃になると黄色いネオンが目立つようになるのを気づいているだろうか。それはけっして偶然ではなく、客を囲い込む店側のひとつの“戦略“なのだ。かくしてさみしがり屋のサラリーマンは、この黄色のネオンにまんまとはめられてしまうのだ。
黄色は、脳を最も刺激する色といわれている。道路標識でも「危険」や「注意」の看板はたいてい黄色である。それだけ人の目を引きつける色なのだ。
また、目を冴えさせる色でもあるので夜にはうってつけであり、仕事で疲れた暗い気持ちを払拭してくれそうなことから、コミニケーションの色ともいわれている。
・人がネットショッピングにはハマってしまうのはどうして? (中略)
好きな時間に好きなものを、誰ともコミュニケートすることなく買えるというのがエスカレートする理由なのである。(中略)
買い物する場合と違ってお金を支払っているという実感が湧かないことだ。ネット通販で迷いなくクリックできてしまうのは、すぐに財布の中身が減らないからだ。
・感謝セール、創業祭……
そのネーミングにはどんな「裏」がある? (中略)
ようするに、安くなっているワケと数字がひと目でわかれば客の信用を得ることができるのだ。つまりは、何周年記念だろうが何曜日の市だろうが、客を説得することができれば理由は何でもいいのである。
・目玉商品そのものにつられて集客率が上がるのはもちろん、目玉商品を買った客は、ほかの商品もついでに買っていってくれるのである。
人間は得をしたと感じている時には、特に買う気もなかったものでもつい買ってしまうという習性がある。
・ボタンの位置で売り上げが大きく変わる
自販機の販売戦略って何? (中略)
答えを先にいうと、コインの投入口に近い場所にボタンがある飲み物が最も売れ行きがいいのである。(中略)
人は特に欲しいものが決まっていない場合、手近なものを選ぶ
・なぜ高層ビルのエレベーターホールには「鏡」が置いてあるのか? (中略)
その鏡に映る自分の姿を見て自然と髪を直したり服装を整えたりする人もいるだろう。そうやって時間を潰しているうちにエレベーターがやってくるという寸法だ。
・ 100円ショップの人気を左右する陳列法「プロノグラム」って何? (中略)
簡単にいえば、棚ごとに関連商品が並べられ、さらにその棚同士でもつながりのある商品が並べられているのだ。たとえば、タオルの横には石鹸や洗面具が並べられ、さらにシャンプーやリンスが置かれている。(中略)
そして、ここで大切なポイントがある。それは色を揃えるのである。
・「照明ひとつで客足が大きく変わる」ってどこまで本当?
人間はだれでも真っ暗闇なところよりは、明るい場所にいる方が安心するものだ。(中略)
1000ルクスは6畳の部屋で70ワット前後の蛍光灯をつけた場合に相当する。だが、照らす環境や周囲の明るさでも変わるので、同じ光量でも部屋の中と夜道では照度は異なってくる。(中略)
理想の店内の明るさは、入口と主要道路、そしてフロアの奥で1000ルクスは必要だという。さらに、主要商品やディスプレイステージにスポット照明が備わっていれば、客は安心して買い物ができるうえ、売り上げも伸びるというわけである。
・なぜ人が「売れ筋商品」を買ってしまうのか? (中略)
ランキングは、読書の利便性を考えたサービスではあるのだが、じつは消費者の「同調性」という心理で働きかけるテクニックのひとつともいえる。
・フリーマーケットで飛ぶように売れる「並べ方」のルールとは? (中略)
客が立ち止まりやすい店では陳列に工夫がされている。商品と商品の間にはほどよくすき間がとってあったり、シャツやジャケットなどはハンガーラックに吊り下げるなどして少しでも見やすいように並べられているのだ。
ゴチャゴチャと煩雑になっていないために商品を手に取りやすく、遠くからでもそれがどんな商品かすぐわかる。ようするに、ゆとりを持って並べているほうが値段以上に客の目には効果に移るというわけである。
・「品揃えがよいお店ほどよく売れる」のウソとは? (中略)
多くの品ぞろえがあると客を立ち止まらせることができるが、購入にはなかなか結びつかないということだ。逆に、選択肢が絞られているほうが迷わないぶん購入に結びつくのである。
・エレベーター嬢が独特のトーンでしゃべる本当の理由とは? (中略)
低い声は安心感や信頼感を、高い声は注意を喚起するといわれている。なかでも高い声は、ざわつくエレベーター内で注目を集める効果を狙ったものであることはいうまでもない。
・消費者の満足感を演出する「フレーミング効果」って何? (中略)
たとえば、「ハンバーガーの半額セール」と、「ハンバーガー1個の値段で2個セール」をやったとする。売り上げが伸びるのは間違いなく後者だ。
・同じ値段や内容でも表現方法が違えばお得感が変わる
今なら代金半額!
