その名の通り、FAX DMとはFAXで送るダイレクトメールのことです。言い方に決まった定義はなく、FAX-DM、ファックスDM、FAX同報、FAX一斉、FAX一斉同報、FAXダイレクトメール、FAX広告と言われています。
このFAX DMというのは「FAX一斉同報サービス」(以下、FAX同報)というシステムを利用することからはじまっています。「FAX同報」とは何かというと「同一文書を複数の宛先に一斉に送る」システムです。
このシステムはアメリカが発祥の地です。利用のされ方は証券会社が各アナリストに対してマーケットレポートを配信するといったものや、銀行、証券会社の支店間連絡など、いわゆる「業務」的な利用目的が大半でした。
ちなみに、家庭用ファクシミリをはじめたのは1967年6月。RCAのサーノフ会長が「家庭用ファクシミリのテストをはじめる」と宣言。その後日本でもNHKや毎日新聞社が公開テストを行ったとされています。
「FAX同報」における日本での先駆けはNTT(現:NTTコミュニケーションズ)が行なっていて、その後リクルート(現:株式会社ネクスウェイ)がこの商品に目をつけ独自にシステムを開発し、NTTより低価格で市場に提供しました。FAX同報の市場でリクルートが現在1位のシェアを持っています。
それでは、この業務利用での「FAX同報」が、どうダイレクトメールとして利用されるようになったのでしょうか。1999年頃のことです。営業の担当者が名刺交換したままになっている方々や、資料請求後、利用がないお客様、自社で集めた名簿などに対し、FAXでダイレクトメールを送るようになりました。眠っていた名簿をデータ化するというアイデアが生まれたのです。この頃からFAX DMという言葉が使われはじめました。
その後自社で持っている名簿だけではなく、もっと効率よく新規開拓ができないかといったことで名簿利用のニーズがでてきて、各通信社会社が名簿会社とコラボレートする形で企業名簿の提供を始めるようになり、現在のような普及をたどりました。
ちなみにFAX DM、FAX 同報(業務利用)、FAX 帳票サービスも含めたFAX 同報の市場規模は250~300億円と言われています。最近ではこの「FAX同報」もダイレクトメールとして「法人向け」の集客や新規開拓に利用されることが多くなりました。実際に、送られてくるFAXを見たことがあるか、FAX DMを送ったことがあるのではないでしょうか。
費用対効果の高い集客方法で、特に営業や販促に時間やコストをかけれない人や、中小企業に人気があるサービスです。
どのようにしてファックスは送られるのか、その仕組みを書籍『時間を忘れるほど面白い雑学の本』(竹内 均 編集、三笠書房)より紹介したいと思います。
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ファックスは、原稿の黒いところや白いところを電気信号に変えているのです。原稿を水平な線で区切り、一本の線は一ミリ当たり八個の点に分解します。この点が黒か白かを電気信号に変え、電話回線と電話局の交換機を通じて相手に送っているのです。
●書籍『時間を忘れるほど面白い雑学の本』より
竹内 均 編集
三笠書房 (2011年8月初版)
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