藤嶋 由香 氏 書籍『一緒に飲みたくない客は断れ!』(ポプラ社 刊)より
このウェブサイトにおけるページは、書籍『一緒に飲みたくない客は断れ!』(藤嶋 由香 著、ポプラ社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・コロナが発生(中略)
ここで生き延びることができた居酒屋と、潰れてしまった居酒屋には1つの決定的な違いがあります。それは、「人の心を癒せるお店だったかどうか」です。
・実際の平均客単価も、3000円を切ることがありません。その理由は、「美味しい、だからお酒が進む」に加えて、「お店の雰囲気がいい」からだと自負しています。
・美味しいものを食べることで、明日への活力が生まれ、みんなを笑顔にできる
・「倒産」と「廃業」は異なるということ。「倒産」とは、会社全体がなくなることを指し、「廃業」とは、その事業のみをたたみ、会社自体は存続することを意味します。
・私が商売をする上で一番大事にしていることが、3つあります。それは、「味」「サービス」「適正な価格」です。
・特に女性は、悩みや不安を言葉にして、共感してもらうことで、ストレスを解消することが多いですから、いかに居酒屋が健全な心を取り戻せる場所として機能していたかがわかります。
・人との心の距離を縮める最適な場所、居酒屋は、絶対に廃れてはいけない場所なのです。
・経営者という立場や名前に胡座をかいて、従業員任せにしていて、結果が出ないと文句を言う。そんな経営者に従業員がついてこないのは当然です。
・「味良し」「サービス良し」「価格良し」この3つの良しが揃ってはじめてお客様は幸せな気持ちになれるのです。
・当店の看板メニューは「朝締めのレバー」です。サイドメニューでは、「ピーマンのお浸し」がよく出ます。
・私は大の日本酒好きなのですが、常々、もう少し安い価格で、ある程度の量を飲みたいと思っていました。
・当店は今年、本店「やきとん麻布 ふじ嶋」が創業12年、姉妹店の「やきとんユカちゃん麻布ふじ嶋 新橋店」が創業10年を迎えます。
・生き残る店は「トイレが美しい」(中略)
従業員は15分に1度はチェックし、清潔な状態を保つように心がけています。(中略)
初めてアルバイトに入った子には、私か主人がトイレ掃除のお手本を見せます。「掃除に手を抜く人間は信用しない」とも伝えています。
・トイレを見れば、そのお店がわかる
・ トイレを制するものはビジネスも制する
・当店ではお客様の名前を覚えることも仕事の1つです。
・スタッフの不満を解消することも役目の1つ
・中でも私が効果的だと感じているのは、その日のリーダーを決めることです。
「今日はあなたが掃除リーダー」
「あなたはドリンクリーダー」
「あなたはフードリーダー」
など、責任ある立場を任せることで、従業員の意識は大きく変わります。
・当店であれば串がメインですから、「美味しい!」とおっしゃってくださったお客様には、一言目に「朝まで生きていた新鮮な豚を使っているんです」とお伝えしています。
・居酒屋ではお名刺をいただいて終わりという店がほとんどですが、私は時間がかかったとしても必ずメールをさせていただき、お礼を伝えます。
・もう1つ、ファン作りで心掛けているのは、焼き場に立つとは"魅せる"ことを意識する点です。(中略)
焼き場に立つときは全神経を集中させ、一挙手一投足に気を配り、店全体に"魅せる"ことを意識しています。エンターテインメント
・当店では、お帰りの際、背中が見えなくなるまで外でお見送りをします。
・初めてご来店されたお客様には、「もつ焼を食べられますか?」と聞いています。ホルモンを食べられない人は、いくら席が空いていても入店をお断りします。「食べられる」と言ったにもかかわらず、1つも注文しない人には、「これを飲んだらお帰り下さい」とお願いします。
・グルメサイト経由で来店したお客様には、1件につき300円の手数料をサイト側にお支払いします。
ですから、100人来店があれば3万円、200人なら6万円と、プラットフォームを利用するだけで手数料が引かれるのです。
・当店では、「お客様に呼ばれたら恥と思え」と教育しています。お客様に「すみません」と呼ばせたり、手を上げられたりするよりも先に気づき、こちらから注文をうかがうようにしようといつも従業員には声をかけています。
・当店には「氷の音が鳴ったら注文に行け」という教訓もあり、グラスのお酒が減り、氷同士がぶつかる「カラン」という音には絶えず反応するよう、目と耳、両方で感じ取る訓練を課しています(笑)。
・居酒屋の流行る、流行らないを決めるのは「サプライズ」です。味でも、サービスでも、価格でも、サプライズがあるお店は生き残れます。(中略)
特に、うちの一番の売りは朝まで生きていた豚を朝締めし、自分たちで裁き調理して提供していることです。
新橋にはやきとん屋さんがたくさんありますが、朝締めして提供しているお店は他にはほとんどありません。
・例えば、麻布十番のお客様に比べて、新橋のお客様はあまり野菜を好みません。ですから、麻布十番で喜ばれる季節の野菜を、同じように新橋で提供してもサプライズにはならないのです。
