阿刀田 高 氏 書籍『ユーモア×ウイット=? ~笑いの公式を解く本』(ベストセラーズ 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『ユーモア×ウイット=? ~笑いの公式を解く本』(阿刀田 高 著、 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・それぞれのパロディ作家がどんな方法で創作しているのか、私は知らないけれども、私自身の方法はかなりシステマティックであり、大ゲサな言い方をすれば学問研究の方法に似ていないこともない。
・ジョーク作法4つの法則(中略)
パロディを作るときに私自身が留意していることをあげれば、
①元うたの調子をできるだけそこなわない。
②元うたと比べて意味が飛躍的に異なるようにする。
③作られたパロディの意味が明瞭で、しかもおかしさがある。
④時事性がある。
などである。
・比喩の使い方(中略)
たとえば、前福田外務大臣が、野党から「日中関係の正常化について政府は何もしていないではないか」とつめ寄られたとき「アヒルは静かに水の上に浮いていても、水の中では足を動かしている」と答えました。(中略)
外相の言葉は「何もしていないように見えてもチャンと手は打っている」という、ただそれだけのこと
・比喩の使い方
オフィスの会話の中でも比喩はたくさんあります。たとえば「おい、課長が十時十分過ぎみたいな顔で怒っていたぞ」は眉を釣り上げて怒っている姿を言ったものでしょう。
この反対は「八時二十分」。きれいなホステスさんに囲まれると、「この野郎、八時二十分みたいな顔になってしまってさ……」目じりがスッカリ下がってデレデレしている様子が目に浮かんでくるではありませんか。
・比喩は、今、目の前にあるものを、それとはまるで違ったものにたとえる作用ですから、これが上達すれば自然と物事を新しい視点から見ることができるようになります。
このヤブニラミ的視点を持つことが、ユーモアを生む第一の条件なのです。
・一般に比喩が痛烈であったり、あるいはユーモラスであったりするためには、次の二つのことが必要です。
一つは、たとえられる物とたとえる物との間に、ある一点に関してーーー問題となる一点に関して、強い共通性があるーーーことでありもう一つは、それにもかかわらず、その二つの物がひどくかけ離れたものであることです。
・比喩は笑いを生むテクニックとしては、小さなもの、いいかえれば、爆笑を生むものではありませんが、誰でも比較的容易に使えて、しかも会話がどことなく楽しく、ユーモラスで、しかも生き生きしてくる技術です。
・印象づける自己紹介法(中略)
相手の名前がキヨシなら「キミは、クリスマスイブに生まれたのかい?」「どうして」「キヨシこの夜って……」などというジョークもいいでしょう。
・自分の名前をユーモラスに印象づけるジョークくらいは、ぜひ考えて用意しておきたいものです。
「その名の通り、女の子に甘い佐藤(砂糖)です」
・「部長、どうしたんだ? 渋い顔して」
「あれがほんとのブッチョウ(部長)づらだ」。
・「国鉄はね、たいへん赤字だそうだけれど、あれは、仕方ないんだ」
「どうして?」
「字を見てみろ」
「字を?」
「うん? 国鉄を分解すれば“国の金を失う“となる」
・毒舌と警句に強くなろう(中略)
「キミたち、人間には、なぜシッポがないか知っているかね?」
社長にこう言われて、若い社員が、
「さあ、わかりません」
社長はニヤリと笑って、
「進化論だよ。ちぎれるほどよく振ったやつが生存競争で生き残ったんだ」
・心理学者の説によれば、笑いの種類には①うれしさの笑い②演技の笑い③おかしさの笑があるといわれています。(中略)
おかしさの笑いは、ある事がらに優越感を感じた場合や、軽度のアンバランスを感じた場合に起こるということです。
・ガス自殺
警官「田中さんの奥さんですね。お留守のあいだにご主人がガス自殺をされました」
夫人「まぁ! なんということ。今月のガス代がいくらになると思うんです」
●書籍『ユーモア×ウイット=? ~笑いの公式を解く本』より
阿刀田 高 (アトウダ タカシ) (著)
出版社: ベストセラーズ (1972年10月初版)
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