今なら、同じものをもう1つおつけしてお値段そのまま
ご満足いただけなかったのは10人に1人だけ!
90%の方にご満足いただけました!
ヘルシーなミンチ肉、脂肪分20%
ヘルシーなミンチ肉、赤身80%
・気温が1度変わると、ビールの売り上げはどう変わる? (中略)
一般に、気温が22度になると売れ行きが急に上昇し始めるといわれている。それが24度になると、さらに上向きになる。そして28度を過ぎると、1度上昇するたびに、大瓶にして100万本ずつアップするというのである。じつは、ビールの売れ行きを左右するのは気温だけではない。天候も関係している。
たとえば、同じ33度の気温でも、晴れの日のビールの売り上げを100とすれば、曇りの日は90、雨だと80位くらいになる。(中略)
ちなみに、これらの統計は、だいたい夕方5時以降の気温を比較しており、真っ昼間というわけではない。つまり、ひと仕事終えて「さあ、ビールでも飲むか」という気分になる時の気温による統計なのである。
・きまってテスト販売のエリアに選ばれる静岡と広島の県民事情とは? (中略)
気になるのはなぜこの2つの県が選ばれるのかという理由だが、「新しいモノを受け入れ、それに対してアクティブに行動する」という両県の県民性が新商品テストにピッタリだからなのだ。
自動車や楽器など世界的な企業が立ち並ぶ静岡県は、古くから産業を中心に発展してきた。関東と関西を結ぶ東海道で多くの宿場町を抱えた静岡県は古くから多くの人とモノが行き交い、そこに暮らしてきた人々には自然と新しい文化を取り入れる下地ができているのだ。
一方の広島県人は、海外への移住者数が常に一、二を争うというほど新しい文化や価値に対しての抵抗がなく、フットワークがよく行動力もあるとされている。そういった県民性に、年齢構成や物価、所得などが全国平均に近いという条件が重なって選ばれたのが静岡県と広島県というわけだ。
・カスタマーサービス、ヘルプデスク……カタカナ言葉の心理効果とは? (中略)
求人広告を見てみると、「コンサルタント」や「カスタマーサービス」、「ヘルプデスク」など、とにかくカタカナで表記された職種が多い。一見、何をする仕事なのかわからないこともしばしばだが、カタカナ表記はじつはそこが狙いだったりするのだ。
カタカナで書いてあると、「営業」や「事務」などのような従来の職種に比べて新しい職業というイメージを与える。響きがよく、堅苦し3K(危険・汚い・キツい)のイメージも払拭されるので、漢字の求人広告を出すよりも応募者数が断然違ってくるのだ。
・囚人のジレンマ(中略)
共犯の2人が別々に取り調べを受ける際、どちらか一方が自白すれば、自白した者の刑が軽くなり、しない者の刑が重くなるという司法取引で、2人の犯罪者がとってしまう非合理的な結末のことをいう。
互いに黙秘した場合は、双方が等しく軽い刑であり、2人にとって最も合理的であるにもかかわらず、自分だけ自白してもっと刑を軽くしたいという欲望と、相手がしゃべってしまうかもしれないという疑念が湧き、2人とも自白を選び、双方が等しく思い刑を受ける結果になるという筋書きだ。
●書籍『なぜ人は「売れ筋商品」を買ってしまうのか』より
おもしろ心理学会 (編集)
出版社: 青春出版社 (2015年1月初版)
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