・居酒屋の誕生は、今からおよそ270年前の江戸時代と言われています。酒屋さんがその場でお酒を飲む場を設け、つまみも提供し始めたことから、「居座りながらお酒を飲む」という語源によって「居酒屋」と命名されたと言われています。(諸説あり)。
・不況の時期は、大半が挑戦することに腰が引けてしまいます。周囲の目も批判的なことが多く、何か始めるのも躊躇しがちです。けれど、不況化だからこそ、個性をどんどん発揮すべきだと思います。
・確かにメディアに露出することによって、お客様が殺到することはあります。けれど、そんなのほんの一瞬です。中には面白いもの見たさに遠方からやってきてくださった方もいます。
しかも、メディアを見て来店したお客様というのは、興味が薄ければ、もう来店しなくなります。
・自分が得意でないこと、価値のないところで勝負をしようとしないこと。自身の、そして自店の最強の持ち味は何かを見極め、そこを伸ばすことが集客に繋がるのです。
・居酒屋でお客様のストレスになってしまう一番の原因は何でしょうか? 答えは、テーブルの上が片付いていなくてゴチャゴチャしていることです。当店では、空いた食器やグラスはすぐに下げるよう徹底しています。
・サービス業たるもの、お客様の五感をトータルで満足させることが大切です。(中略)
特に、音楽はお客様の満足には大きく影響しますので、店内のBGMにはこだわっています。(中略)
例えば、ラッツ&スターの「ランナウェイ」やハウンド・ドッグの「ff(フォルティシモ)」などが流れると、お客様同士が若い頃にタイムスリップして、盛り上がっています。
・タワーマンションの多い豊洲方面では、家族連れ向きの店の方が賑わっている印象があります。小さいお子さんも多いですから、当店のような煙が出るお店は豊洲に出しても流行りません。
・値段の設定では、客単価をいくらにするかということを前提に、2時間の滞在でドリンク5杯、料理5品を目安に計算しています。
・感謝と謝罪は3度伝えよう
・社員にいかに危機意識を持たせるか? (中略)
できないことをただ叱るのではなく、なぜそうしなければならないのか……。失敗したときは、何が要因でそうなってしまったのか……。それを理解して、はじめて反省できるわけで、反省があって初めて改善があり、実践につながるのです。
・お店とは、チームプレーそのもの。誰か1人が活躍しても、それは一瞬の爽快感だけで、必ずどこかに隙ができます。みんなが同じ目標(お客様の幸せや喜び)に向かい、心を1つにもてなすこと。
・常連さんになっていただけるのは、従業員との気持ちの良いコミュニケーションが成り立っているからです。
・人は人によって傷つき、人によって癒されるもの。そう考えると、その癒しの場は居酒屋が適切だと私は考えています。
・例えば、従業員に口を酸っぱくして伝えているのは、お出迎えは笑顔ですること。
・不満を口にする人に限って仕事ができないというケースが非常に多いのです。
・不満ばかり言う者には、反省がない。
反省なき者に、進歩はない。
進歩がない者に、未来はない。
つまり、反省することが成長することにつながるという意味です。
・手抜きが増えたなと感じたら、不満を抱えているサインと受け取り、個別に話をするようにしています。
「手を抜くのはやめて」と伝えるのではなく、「このように接客してほしい」とお願いします。加えて、なぜそう接客してほしいのか、そうすることで、お客様にどのような感動をもたらすのか、そしてそれが、どう利益につながるのかをきちんと話します。
・グラスの氷が「カラン」と鳴るのを聞き逃すな
・主人と出会い(中略)いろいろなことに気づけるようになったのです。中でも大きな気づきとなったのが、次の3つです。
1つは、自分の価値観に固執しすぎていた点です。「こうあるべき」と決めつけて考え方に幅がなくなり、意固地になっていました。
次に気づいたのは、「ダメな自分を認められない」ということ。(中略)
「ダメな自分を受け入れて改善すればいいんだ!」(中略)
3つ目は、何でも自分1人で抱えていたことです。家庭環境もあったかもしれませんが、それまで私は、何でも1人で解決を図ろうとしていました。
・私たち夫婦の成功の秘訣は、「料理の技術は夫、営業は私」というように、明確な役割分担ができたことが大きいと思います。
・新橋には、飲食店だけで5000店舗以上あり、入れ替わりも激しい地域です。その一方で、2代、3代と続くお店を経営されている方も多く、みんな心から新橋という街を愛し、大切にしています。
・居酒屋を通じて名だたる方々にお会いしてきましたが、そのどなたも肩書には触れませんし、触れないことが居酒屋の暗黙のルールです。そう、居酒屋とは、肩書のない横並びの世界なのです。
・昔から悩みごとを抱えたときは、昼間の明るいうちに考えるようにしています。とくに、夜に悩むと孤独が増し、前向きな考えが浮かばないからです。
だからそんな時は、居酒屋のようなパワーが満ちた場所で気分転換します。
●書籍『一緒に飲みたくない客は断れ!』より
藤嶋 由香 著
出版社 : ポプラ社
発売日 : 2021/10/6
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