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「読書について」 著:ショウペンハウエル 岩波文庫より
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まず第一に著作家には二つのタイプがある。事柄そのもののために書く者と、書くために書くものである。第一のタイプに入る人々は思想を所有し、経験をつんでいて、それを伝授する価値のあるものと考えている。
第二のタイプに入る人々は金銭を必要とし、要するに金銭のために書く。彼らの特徴は次の通りである。彼らはできるだけ思想の糸をつむぐ。真偽曖昧な思想や歪曲された不自然な思想、動揺常ならぬ思想を次々と丹念にくりひろげて行く。
また、多くの偽装のために薄明を愛する。したがってその文章には明確さ、非の打ちようのない明瞭さが欠けている。そのため我々はただちに、彼らが原稿用紙をうずめるために書くという事実に気が付く。我々の愛読するもっともすぐれた著作家にさえもこのような例を見いだすことがある。
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発行は、1960年4月 2004年4月までに「60刷り目」の書籍 「読書について」 著:ショウペンハウエル 岩波文庫 から
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